「Wacom Intuos Pro」レビュー8年ぶりの大進化!薄さ4mmの新設計とPro Pen 3が生む最高の描き心地
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ペンタブレット、通称板タブのファンが待って、待って、待ち続けていた「Wacom Intuos Pro」新モデルが、8年の沈黙を破り、3月26日にワコムから発売される(small/mediumのみ。largeの発売日は後日発表予定)。
長らくモデルの更新がなかっただけに、8年ぶりの新モデルがどんな出来なのか気になる人は多いはずだ。細かい部分を解説する前に、一言だけ言っておきたい。我々が8年間待ち続けたこの進化は、絶対に板タブファンを裏切らない。
今回は、「Wacom Intuos Pro」の新モデル「Wacom Intuos Pro medium (PTK670K0C)」を試用する機会を得たので、たっぷりとレビューしたい。
【ワコム|Wacom Intuos Pro(2025)】板タブに根強いファンがいるのは、板タブならではのメリットがあるから
まずはWacomのタブレットについての概要と、「Wacom Intuos Pro」の位置づけについて簡単に説明しておこう。Wacomのタブレットには、通称“液タブ”と呼ばれる液晶ペンタブレットと、“板タブ”と呼ばれる液晶なしのペンタブレットがある。
液タブにはエントリーモデルの「Wacom One 液晶ペンタブレット」、中級者向けの「Wacom Cintiq」、有機ELモデルの「Wacom Movink」とプロユースを想定した「Wacom Cintiq Pro」などがある。
板タブには、廉価なエントリーモデルの「Wacom One ペンタブレット」、「Wacom Intuos」、「One by Wacom」シリーズと、プロユースを想定した「Wacom Intuos Pro」シリーズがある。今回はこの「Wacom Intuos Pro」シリーズのラインナップが一新された。
ペンタブレットと言えば液晶ペンタブレットを思い浮かべる人は多いだろうが、板タブにも根強いファンがいる。板タブは決して液タブの下位互換ではなく、板タブならではの利点があるためだ。
例えば、筆者の知り合いのイラストレーターは、手元が隠れるのが嫌だという理由で板タブを使っている。27インチなど大画面で原寸大の絵を描こうとすると、液タブであれば数十万の投資が必要になるが、板タブならタブレットとモニターを別に購入することでずっと安価に環境を整えることができる。また、映像や印刷など色にシビアな現場では、カラーマネジメントモニターに板タブを組み合わせて使用することもあるだろう。
筆者の周りの声をざっくりとまとめてみたが、こうした様々な人が感じている利点こそが、液タブ全盛期の現在も板タブが根強い人気を保っている理由だろう。
薄さ4mm、スリムサイズながら作業スペースは拡大
まずは新ラインナップを紹介しよう。発売されるモデルは「Wacom Intuos Pro small(PTK470K0C)」、「Wacom Intuos Pro medium(PTK670K0C)」、「Wacom Intuos Pro large(PTK870K0C)」。サイズと主な仕様は以下の通り。
ラインナップ
【ラインアップ】
small medium large 外形寸法 215mm×163mm 291mm×206mm 377mm×253mm 読み取り可能範囲 187mm×105mm 263mm×148mm 349mm×195mm 厚さ 4mm~7mm 4mm~7mm 4mm~7mm 重さ 240g 411g 660g 価格 41,580円 62,480円 82,280円
スペック アスペクト比 16:9 付属接続ケーブル USB Type-A to C マルチタッチ機能 なし Bluetooth 有(連続接続時間16時間) 接続切り替え USB/Blurtoothセレクターで最大3台のPCを切り替え使用可 ExpressKey small x 5、medium/large x 10 ダイヤル small x 1、medium/large x 2 ペン Wacom Pro Pen 3、UD Pen 筆圧レベル 8192レベル サイドスイッチ 3または0 対応OS Windows、 Mac 設定 個別設定、プリセット設定グループ
ペンがしっかりグリップし、長時間の作業でも滑りにくい工夫がされている
サイズはこれまで通りsmall、medium、largeの3タイプ。どれも従来の商品より横のサイズが短くなり、mediumとlargeは縦も短くなっている。だが読み取り可能範囲はどれも広くなっており、ほぼ全面が作業エリアになっている。
表面は指を滑らせると、スリスリと多少引っ掛かりのある感触と音がする。ザラザラしているわけではないが、しっかりとペンをグリップしてくれる。
タブレット正面から
タブレットの背面には滑り止めのゴムが付いている
厚さは4mmと非常に薄い
また、今回からアスペクト比がモニターと同じ16:9になっているので、目で見るエリアと同じサイズで作業することができるようになった。ワコム製品にアクセスするためのソフトウェア「Wacom Center」を使って、アスペクト比を変更したり、使用するディスプレイや描画範囲をカスタマイズすることもできる。
マルチディスプレイ環境で作業している時に、例えばモニター1だけを描画エリアに指定した場合、アスペクト比が横に伸びるのを防げる代わりに、モニター2にはペンでカーソルを移動することができなくなる。
最初にインストールする「Wacom Center」によってさまざまな設定が可能になる
作業エリアの厚みは従来製品の約半分の4mmとなり、すっきりした見た目の印象はもちろん、机の上に置いてもまったく邪魔にならない薄さとなった。全体的にコンパクトに、薄く、軽くなっている。
接続はタブレット側がUSB Type-C、PC側がUSB Type-Aで、Bluetoothでの接続も可能。タブレットの右上に切り替えボタンがあり、一番右からUSB、Bluetooth1台とペアリング、Bluetooth2台とペアリングという3つの方法を切り替えることができる。フル充電からは16時間の連続動作が可能なので、イベントなど出先で作業する時に取り回しがしやすい。
右が「USB/Bluetoothセレクター」、隣がBluetooth接続時の電源ボタン、一番左はストラップ用スロット
右側面にはUSB Type-Cのポートがある
操作上の大きな変更は、これまで横にあったExpressKey(エクスプレスキー)とタッチリングが、新たにExpressKeyとダイヤルに進化して、場所がタブレット上部に移動になったことだ。もともとは右利きの人は左側に、左利きの人は右手で操作できるように、横にあったが、タブレットの上にキーボードを置いてショートカットボタンとペンを併用するような使い方をする場合、キーボードに近い位置にあるほうが手の移動が少なくて済むという理由から上部に変更された。
また、これまでのタッチリングでは、指を滑らせるようにして使っていたが、ダイヤルは回すとカチカチという感触が指に伝わってくる。これで、例えばブラシサイズを3段階変えるというような細かい変更が、指先の感触だけでやりやすくなる。
上部に並んでいる「ExpressKey」と「ダイヤル」
実際に使った印象としては、横での操作に慣れていると最初は違和感がある。とはいえ、置き方にもよるだろうが、Ctrlボタンとダイヤルをほとんど手を動かさずに行き来することができるので、慣れてくると作業効率は上がるだろうと思われた。
左手用と右手用のためダイヤルとボタンは2セットあり、両方使うことができるが、ペンを持っている方のダイヤルは左手で使うにはさすがに遠いので、筆者の使い方であれば、よく使うショートカットとブラシサイズ、回転といった頻繁に使う機能を左側のExpressKeyとダイヤルにセットして、右側には基本設定ボタンなど、ペンを持った手を止めて使うような機能をセットするのが使いやすかった。
「ExpressKey」の設定画面
「ダイヤル」の設定画面
「Wacom Pro Pen 3」が付属しており、カスタマイズ性や書き味が大きく進化
これまで「Wacom Cintiq Pro」など、液晶タブレットの上位機種に付属していた「Wacom Pro Pen 3」が標準で付属しているのは大きな注目点だ。「Wacom Pro Pen 3」は書き心地、使い心地を追及しただけではなく、カスタマイズ性も大きく向上している。
購入時には、これまでのペンと同じような先端部分が少し膨らんだ「フレアグリップ」が装着されている。ほかに、先端までまっすぐな「ストレートグリップ」、グリップなしの3形態から好みの使い方を選択できる。最も細いグリップなしにすると、細めのボールペンくらいの握り心地になる。
Wacom Pro Pen 3
スタンドの中には替え芯が入っている
軸部分にはカスタマイズ可能なボタンが3つ付いている。だが、あまりペンのボタンは使わないという人向けに、ボタンを隠すカバーも付いているので、ボタンなしでも使うことができる。ボタンは端に爪をかけて少し力を入れると簡単に外すことができる。
グリップなし
ストレートグリップ
フレアグリップ
軸は中央辺りで2分割できる構造で、くるくるとネジを外すように回すと上が外れる。軸の中にはウエイトが入っており、重さや重心を調整することができる。
芯は従来よりも少し長くなり、より鉛筆やシャープペンシルの書き味に近くなっている。芯の種類にもこれまでのスタンダード芯とフェルト芯に加えて、新たにラバー芯が追加されている。ラバー芯はグリップ力が強く、タブレットに独特なあのつるつる滑るような書き味を低減してくれる。
筆者の環境で短い期間であるが、実際に使用してみた。今回はスタンダード芯と新しいラバー芯を使い比べてみた。ラバー芯はスタンダードよりもグリップ力があり、主線を描く時などに、ゆっくりと描画してもペン先が滑ることがなく、非常に描きやすかった。
髪の毛のような細いラインを一気に描いたり、細かいストロークを繰り返すにもグリップが効いているので、おそらくあまりペンタブレットに慣れていない人でも、紙に描いている時のような自由度で絵を描くことができるのではないだろうか。
Wacom Oneに付属しているペンとのペン先比較
替え芯。左からラバー芯、スタンダード芯、フェルト芯
紙に書いているような安定感で、初心者にこそお勧めしたい
今回使ってみて、筆者はあまりペンのボタンを使わないということもあり、最も細いペンに自分の指にあったグリップを取り付けて、好みの太さで使うのがベストという感触を受けた。これまで使用していたIntuos ProやWacom Oneのペンは、手の小さな筆者には少し太かったのだが、ペンタブレットのペンは「こういうものだ」という思い込みから使い続けてきた。そのため、「Wacom Pro Pen 3」が板タブに付いたというのは本当に「これを待っていた!」という気持ちだ。
ずっとIntuos Proを使い続けている人なら、買い替えを強くお勧めしたい。現在まだペンタブレットを持っていない人は、液タブと板タブのどちらがいいかで迷うかもしれない。冒頭に書いた板タブのメリットなども勘案しつつ、板タブの購入を検討してみてはどうだろうか。
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