ブラジル戦翌日には記者団の質問に色々と答えてくれた冨安。写真:JMPA代表撮影

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 5月25日の国内合宿からブラジル戦前日の6月28日まで、冨安健洋は記者団に対して必要以上のことを語らなかった。

 その姿勢を象徴していたのが、事前キャンプ地モンテレイでU-19日本代表とのトレーニングマッチを終えた翌日の対応だ。記者から「試合で見えた収穫と課題を教えてください」と問われると、「僕が答えるものではない。森保監督に聞いてください」と、きっぱりと言い切った。

 何気ないひと言が、日本代表にとって不利な材料になることもある。そうしたリスクを知っているからこそ、冨安は“鉄のカーテン”を引く。それは決して無愛想だからでも、取材を拒んでいるからでもない。チームを守るために必要な線引きを徹底しているだけだ。プロとして、あるべきスタンスと言える。

 そんな冨安も、ブラジル戦翌日の囲み取材ではどこか表情が柔らかかった。この日は記者の質問に一つひとつ丁寧に耳を傾け、自らの言葉で誠実に答えていく。
 
 ブラジル戦が延長戦にもつれ込んでいたとしても120分戦えたという手応え。結局は毎回同じような形で敗れてしまう悔しさ。度重なる怪我を乗り越え、再びサッカーができる喜び--。冨安が率直な思いを口にしてくれたことで、囲み取材は非常に中身の濃いものになった。

 きっと話すこと自体が嫌いなわけではない。その時々で何を語り、何を語らないべきかを理解している。それこそが、長年トップレベルで戦い続けてきた冨安が身につけたプロフェッショナリズムなのだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長/現地特派)
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