糖質を抜くと体に何が起こる? 知らないと危険なダイエットの落とし穴【専門家解説】

糖質制限ダイエットは、体重を落としやすく、見た目の変化も早く感じられることから、多くの人が挑戦しています。しかし、糖質を極端に制限することで、身体に思わぬリスクをもたらすことがあるのをご存じですか?糖質を抜くメリットとデメリットについて、管理栄養士の端場さんに解説していただきました。
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監修管理栄養士:
端場 愛(管理栄養士)
安田女子大学家政学部管理栄養学科卒業。学生寮やクリニック、介護老人保健施設などで幅広い世代の栄養管理に従事。栄養と体の関係を多くの人に分かりやすく伝えるために、フリーランスのライターとして活動中。簡単かつ今よりちょっと健康になれるレシピ開発を得意とする。
編集部
糖質制限ダイエットのような、糖質を抜くメリットは何ですか?
端場さん
糖質を抜くと、血糖値が上がりにくくなるので、脂肪もつきにくくなります。特に、過剰に糖質を摂取している人は、効果を実感しやすいでしょう。また、体内の糖質が不足すると、ケトン体という脂肪由来の中間代謝産物が発生します。脂肪をエネルギー源とするので、脂肪燃焼や体に脂肪がつきにくくなるという効果が期待できるのです。
編集部
ケトン体を発生させれば、痩せやすくなるのですね。
端場さん
たしかに、ケトン体が脂肪を燃やしてくれるというお話をしましたが、ケトン体を利用したダイエット方法はあまりおすすめしていません。というのも、ケトン体が大量に蓄積されると、血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」という状態になることがあるからです。命の危険もあるので、1日50g以下の極端な糖質制限を長期間続けることは、やめた方がいいでしょう。
編集部
ほかに糖質を抜くデメリットは何ですか?
端場さん
糖質を制限すると痩せやすくなりますが、極端に制限するほど反動も激しくなります。また、糖質を減らした分、たんぱく質や脂質の過剰摂取につながりやすく、脂質異常症など別の病気を発症する原因にもなりかねません。
編集部
結局のところ、糖質は抜いても大丈夫なのですか?
端場さん
適度な糖質制限であれば大丈夫です。ただし、先ほどもお話したように、長期間にわたり極端な糖質制限をする場合は、危険を伴います。医師や管理栄養士の指導のもとでおこない、自己判断で糖質制限をするのはやめましょう。また、糖尿病など代謝系の持病がある人は、必ず医師や管理栄養士に相談してください。
※この記事はメディカルドックにて【「糖質制限ダイエット」ってあるけど、糖質は抜いても大丈夫なの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。