記事のポイント
ナッツドットコムは新ブランド「ポップ&ソル」を立ち上げ、米国主要小売チェーンに本格進出した。
創業以来オンライン中心だったが、オムニチャネルのプレミアムスナック企業への進化を目指している。
関税問題などの外部要因に柔軟に対応しつつ、自社製造とサプライヤー連携で安定供給を維持している。


カラフルなパッケージと漫画調のマスコットで知られるオンラインスナックストアのナッツドットコム(Nuts.com)は、オムニチャネルブランドとしての地位を確立するため、本格的に食料品店に進出しはじめた。

ナッツドットコムは新しいラインのポップ&ソル(Pop & Sol)を発売し、米国全土のターゲット(Target)1346店舗、ザ・フレッシュマーケット(The Fresh Market)166店舗、ショップライト(ShopRite)34店舗に初めて参入する。ポップ&ソルはナッツベースの製品で、現在はローステッドエロテピーナッツ(Roasted Elote Peanuts、コーンスナック味ピーナッツ)やホワイトチョコレートカバードカシューナッツ(White Chocolate Covered Cashews、ホワイトチョコ掛けカシューナッツ)など、甘いものと塩味のものが4種類ずつ、計8種類で構成されている。塩味のものはターゲットで、甘いものはザ・フレッシュマーケットとショップライトで販売される。

ナッツドットコムにとって、食料品店への進出は大きな一歩だ。同社は2016年に買収したブランドのコッパーズチョコレーツ(Kopper's Chocolates)を通じて、ウォルマート(Walmart)、サムズクラブ(Sam's Club)、スプラウツ(Sprouts)に多少は進出していた。しかし1990年代後半からずっと、ナッツドットコムの主要なビジネスは主にオンラインだった。同社は今、2023年に新しいCEOが就任して以来、ほかのチャネルに販路を広げて顧客基盤と売上を拡大することをめざしている。そのために、自社ブランドの名を掲げて初めて卸売事業に参入することになった。

ナッツドットコムのCEOのPJ・オレクサック氏は米モダンリテールに、このローンチをサポートするために1年半にわたり事業の再構築を進めてきたと語った。「社内チームと取締役会をしっかりと組織し、規模の拡大に耐えうるようにシステムとプロセスを確実に整えたかった」とオレクサック氏は述べている。同氏はポップ&ソルを「当社の成長戦略において、非常に重要なステップ」と呼び、「これからが楽しみだ」と付け加えた。

注目すべきこととして、同社がナッツを店舗で販売するのは今回が初めてではない。ナッツドットコムのルーツは1929年に遡り、当時の姿はニュージャージー州のニューアークナッツカンパニー(Newark Nut Company)という家族経営の店だった。そして1999年にナッツオンライン(NutsOnline)としてオンライン販売を開始し、2012年に社名をナッツドットコムに変更した。同社のナッツ、シード、ドライフルーツ、チョコレート製品は米国とカナダで人気がある。年間購入者数は100万人以上で、2019年以降、売上高は2倍以上に伸びている。

事業を拡大するにしたがい、ナッツドットコムはより大きな経済的逆風に直面するようになった。ナッツドットコムは主に自社で製品を製造しているが、トルコ産アプリコットやヒマラヤ産クコの実など輸入しているものもある。4月17日、同社は関税に対する同社の立場を説明するeメールを顧客に送った。このメールには、「最近の関税により、一部のアイテムの入手可能性とコストに影響が出るおそれがあり、状況は変化しています」と書かれている。「幸いなことに、皆さまに愛されている商品のほとんどは影響を受けない見込みです。これからも優れた価値と品質をお届けします」。

オレクサック氏へのインタビューで、ポップ&ソルに関する計画、ナッツドットコムのeコマースの将来、ナッツドットコムが関税問題に最近どう対応しているかについて聞いた。以下のインタビューはわかりやすくするために、編集して要約している。

新しいポップ&ソルブランドを開発することになったきっかけは?



「約1年半前、CEOに就任したときに遡る。当時、我々はミッション、ビジョン、価値観、そして成長戦略のために次に何をするべきかについて考えていた。その結果として、当社が築き上げてきたこの素晴らしいeコマース事業をオムニチャネルのプレミアムスナックブランドに進化させたいという思いが明確になった。

そうなると、そういった事業拡大を成功させるには大胆に行動し、伝統を活用することができる新たなブランドを立ち上げることが重要だということがわかった。このファミリービジネスのおおもとの創業者は「ポピー」ソル・ブレイバーマン氏といい、ポップ&ソルは、まさにその偉大な伝統に敬意を表するものだ。また、この革新的な新ラインはフレーバーを重視しており、「ポップでソウルな」世界に足を踏み入れるチャンスにもなる。高品質な製品の歴史に裏打ちされながら、革新性と大胆なフレーバーでスナック菓子のカテゴリーに大きな変革をもたらす。このブランドが当社のeコマース成長戦略にどのように適合し、それを強化していくのか、とても楽しみだ」。

このところ、健康志向のスナックのカテゴリーは競争が激化している。他社と差をつけ、顧客に真っ先に選んでもらうために何をしているか。



「当社は新製品の開発と市場投入に関する経験が豊富だ。当社のお客さまが訪れる適切な食料品店ブランドと提携し、当社の鮮烈なブランディングが人々の目に留まるようにしている。また、過去25年間当社のeコマース事業を支えてきたあらゆるマーケティング戦略を活用して、小売業界への進出を強化することにも注力している。

我々はデジタルマーケティングとテレビの観点からさまざまなことを行っているが、ポップ&ソルではそういった戦略のすべてを活用する。年齢を重ねたり知識が増えたりすることで人々の健康意識が高まるほど、さまざまな製品がどのように健康に良いのか、どのような栄養があるのかというストーリーを伝える絶好の機会となる。当社の製品に関するストーリーテリングは、当社にとって大きなチャンスだ。

今後、eコマースと実店舗とのあいだで事業の一定割合を配分しようと考えているか。



「どのように事業を再編し、どのように市場に参入するかについては、複数年にわたる計画と予測を立てている。しかし全体として、オムニチャネルのプレミアムスナック企業となるという企業戦略を考えると、お客さまが食品を購入する場所として考えるところにいたいというだけだ。今後もeコマース中心の企業であり続けるが、小売事業が事業全体の一部として成長し、成長戦略の重要な要素になることを期待している」。

数週間前、御社がどのように関税問題に対処してきたかについて、ナッツドットコムのエグゼクティブチェアマンのジェフ・ブレイバーマン氏に話を聞いた。この時期に新ブランドを立ち上げるのは大変だったか。関税に関して現状はどうなっているか。



「非常に興味深い問題だ。すべてのCEO、すべての経営陣が今まさに、この新しい世界を乗り切ろうとしている。我々は皆、入ってくる情報を吸収し、どう対処するかを計画している。常に機敏に動き、情報を集めている。コントロールできないマクロ環境に起因するものごとは常に存在するが、それによってコア戦略や焦点が変わることはない。

ありがたいことに当社には輝かしい歴史があり、サプライヤーとの関係は良好だ。当社では多くの製品を自社工場で製造している。そのため、ある程度の要素はコントロールできるが、現実問題として、生産物の一部は国外で栽培されている。その生産物の生育にもっとも適した気候と環境というものがあるので、そうせざるを得ないのだ。我々は効率を高め、お客さまにとって適正な価格を維持するよう努めている。それが何よりも重要なことだ。

ポップ&ソルの発売に関しては、かなり前から準備ができていたため、関税の影響はなかった。しかし、今後も注視していく。事実、これらの製品のうちいくつかは、核となるナッツが海外で栽培されているのだから」。

[原文:After selling online for 25 years, Nuts.com is making a big push into retail]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image: Nuts.com