【今度はコメ余り】値下がりで5kg2000円台も “令和のコメ騒動”から一転なぜ? 高騰経てコメ離れ&在庫処理で“泣く泣く安売り” 今後はさらに安くなる?
2024年の夏ごろから叫ばれ始めたコメ価格の高騰。いわゆる「令和のコメ騒動」。そうした状況から一転、価格の下落が続いています。
【画像を見る】ずらりと並ぶ3000円台のコメ 大阪のスーパーを取材
小売店からは「“投げ売り”のコメが出回り始めている」との声も聞こえていますが、業者が大量に在庫を抱える状況になっているという背景があるようです。
なぜそうなってしまったのか?日本の主食「コメ」の価格は今後どうなっていくのか?流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員や農家への取材を踏まえ、MBS米澤飛鳥解説委員がプレゼンします。
年末年始を境にコメ価格の下落続く
コメ5kgのスーパーでの販売平均価格を見てみると、去年12月29日から今年1月4日にかけて過去最高値となる4416円になりましたが、それ以降下落を続け、6月15日~21日には3590円となりました((株)KSP―SPが提供するPOSデータに基づいて農林水産省が作成)。
米澤解説委員が取材したスーパーでは、山形産の「はえぬき」が5kg2786円で販売されるなど、2000円台のコメも並び始めていたようです。
また、訪れた客に話を聞くと、価格下落はありがたいものの「3000円台のものが多いので2000円台になってほしい」という声や、価格が下がりすぎることによる農家への影響を心配する声もありました。
値下がりの背景にある卸売業者の「在庫余り」
では、なぜここまで急激に値下がりしているのでしょうか?
コメが余っている業者が泣く泣く“安売り”していることが背景にあるようです。
コメが消費者のもとに届くまでには、集荷業者が農家からコメを買い集め、それを卸売業者へ売り、さらに小売店を通じて販売されるという流通経路をたどります。
かつての“コメ騒動”の時期には、卸売業者などは供給不足に備えてかなり高い価格でたくさんのコメを仕入れて在庫を確保しました。ところが、こうして集めたコメが今になって大量に余ってしまっているのです。
農水省の見通しでは6月末時点におけるコメの民間在庫量は221万t~234万tにのぼっていて、適正在庫とされる180万tから200万tを大きく上回る状態が続いています。
なぜ在庫過多に? 輸入米など選択肢の拡大や消費者のコメ離れが要因か
これほどまでに在庫が積み上がってしまった原因として、コメ価格の高騰による消費者の間で「コメ離れ」が進んでしまったことが考えられます。
家計の負担を減らすためにコメの代わりとしてパンや麺類を食べる生活へと転向する家庭が増えた結果、コメ全体の消費量が大幅に落ち込んでしまったようです。
昨年度のコメの消費量は、前年と比べて6.1%ダウン。1人1か月あたりお茶碗4.4杯分少なくなっているということです(米穀安定供給確保支援機構)。
さらに、昨年はコメの収穫量が多かったことに加え、政府の備蓄米や輸入米の増加によって消費者の選択肢が増え、新米への動きが全体的に鈍くなったことも業者のコメが余る要因となりました。
間もなく新米シーズン これからの価格予想と「適正価格」は
これから8月~9月にかけて新米が本格的に出回る時期を迎えることで、さらに大きな変化が予想されます。コメの流通に詳しい流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員は「業者は新米が出る前に安くしてでも在庫処理」をすると話します。
◆流通経済研究所の折笠氏の見立て
7月~8月:令和7年産は5kg2000円台が増加。2700円から2800円あたりが底値に
9月:令和8年産は5kg3000円~3500円くらいと、去年よりも1000円ほど安い価格に
折笠氏によると、今年の新米は出来高もかなり良さそうで、量も十分に確保できる見通しだということです。
3000円から3500円という価格帯であれば、農家もしっかりと儲けが出せて、消費者としてもなんとかギリギリ買えるという、双方にとっての「適正価格」だといえそうです。
衆院を通過した「食糧法改正案」 コメ政策の今後は?
6月に衆議院を通過した「食糧法改正案」の中で、コメに関する重要な方針が打ち出されました。
この改正案では、大規模な民間業者に対してコメの備蓄を求める「民間備蓄制度」の新設が盛り込まれているほか、従来の「生産調整」という文言を削除し、「需要に応じた生産」を行うことが明記されています。
これは、コメの作りすぎによる価格暴落を防ぎつつ、国として輸出の強化や国内での需要喚起をセットで行っていくという取り組みだということです。ただし、民間備蓄にかかるコストをどうするのか、コメの価格に転嫁されるのか、それとも税金が投入されるのかなど、まだ明確になっていない課題も残されています。
これからの法改正が市場や私たちの家計にどう影響を与えるのか、引き続きその動向を注視していく必要があります。
(2026年6月29日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『米澤プレゼン』より)

