「今の苦しみをガチホして」…亀田興毅の”元スポンサー”会長が「暗号資産」説明会で放った衝撃発言とは

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【前編記事】『60〜70代の出資者が悲鳴…亀田興毅「有名スポンサー」が暗号資産で目論む「巨額投資ビジネス」の実態』より続く。

暗号資産の調査も行った

「巨額投資ビジネス」の崩壊は、避けられるのか。元プロボクサー・亀田興毅氏(36歳)と手がけたボクシング興行が破綻したことで話題になったスポンサー企業の「LUSH」。亀田氏が頼りにした、この会社の資金源となる「投資ビジネス」について迫っていきたい。

筆者は、LUSHの実質的トップであるA会長が出席した説明会の動画を入手。自らを「凍結の貴公子」と語り、自身の資産が凍結されていることを誇らしげに話すのであった――。

前編記事でも説明した通り、LUSH(細かくはグループ会社が関係しているが、A会長は組織の総体を「LUSH]と呼ぶ)は「キルギスで暗号資産をつくる」と宣言して、約3000人から総額300億円もの資金を集めたと言われている。その集金方法は奇妙なものだった。出資者たちが出資金を振り込む口座が、キルギスの取引所ではなく、A会長が実質経営する芸能事務所だったのだ。

前提として、暗号資産(仮想通貨)の取引を行う場合、金融庁・財務局から「暗号資産交換業者」としての登録を受けなければいけない。にもかかわらず、振り込み口座として指定された芸能事務所は、行政から登録許可が下りた形跡がない。この時点で違法性の疑いが強い。事務所に金を振り込んだ出資者によると、数日後にLUSHが作ったという「キルギス取引所」のサイト上に入金額が反映される仕組みだった。

この金は、日本からキルギスに送金されていたのか。また、これらの金は顧客の金として保護されていたのだろうか。そもそもこの方法だと、誰がどういう責任で出資金を扱っているのか、責任の所在があいまいである。

巨額の資金が流れた先を調べると……

筆者は多額の出資金の流れを追うべく、A会長の事業を綿密に調べた。その結果、キルギスで作った暗号資産の取引所「Liberty Exchange社」が、キルギス金融当局に認可を受けた際の資料を手に入れた。現在は削除されているが、当時は会社が管理する暗号資産のウォレットアドレス(銀行口座に相当するもの)が書かれていた。このウォレットを調べれば金の流れをつかむことができる。

このウォレット内で、大口取引に限定して調べてみたところ、’23年〜’25年の間に191件の入金があり、合わせると2138万USDTにのぼることが判明。おおよその価格でいうと、約32億円が入金されていた。次に同時期の出金を調べると、大口の出金は48件あり、約32億円も出されていることが分かった。ほぼ同じ金額の入金と出金がされている。そして現在、残高は3000円ほどしか残っていない。

巨額の資金が流れた先を調べると、大部分が「Bybit」というドバイにある暗号資産の取引所のウォレット(口座)に入っていることが分かった。Bybitという取引所は、日本の金融庁の認可を受けていない。過去に何度も金融庁がここに警告していて、’26年には日本居住者向けサービスが停止している金融機関だ。

なぜ出資者の金はBybitに送金されたのか。そしてなぜ、出資者たちに返金されないままなのか。今年の4月からA会長ならびLUSHサイドに再三取材を申し込んでいるのだが、未だに答えが返ってきていない。

組織の内情に詳しい人物はこう語る。

「暗号資産の事業について実態を知っているのは、A会長と数人の側近だけではないでしょうか。サロンを運営する勧誘部隊の人たちも、本当の内実は知らないと思います。最近は『(我々側が)騙されて50億円が消えた』と説明しているようですが、いつもそんなことばっかり言っていますよ。また、会長は今韓国にいるそうで、そこで新しいビジネスを立ち上げると言っています」

A会長のオンライン説明会の動画を入手

目下、A会長は岐路に立たされている。キルギスの暗号資産取引所「Liberty Exchange社」の認可が却下されて、新しく「Zhakshy Zaman(ザクシー・ザマン)」という取引所を作って金を集め始めたのだが、この取引所のライセンスを維持するための要件が厳しいという。金融当局からの信頼性を高めるため、デポジット(資本金)として日本円にしておよそ5億円が7月までに必要になのだ。これができなければ、ライセンスは剥奪され、プロジェクトは崩壊する。

そんな最中、筆者は5月にA会長が参加者向けに行ったオンライン説明会の衝撃的な映像を入手した。前編記事で紹介した説明会とは別の物だ。そこには、出金できずに苦しむ人々を突き放すような、傍若無人なリーダーの姿があった。

「当初の約束を守る? 守れない約束はしない? はっきり言うわ。約束は守れるけど、当初の約束は守れない。俺が今みんなに提示できるのは、今年中に4000億円を現金化するということだけ。それ以外は何一つ約束しない。(一緒に投資を)やりたい奴がやればいいし、ついてこれない奴は出ていけ。テイカー(欲しがる人間)はいなくなってほしい」

この言葉が発せられると、会議画面にハートマークや拍手マークが飛び交う。A会長を信奉している人がボタンを推しているのだろうか。さらにA会長は今後のビジョンについてこう話す。

「怒っている人は怒ればいい。俺にはアホみたいに土地やビットコインがある。事業収益もある。ただ、いまは即金がない。でもZhakshy Zaman取引所が何千億円、何兆円と利益を生み出すから、今年中に4000億円を作れる。その利益をみんなで分け合いたい」

キルギスの新たな取引所が本格稼働すればたくさんの金が集まって、莫大な利益を生むようになるという。世界中に数多くの取引所があるなかで、キルギスの新興取引所が大儲けできる根拠ははっきりしないが、自信たっぷりに話し続ける。

基本的にA会長は顔を出して話しているのだが、ときどき画面がオフになるときがある。何か飲んでいるのだろうか、頻繁にゲップが聞こえてくる。もはや何でもありだ。

「1年ガチホ(保持)するだけだ」

1時間もすると、出席者からの質問コーナーに入る。出金停止の理由を問われたA会長は、開き直りとも取れる発言を連発した。

「国内の取引所や銀行(の資産)を(キルギスに)移行させる際に、俺個人が『凍結祭り』に上がっている。俺は今、『凍結の貴公子』と呼ばれているからな。俺が凍結されていなかったら、こんなにみんな苦しくなかったんだ。(周囲も)『凍結されないように気をつけろ』と言うのが遅すぎるんだよ」

自らの暗号資産の口座が凍結されていることを、悪びれることなく語った。なぜ凍結されているのか。凍結解除のために動いているのか。参加者たちは疑問に思っただろうか、会長は説明しようとはしない。

続けて、ある出資者が「会長の言葉は真実だと思っていいですか? ずるずると(返金期間は)延びないですか?」と、すがるように問う。それに対し、A会長は吐き捨てるように言った。

「1年だ。できれば、ずるずる延ばしたくない。1年ガチホ(保持)するだけだ。今の苦しみを1年ガチホしてください

さらにはこう続ける。

「黙って俺についてこい。驚きと感動、幸せ――この3つをみんなに届けたいから。俺はさ、完全にヒップホップなんだよね。横文字並べられたら、みんな分からない? 俺はヒップホップやから」

本来、ヒップホップの精神は反骨精神や独自のこだわり、 嘘をつかないことだが、A会長には説明責任を果たす気配は微塵も感じられない。

これまで集めてきた出資金を考えれば、前述した通り、キルギスで取引所を作る条件である「デポジット5億円」を当局に示すことは簡単だろう。しかし、出資者たちへの支払いが滞っている現状をみると、厳しいようにも感じる。関係者によれば、「A会長の行ってきた芸能事務所や動画配信事業などは閉鎖する見込みだ」という。また4月に取材した時点で、事務所の入り口には「キルギス名誉領事館」という看板が掲げられていたが、6月に現地取材した時には剝がされていた。

「今年中に4000億円を現金化する」と息巻いていたA会長だが、果たして実現するのだろうか。 少なくとも筆者の目には、このビジネスの「出口」には、A会長がいう「感動と幸せ」は現状、見えないように映るのだが――。

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