「ダイエットでは脂質・油を減らすべき」は間違いだった? 専門家が教える「実は食べてOKな食材」とは〉から続く

「毎日カロリー計算をしているのに、なかなか成果が出ない……」。カロリーの数字ばかりに囚われるダイエットは、かえってストレスを生む原因に。実は近年の研究で、肥満の本当の原因は「エネルギーの密度」にあることがわかってきました。

【画像】カロリー計算はストレスになる。むしろ大事なのは…

 では、どのように「太らない食材」を選べばいいのでしょうか。山田陽介氏の著書『肥満脳のトリセツ』(講談社)より、一部を抜粋して紹介します。(全2回の2回目/最初から読む)


カロリー計算にはあまり意味がない? ©beauty_box/イメージマート

◆◆◆

必ずしもカロリーが全てではない

 太る、というとカロリーの話になりますが、私たちの最近の研究では、それがすべてではないということがわかってきました。アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)で発表されたのが、発展途上国と先進国でのエネルギー消費量一覧です。それによると日常的に体をよく動かす人から、ほとんど座って過ごす都市部のオフィスワーカーまで、さまざまな生活を送る人々を調査し、体格の違いを調整して比較した結果、どの人も1日に使うカロリーはほとんど同じであることがわかったのです。つまりエネルギー消費量と肥満は全く関連がないことがわかります。一方で、身体活動の量と肥満とはおそらく関係しています。それには消費量というより、筋肉の質や量によるものが大きいのではないかと思われます。基礎代謝も消費するエネルギーもそれほど差はないといっても、一人ひとりの身体の体重の増減には、その人の食事の摂取量と日常の身体活動の量がかかわることには違いはありません。

食べものの「重量」が意外なカギ

 肥満の原因のもう一つはエネルギー密度の高い食品、あるいは超加工食品です。これらの摂取量が多い国では肥満が多いという特徴があります。

 結局、肥満のメカニズムの要素の中では、発展途上国でも先進国でも個人差はあっても、だいたい同じぐらいのエネルギーを消費しているというのがまずは一番大きい事実です。

 つまり肥満になるかどうかは、消費する方ではなくて摂取するエネルギー量に大きな差があることから生じる、ということになります。

 もう一つの要素では、摂取の量が増えるのは、血糖値が上がるかどうかよりも、意外にも食べる重量で満腹感が決まってくるのではないかということが言われています。

 つまり、エネルギー密度が高い(かさが少なくてもカロリーが高い)、超加工食品を取る方が太るということです。1g当たりのカロリーは水はゼロkcalでタンパク質と糖質が4kcal、脂肪が9kcalで、食物はその組み合わせでできています。その結果として、脂肪が多いものをどれだけ取っているかということが、極端に言うと、そのまま食欲調節、肥満との関係につながってきます。もちろん満腹中枢が刺激されるのは血糖値が上がることで分泌されるインスリンの働きではありますが。

 それ以上に満腹という漢字がまさに示すように、お腹の膨らみ感がポイントです。膨満感がもう十分食べたかどうかを感知して、満足感につながるかどうかは、摂食中枢、摂食行動とはまた違うものだといえます。

みずみずしい食品を選ぶべき

 基本として食べるもので、何が一番いいのか。シンプルですが、生鮮食品はほとんどのものがだいたい平均値で7割ぐらいの水を保持しています。野菜はもちろん7割が水で、カロリーは低めです。野菜だけではなく、魚や肉も7割が水でできています。ただし、加工された食品は、水の量を減らすことによって、保存できるようにしているというのが一番大きな特徴で、そうするとグラムあたりのカロリーが一気に高くなります。

 だから一番いいのは、みずみずしい食品を食べるということ。それがダイエットという意味でも最も効果があります。といっても全て生で食べるのは現実的ではありません。調理して焼いてもゆでても水はそこまで抜けないので、満足感は充分得られます。

満足する食事というのが一番大事

 カロリー計算はダイエットに必要と思っている人も多いと思いますが、極端なことを言うと、自分が消費しているカロリーがきちんとわからない限りは、あまり意味がありません。食べるものが毎日変わるので、摂取カロリーもかなり変わります。アプリなどで計算を続けている場合は体重と一緒に測っていくことができて、その関連もある程度わかるので意味があるといえなくもありませんが。

 食べ過ぎたから減らそうと、カロリー計算を実際の食生活にフィードバックする意思があれば大丈夫ですが、カロリーにばかり目がいってコントロールしようとしても、満腹感、満足感は、結局食べるものの重さとの関係が一番大きいので、いくら計算しても頭で満腹にはならず、かえってストレスを感じてしまうことになりがちです。

 満足する食事というのが一番大事で、満足する食べ方をしながら、いかに食べる量や内容をコントロールするかがポイントです。

(山田 陽介/Webオリジナル(外部転載))