陸上日本選手権の女子ハンマー投げで2位だったマッカーサー・ジョイアイリス【写真:奥井隆史】

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女子ハンマー投げ決勝

 今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた陸上日本選手権第2日は13日、パロマ瑞穂スタジアムで行われ、女子ハンマー投げは日本記録保持者のマッカーサー・ジョイアイリス(在外)が64メートル14の2位だった。もともと米国国籍だったが、2022年4月に日本国籍を取得。幼少期を過ごした名古屋での日本選手権を戦い終えた26歳の素顔に迫った。

 最終6投目で、この日最高記録を出した。ただ日本歴代2位となる68メートル18で制した村上来花(ゼンリン)には及ばなかった。ミックスゾーンで、マッカーサーは「お疲れ様です」と白い歯を見せた。大会前から新たなコーチに師事し、レベルアップに取り組んできた。「(名古屋は)特別な場所で今回は勝ちたかったけど、しょうがない。新しくなったテクニックで、今日は挑戦したけど、う〜ん、ちょっと結果は出せなかった」と笑顔の中にも悔しさをにじませた。

 24年3月に米国の大会で70メートル51をマークし、自身の持つ日本記録を更新。日本女子初の70メートルの大台を突破した。もともと「日本で大きい記録を出したい」と強い思いがある。日本選手権ではかなわなかったが、仲間の活躍が刺激になった。会心のスローで優勝した村上来花の姿に「素敵でした。本当に嬉しい。来花ちゃんが、あの結果を出すのは。来花ちゃんの投げを見るのが楽しい。(いつも)大会中はあんまり(相手の)投げを見ないんですけど、今日は最後、ちょっと見ました」と言った。

 米国出身の元バスケットボール選手エリック・マッカーサー氏(00年から日本国籍)を父に、また日本人の母を持つ。自身は米カリフォルニア州で生まれた後、0歳時に日本でプレーする父と来日。8歳まで名古屋で育った。その後、父の退団に伴い、米国に戻った。ハンマー投げを始めて間もない16年に全米ジュニア選手権を制覇。同年のU20世界選手権では米国代表に選出された。22年4月に日本国籍を取得した。

 幼少期の約8年間を過ごした名古屋は思い出が詰まった場所だ。強行軍での日本選手権参戦で、名古屋入りは前日12日だったという。「だから大会の前は、歩き回るのはちょっとできなかったんです。明日か明後日、できれば、私が通っていたインターナショナルスクールとか行ってみたい。だけど、ちょっと時間がなさそう。すぐ帰るので」と残念がる。今の練習拠点は米カリフォルニア州。出国までの限られた時間で、“故郷”の空気を感じ、リフレッシュする。

 もちろん日本語は超ペラペラ。リュックには京浜東北線「川口」の駅名キーホルダーを付けている。「家族が埼玉に住んでいて。前、妹(マヤ・ソフィア・マッカーサー)も日本でバスケをやっていて。それで買ってもらって付けています。向こう、アメリカでもつけてます」と話した。

 日本が大好きで、日本国籍を選べると知り、即決したという。「アメリカもずっと住んでいたけど、やっぱり日本が大好き。もう全部が好き。食べ物も好きだし、人も好きだし、町もきれいだし」と迷うことはなかった。

 思い出の地・名古屋開催となる今秋のアジア大会の派遣設定記録(69メートル72)には届かず、代表入りは厳しい立場となった。27年世界選手権北京大会、28年ロサンゼルス五輪で、日本代表入りを目指して前を向く。「頑張ります。頑張らないと」と力を込めた。ミックスゾーンの最後は「インタビューありがとうございます。お疲れ様です」と爽やかにあいさつし、会場を後にした。

(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)