iPadの大幅値下げで活況のタブレット市場【道越一郎のカットエッジ】
ここ3年のタブレットの平均単価は、24年5月につけた7万300円がピーク。以降、緩やかな下落傾向が続いてきた。特にこの10月には4万9100円と、4万円台に突入する場面もあったほどだ。しかし、10月の販売前年比は台数で103.8%と微増。金額では81.6%と2桁割れを喫している。さらにこの11月は、平均単価は5万5100円と、5万円台半ばまで急速に戻してきた。にも関わらず、前述のとおりの大幅な販売増を記録した。一方、この7月は平均単価が5万9000円から一気に5万1700円まで下がったことで、台数・金額とも大幅な伸びを示した。一般に、価格が下がれば販売は伸びる。しかし、ここしばらくのタブレット市場は、平均単価の変動と販売前年比がばらばらに動くような場面が散見されている。
スペックや画面サイズは異なるものの、この差は大きい。ところが11月、アップルの平均単価が6万2200円と、10月比で22.3%も大幅に下落した。一方のAndroid勢は、2万7000円から3万4100円に26.1%も上昇。こうした正反対の動きでアップルとAndroid勢の価格差が急速に縮まった結果、アップルが急速にシェアを回復するという現象が起きたわけだ。11月に小売り各社が展開したセールの影響が大きいと見られる。特にアップルの売り上げを激烈に引き上げたのは3月に発売した11世代で11インチの無印iPadだ。10月に5万5200円だった平均単価が、11月には4万8400円と12.3%も下がった。これが「効いた」ようだ。このほか、M3チップ搭載のiPad Airも17.9%の価格下落。アップルのシェア急回復を後押しした。
タブレット市場はアップルの存在感が大きいだけに、同社の動向が市場全体を左右する。なかなか値が下がらないiPadが、セールで安くなったとあれば、売上はあっという間に積みあがっていく。しかし、昨今のメモリー価格の高騰は、タブレット市場にも及ぶことは間違いない。いくら強大なiPadといえども、その影響は免れないだろう。タブレット市場の活況は、一時的なものに終わる可能性も出てきた。買うなら、今のうちかもしれない。(BCN・道越一郎)

