北中米W杯初戦オランダ戦の3日前、まさに急転直下での主将交代だった。

 左足首の負傷でチーム離脱が決まったMF遠藤航(リバプール)に代わってキャプテンに就任することが決まったDF板倉滉(アヤックス)が11日の練習後、報道陣の取材に対応。「責任を持って引き受けた。このチームを強くしたい思いはずっと持っているので、日本代表のキャプテンとしてこのチームを勝たせられるように頑張りたい」と決意を語った。

 現地時間11日朝、ホテルで森保一監督から遠藤のチーム離脱とキャプテン任命を伝えられた。「もちろんびっくりした思いはあったけど、自分のことを信頼して言ってくれたので、本当に責任と覚悟を持って引き受けたいと思った」。遠藤のチーム離脱は辞退ではなく、森保監督による決断。遠藤にとっては無念の決断だったが、板倉はすぐに遠藤の部屋に駆けつけた。

「航くんの状況も監督から説明を受けていたけど、自分は行かないといけないなという思いだった。(遠藤の)出発まで時間もなくて、すぐに出発しないといけなかったけど、連絡もせずにとりあえず部屋に行かせてもらった。相手の気持ちを考えないといけない部分があったけど、自分としては一言喋っておかないといけないと思った」

 たくさんの言葉を交わしたわけではなかったが、板倉は「責任持って頑張ります」との言葉を伝え、遠藤からは「応援してるぞ」「みんなによろしく頼む」という言葉を預かった。遠藤のチーム離脱は練習前のミーティングで他の選手にも伝えられ、板倉はそこで遠藤の言葉をチームメートに伝えた。

 オランダ戦を3日後に控える中での主将交代。もちろんチームへの影響は避けられない。しかし、歩みを止めるわけにはいかないという思いもみんな同じだった。

「今日も非常に集中力の高い練習ができていたし、インテンシティもすごく高かった。練習前に聞いた時はもちろんショックだったり、難しい思いはみんなあったと思うけど、試合3日前でオランダ戦が迫っているので、まずはそこにと。心配はしていたけど練習を見たら全然問題ないなと。みんな良い練習ができていたと思う」

 板倉自身も覚悟は固まっている。

「(遠藤の前任の吉田)麻也くん、航くんとやってきて自分はキャプテンではなかったけど、一つ下という位置からチームのためにという思いを持って、特に前回のW杯後はそうやってきたし、チーム状況やチームの雰囲気を敏感に感じ取るようにということを自分だけじゃなく、他のチームメートとやってきて、それをキャプテンに伝える作業はしていた。ただこうやって実際にキャプテンとして任命されると一層責任感もわいてくるし、自分が責任を負ってやらないといけないし、その覚悟はもう持てている」

 今大会のチームにはMF堂安律、DF冨安健洋といったリーダーシップを持つ同世代が多く、DF長友佑都、DF吉田麻也、MF南野拓実といったサポート体制も盤石。10年南アフリカ大会で直前の主将交代を経験した当事者である長谷部誠コーチからも「自分の時もそういう状況だったという話をしてくれた。『滉の人間性を見て監督も指名したと思うから、変に気負いすぎずやれとコミュニケーションを取ってくれた」という働きかけもあり、新キャプテンを支える組織づくりはできている。

 そこで板倉が意識しているのは「最後の責任を取る」という覚悟だ。

「キャプテンというところで責任を持ってやるというのはずっと言っているけど、変に気負いすぎるのも良くない。一緒に戦ってきたメンバーは多いので、そういうメンバーと一緒に作っていく必要がある。ただ、最後のところの責任はやっぱり自分が取らないといけないという覚悟は持っている。今のチームメートを見ているとそこまで問題はない。ただ今まで引っ張ってくれたキャプテンがいなくなる穴は大きいので、そこを(自分が)埋めていきたい」

 主将の不在を乗り越え、まずは強敵オランダとのW杯初戦へ。「もちろんショックな部分はあるけど、ただもうこのメンバーで優勝しないといけない。やらないといけない状況なので、またここからチームを一つに。総力戦になってくるので、今できることは雰囲気づくり。そこはやっていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)