JRT四国放送

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水稲栽培をはじめ、最近では様々な機械が農業の現場で使われています。

こうした中、県内の産官学が一体となって新しい農業機械の開発に取り組む現場を取材しました。

山本記者のリポートです。 

石井町にある、ミニトマトのハウスを訪ねました。

(記者)
「失礼します。うわぁ、ミニトマトってこんな風に実をつけるんですね。まさにすずなり」

春から夏にかけて旬を迎えるミニトマト。

ビタミンCや抗酸化作用が期待されるリコピンが多く含まれた、人気の野菜です。

ハウスでは一年間を通して栽培できますが、実は地球温暖化の影響を受け、数年前からある「ピンチ」に直面しています。

それは…。

(記者)
「気温が高くなると困ることは?」

(県農林水産総合支援センター・近藤颯人 研究員)
「トマトの果実の収量が、少なくなってしまうんです」

トマトが実をつけるためには、花粉が雌しべに定着する、いわゆる「受粉」が必要です。

そこで、これまでのミニトマト栽培では、「ホルモン処理」と呼ばれる手段が使われていました。

専用のホルモン剤を、一つ一つの花に吹きかけていくのですが…

(記者)
「これだけの数に一つ一つ吹きかけていくのは時間もかかるし、大変です」

高齢化が進む中、この方法では生産者の負担が大きくなってしまいます。

そのため、ミニトマト栽培では、昆虫の「ハチ」を使って受粉させる方法が全国的に用いられてきました。

「ハチ」が花から花へと動き回り、自然に受粉を行ってくれる。

「これは良い!」と、うまくいっていたのですが…。

(県農林水産総合支援センター・近藤颯人 研究員)
「トマトで使われている『ハチ』、クロマルハナバチという『ハチ』だが、17℃から28℃が適性の温度」
「近年は、28℃を大幅に超えることが多い、ハチが正常な受粉ができず、トマトの実がなかなかならないという状況」

正常に受粉した場合は同じような大きさに成長しますが、そうでないミニトマトは大きさがまちまちで、十分に育っていないのが一目でわかります。

そこで、県農林水産総合支援センターが目を付けたのが、ハンディブロアーなどで風を起こして人工授粉させる、「送風受粉」と呼ばれる方法。

研究の結果、風速15m程度の風を週3回、1株当たり2秒から3秒あてると、ホルモン処理と変わらない効果を得られることが分かりました。

(記者)
「結局、人が全てを行うのでは農家の負担は大きいまま」
「そこで新たに送風受粉する機械を作ろうと、3年計画で製作されたのがこの試作機です」

試作機の名前は「送風受粉機」。

市販されている、ハンディブロワーなどを組み合わせて作られました。

風を送るダクトの上下の動き、よく目にする機械の動きに少し似ていませんか?

そう、車のワイパーの動きです。

開発したのは、四国唯一の自動車専門の大学、徳島工業短期大学の助道永次 教授と後藤靖司 教授の2人です。

(記者)
「話が来た時、何という話を持ってくるんだとは、思わなかったですか?」

(徳島工業短期大・助道永次 教授)
「本学とは全く関係ないなと思った」
「ものづくりに関しては、本学はいろいろやっている。その部分で協力はできるかなと、まずやってみた」

(徳島工業短期大・後藤靖司 教授)
「開発する時の条件として、農家が自分で修理もできるし、作ることも可能というので」
「ホームセンターにある材料で作ると」

2人は大学での仕事が終わった後や、土日の休みなどを利用して、3か月かけて試作機を完成させました。

(徳島工業短期大・後藤靖司 教授)
「動いたときは嬉しかった。あとは、順調に成果を出してくれることが楽しみ」

現在は試作機を使用した時と、そうでない時とで実の付き方の違いを調べるなど、実証実験が行われています。

データが十分に取れた段階で機械メーカーに成果を公表して、ゆくゆくは自動走行する送風受粉機の商品化を目指しています。

(記者)
「必要性は?」

(みのるファーム・槙野孝 代表取締役)
「だんだんハチが仕事をする期間が、高温化にともなって短くなっていく」
「今の現状からすると、10月20日位までハチが受粉活動をしない」
「春先の4月の下旬位から、今年は受粉活動をしなくなった」
「作業時間が余分に増えるとなったら、送風受粉機は楽しみにな技術だと思う」

試作機が製品化されると、作業の効率化や労働時間の削減にもつながります。

徳島発のアイデアが、全国のミニトマト農家を救う日が来るかもしれません。