自動車の「プラットフォーム」って一体何?(前編) 仕組みや共有のメリットとは よく聞かれる用語解説
人によって解釈が異なる専門用語
自動車業界には専門用語が多いが、問題は、使う人によって用語の解釈が異なることだ。業界は標準規格の統一に苦労してきたため、何をどう呼ぶかは人それぞれだ。
【画像】革新的なMQBプラットフォームの先駆け【7代目フォルクスワーゲン・ゴルフを詳しく見る】 全40枚
その一例が「プラットフォーム」という用語である。かつて自動車業界においては比較的珍しい言葉だったが、過去10年間で「バネ下重量」や「パワーウェイトレシオ」といった昔からの定番フレーズと同じくらい一般的になった。

「プラットフォーム」や「アーキテクチャー」の意味について解説する。
「プラットフォーム」とその類義語である「アーキテクチャー」が現在これほど広く使われているのには理由がある。それは、主流の自動車の大部分に、これらの設計手法が適用されているからだ。
両者の違いは少し曖昧になりがちだが、それはおそらく両者が密接に関連しているためだろう。自動車製造の基盤としてこれらの設計手法を用いることで、メーカーの収益性が高まるだけでなく、理論上はより優れたモデルを生み出すこともできるはずだ。
あるベテランエンジニアは、両者の違いを次のように説明している。アーキテクチャーとは、構造、パワートレイン、シャシーといったコンポーネントの設計・製造において共通のアプローチ(エンジニアリング用語風に言えば共通の設計部品表と製造工程)を採用するものだ。
一方、プラットフォームとは、複数のボディスタイルの下に配置可能な、共通のアンダーフレーム、シャシー、パワートレイン要素を持つものと説明できる。
昔から一般的だったプラットフォーム共有
例えば、セダン用とSUV用の2つのプラットフォームが、同じアーキテクチャーを用いて構築されることがある。あるいは逆に、単一のアーキテクチャーから複数のプラットフォーム(例えばセダン用とクロスオーバー用)が生まれることもある。
2012年にジャガー・ランドローバーが導入した『D7a』アーキテクチャーはまさにそれで、2つのブランドの下でまったく異なるモデルファミリーを展開する基盤となった。ジャガーのXEやXF、ランドローバーのレンジローバー・ヴェラールがその例だ。

1980年代にフィアット、ランチア、サーブ、アルファ・ロメオが展開した「ティーポ4」ファミリー
プラットフォームという概念は目新しいものではないが、メーカーにとっては柔軟性が高く、共有しやすい強力なツールとなっている。歴史的に見れば、フォルクスワーゲンのカルマンギアがビートルをベースにしていたように、単にフロアパンやシャシーを共有することを意味する場合もある。長年にわたり、大手メーカーのほとんどが、欧州、日本、米国で同様の方法でプラットフォームを使用・共有してきた。
1980年代の欧州における「プラットフォーム共有」の代表的な例は、フィアットの前輪駆動車用『ティーポ4(ティーポ・クワトロ)』プラットフォームであり、フィアット・クロマ、ランチア・テーマ、サーブ9000、アルファ・ロメオ164の基盤となっている。
これら4車種のホイールベースは同一だが、その他の点、特にパワートレインは大きく異なっている。サーブの4気筒ターボからランチアに搭載されたフェラーリ製V8まで多岐にわたり、単なる「バッジエンジニアリング」とは程遠いものだった。
柔軟性の高い「モジュール式」も
それ以来、特にここ10年間で、プラットフォームは著しく高度化してきた。フォルクスワーゲンが『モジュラー・トランスバース・マトリックス(MQB)』を導入してからすでに10年以上が経過している。
「モジュラー(モジュール式)」も最近頻繁に使われる言葉だが、こちらは「プラットフォーム」や「アーキテクチャー」よりも理解しやすいだろう。モジュラープラットフォームを基盤とすれば、互換性のある基本コンポーネントを変えることでボディサイズを変更できる。

フォルクスワーゲンのMQBプラットフォーム
例えば、ホイールベースを延長するための長いセンターセクションや、ハイブリッドバッテリーを搭載するためのリアフロアなどがそれにあたる。その意味では、まるで子供のおもちゃの組み立てキットのように、モジュラープラットフォームというツールボックスから代替となる主要コンポーネントを選択することで、さまざまなモデルを構築することができるのだ。
ただし、限界もある。センターセクションやリアセクションの寸法は変更できるものの、MQBの場合、アクセルペダルからフロントアクスルラインまでの距離などが制約される。これは、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドなど、一連のパワートレインに対応するためである。
(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)
