NPB出身野手で初のメジャーリーグコーチ! マリナーズ・福田秀平が語る「汗と涙のMLB奮闘記」

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「10秒過ぎたらもうダメ」

「今日は3Aのタコマ・レイニアーズというチームに来ています。朝9時に起きて近くのスターバックスで朝食を摂り、コーヒーを飲みながら今日の練習メニューをチェック。試合開始は夕方6時でしたが、11時過ぎには球場入りして、アプリで英語の勉強をしていました。勉強といっても中学英語レベルですけどね。

選手やコーチ仲間との会話の中でわからない単語や表現が出てきたら翻訳アプリを使うのですが、そのおさらいもします。今日は「Anticipate」(予測する)という単語が何回も出てきました。外野手として色々予測して動いていかなきゃいけないって話です。Anticipate、なんとか使えるようにしなきゃ……」

日本人がメジャーリーグで活躍するようになって久しいが、NPBの野手出身でコーチとしてMLBの球団と契約を結んだのは福田秀平(37)が初めてだ。’07年に高校生ドラフト1位で福岡ソフトバンクホークスに入団。

千葉ロッテマリーンズ、くふうハヤテベンチャーズ静岡を経て’24年に引退した守備と走塁のスペシャリストは「いろんな野球を見たい」と所属事務所を介してMLBにコンタクト。昨年5月からコーチとしてシアトル・マリナーズが持つドミニカ共和国のアカデミーやルーキーリーグ、マイナー、メジャーを巡回しながら守備と走塁の技術を伝授している。

「昼食後、午後1時から始まるアーリーワークを手伝い、ストレッチ、キャッチボールをしてから3つぐらいのグループに分かれて練習メニューをこなします。僕は外野の守備・走塁を見ています。

外野手は自分が打たないときは外野守備につくので、そこでコミュニケーションを取ったり、ベースランニングの練習をするときに声をかけたりします。マイナーには打撃コーチが一人しかいないので、バッティングピッチャーもやります。試合で一塁コーチャーに就いたりもします」

試合後はコーチ同士で夕食を摂りながらミーティング。球場を出るのが深夜11時近くになることもあるが、体力的なキツさより「言葉の壁」のほうが大変だと福田は言う。

「翻訳に戸惑っていると選手はその場を去ってしまう。10秒過ぎたらもうダメ。コーチミーティングも毎回不安です。前日の試合内容、選手の課題などを自分なりに分析・考察して、AIも駆使して英語で資料を作成。入念に準備をして臨むのですが、それでも予想外の質問が飛んでくるから心臓バクバクです」

「大谷から一発」という最強のツカみ

去年のスプリングトレーニングは研修生として参加。メジャーはおろか、アメリカでプレーしたことがない福田は「何なんだコイツ」という目で見られたという。

「メジャーリーグでは″日本の野球のレベルは3A以下″と考えている人がまだまだ多い。先発投手の平均球速など客観的なデータとして差が出てしまっているので、仕方ない部分はある。

大谷翔平選手(31)や山本由伸投手(27)らタイトルホルダーやMVPに輝いたスターがいても、『彼らはスペシャルな存在だ』という考え方なんです。

ただ、こちらにも守備と走塁で飯を食べてきたという自負がある。だから、『じゃあ、僕の動きを全部見てもらおう』とセンターの守備位置に就いて、試合と同じように動き回りました。ホークス時代から磨いてきた″フライが上がったら、打球から目を切って落下予測地点にトップスピードで走る″守備を見せると『どうしたらシュウヘイのようなスタートが切れる?』と質問攻めに遭いました。コーチたちの僕を見る目がガラッと変わったのです。アメリカは実力主義。動きを見せたことで認められ、その後のコーチ契約に繋がりました。

ちなみに……先ほど『大谷と由伸はスペシャル』という話をしましたけど、僕のキャリアの中で一番、彼らにウケるのが″大谷投手と山本投手から2本ずつ本塁打を打っている″こと。新顔の選手が来るたびに『シュウヘイ、名刺代わりにお前がオオタニからホームランをかっ飛ばしたときの動画をコイツに見せてやれ!』と同僚に言われますからね。

菅野智之投手(36・ロッキーズ)との対戦前のミーティングでは、僕が菅野投手からホームランを打ったときの映像を流しながら、アナリストが『スガノはこうやって打つんだ!』と言っていました(笑)」

マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー(52)は「おそらく皆さんが想像している以上に尊敬されています」という。

「球場に来られると、選手はおろか、コーチたちも近寄ることができず、遠巻きに眺めています。そんな超レジェンド、イチローさんからは目からウロコの技術を学びました」

昨オフ、福田は中東・南アジア初のプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」のミッドイースト・ファルコンズから招待を受け、1ヵ月間プレーした。

「コーチとして得た知見を、自分の身体に落とし込めば、より選手に伝えやすくなると考えたのです。コーチとは何か。その問いに答えられるように学んでいる最中ですが、現時点では『理想に向かって歩む選手に伴走する相棒』――かな?」

福田秀平コーチの伴走はとにかく、情熱的で力強い。

6月25日発売の『FRIDAY 7月10日号』と有料版『FRIDAY GOLD』では、

マリナーズのレジェンドであるイチローから授かった「超次元の技術」や「コーチとしての金言」、アメリカを志したハヤテ時代の出来事、コーチとして涙した事件などについても詳報している。

『FRIDAY』2026年7月10日号より