記事のポイント TikTok禁止の議論が進行し、ブランドやクリエイターに不確実性が広がっている。 バイラル力が小規模ブランドの成功を支えてきたが、効果は鈍化している。 競争激化で動画制作に必要な労力が増加し、代替チャネルへのシフトが進む。


本記事は、米Digidayで2025年1月7日に公開されました。

2025年1月10日、米国におけるTikTokの運命を決する最高裁判所での正式な審理がはじまる。進行中のこの物語には浮き沈みがあり、ドナルド・トランプ次期大統領は当初禁止を求めていたが、現在は禁止を中止すると公約している

この禁止が実際に施行されるかどうかについては専門家のあいだでも意見が分かれており、このプラットフォームのバイラル力に頼ってきたクリエイターとブランドの両方がTikTokの未来を懸念している。

TikTokがもたらしたブランド成功事例



そうしたブランドのひとつがカラーズアンドコー(Collars & Co.)だ。創業3年のこのブランドは、創業者のジャスティン・ベア氏が2021年に娘の要望で作成したTikTok動画のおかげで人気が出た。同ブランドが得意とするヨレない襟のポロシャツをベア氏が紹介しているこの動画は口コミで広がり、たちまち売上を牽引しはじめた。これにより、ビジネスリアリティ番組の「シャークタンク」(Shark Tank)で何度か取り上げられ、マーク・キューバン氏から100万ドル(約1億5800万円)のスタートアップ資金を調達し、シカゴに実店舗を構え、2024年末までに40万人以上の顧客に100万点の商品を販売するに至った。

ベア氏は、TikTokで獲得した16万人のフォロワーにアクセスできなくなることは、ブランドにとって致命的な打撃ではないものの、大きな痛手となるだろうと述べた。カラーズアンドコーがスタートしたばかりの頃、TikTokはその成功にもっとも大きな影響を与えた。

「当社の現在の規模であれば、TikTokで動画が話題になることは、以前ほど重要ではない」とベア氏はいう。「小規模なブランドにとっては、その価値はずっと大きい」。

動画制作の労力が増加



TikTokは、その不透明ではあるが強力なアルゴリズムのおかげで、ブランドとクリエイター個人の両方をほぼ一夜にしてスターダムに押し上げる力があることで知られている。TikTokで人気が爆発することは新しいブランドにとって恩恵になるが、そうなるかどうかは予測も計画もできないと、長年にわたって多くのブランドが米Glossyに語ってきた。一般的な戦略は、単に動画をたくさん投稿して、そのなかのひとつでも人気が出ることを期待するという方法だ。

しかし、状況は変わりつつあるとベア氏はいう。TikTokでも、そのライバルであるインスタグラムのリール(Reels)やYouTubeショート(YouTube Shorts)でも、オーディエンスを引きつける動画を継続的に制作するために必要な時間と労力は増加している。

「クリエイターや投稿者が非常に増えたため、突き抜けるのが難しくなった」とベア氏は語った。「以前は、1日に1本のペースで投稿し、1週間に1本が人気になった。今、同じ結果を得るには、その2倍は必要だと思う」。

フォロワー数の増加率は低下



全体的に見て、TikTokがブランドにもたらす効果はこの数四半期で鈍化している。既存アカウントのフォロワー数の月間増加率は、2023年半ばには5%だったが、2024年末には3%に低下した。プラットフォーム全体のユーザー数の増加率も、2022年には20%だったが、昨年は9%にまで低下している。

「当社はさまざまなマーケティングチャネルを使用しているため、少なくとも今のところ、追跡できる範囲では、TikTokの禁止が収益に重大な影響を与えることはなさそうだ」とベア氏は述べた。「しかし、ファンとのつながりを失うのは残念だ。禁止が施行されず、解決策が見つかることを願っている」。

[原文:Without TikTok’s virality engine, young brands will be most affected by a ban]

Danny Parisi(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)