元テレビ局員で、合同会社ストーリーマネジメント代表取締役を務める下矢一良氏が自身のYouTubeチャンネルで「なぜ8月ばかり連発するのか?テレビ局が戦争特番に熱を入れる理由【戦争 NHK】」を公開した。動画全体を通じて下矢氏は、テレビ業界で夏になると戦争特番が急増する理由について、メディアの裏事情を明かしつつ、これからの戦争報道のあり方について強い問題意識を持って提言している。

下矢氏は、8月になるとメディアが急に戦争報道に熱心になる現象を、一種の皮肉を込めて「8月ジャーナリズム」と表現した。その理由として、終戦記念日や原爆の日が重なるという恒例行事としての側面に加え、メディア業界ならではの生々しい事情を指摘。8月は企業の夏休みや政治家の外遊などにより、政治も経済も動きが止まるため、ニュースの「ネタ枯れ」が起きやすい時期だと説明する。「枠が空いているからやりやすい」と語り、番組制作の現場における実情を赤裸々に明かした。

また、戦争特番において突出しているのがNHKであり、全体の約7割を占めているというデータに言及。中でもNHK広島放送局は、1年をかけて戦争や原爆の特集を制作する専従の担当者がおり、「素晴らしい作品を毎年出す」と、その公共放送としての使命感を高く評価した。一方で、民放にとって1年がかりの取材は到底不可能であり、戦後80年近くが経過した現在、戦争体験者の高齢化や死去によって新たな証言を得ることはほぼ不可能に近いと語る。「新しい事実も出尽くしている」と述べ、年々番組作りが困難になっている厳しい現実を浮き彫りにした。

動画の終盤、下矢氏は政治記者として総理番を務めていた際、沖縄の慰霊式典で目にした物々しい警備の様子や、戦争を経験した自身の父親がサツマイモを絶対に食べなかったというエピソードを述懐。戦争体験者が持つ「ものすごい拒否感」や強烈な記憶が失われつつある現状に危機感を募らせた。最後に下矢氏は、コンプライアンスや制作費の削減が叫ばれる中で「どういう報道があるべきなのか」と問いかけ、メディアが今の時代に即した新しい戦争報道の形を模索すべきだと提言して動画を締めくくった。

チャンネル情報

元テレビ局員の視点から、業界の裏話やテレビ出演の秘訣をお届け!普段はなかなか聞けない、メディアを活用したビジネス戦略やPRの裏ワザを正直にお伝えします!! 略歴:PR戦略コンサルタント。テレビ東京に入社し『ワールドビジネスサテライト』『ガイアの夜明け』を製作。その後独立し、中小企業を中心に広報・PRの支援にあたる。