「不動産が“格差再生産の装置”に」日経新聞記者が警鐘 10年で2倍、20年で3倍に…東京の新築マンション価格高騰の裏に「空中族」の存在?「住んでいるだけで『億り人』になる人がゴロゴロ」

異常な高騰を続ける東京の不動産市場と若年層の“持ち家離れ”。ニュース番組『わたしとニュース』では「なぜ働いても家が買えないのか」をテーマに、「半投半住」や「空中族」といった現代の住宅事情が抱える歪みと格差拡大の現状について深掘りした。
総務省の調査によると、2008年〜2023年の15年間で若年層の持ち家率は低下傾向にあるという。東京の新築マンション価格は10年で2倍、20年で3倍にも跳ね上がり、ファミリー向けで1億円を超える物件も珍しくない。この現状について、教育経済学者で慶應義塾大学教授の中室牧子氏は賃貸市場への影響を指摘する。
「持ち家を持たずに賃貸で暮らそうという若い人たちが増えているのだと思う。日本総研の最近の調査では、賃貸住宅の家賃も上がり始めている。今まで日本の住宅市場は、持ち家の価格は上がるが賃料はあまり変わらない特徴があったが最近は、持ち家が高すぎて買えないため割安な賃貸に住む人が増え、結果として賃料も上がり始めている状況なのではないか」(中室牧子氏)
働いても働いても…なぜ家が買えない状況に?

ではなぜ、ここまで家が買えない状況に陥ってしまったのか。『なぜ働いても家が買えないのか』の著者で不動産業界に詳しい日経新聞の外山尚之記者は、「不動産価格の上昇に賃金の上昇が追いついていない」と現状を解説。「マンションが投資商品のように扱われるようになり、上昇が上昇を呼ぶサイクルが十数年続いてきたことが最大の理由」と指摘する。
「特にタワマンなどはじりじりと価格が上がっていたため、『ここを買って5年間住んで売れば、利益が取り出せるのではないか』と考える人が増えた。引っ越しを繰り返す『空中族』のような人もいた」(外山尚之記者)
また一番大きなトリガーは、「市中のお金を一気に増やし、金利を下げて借りやすくした」アベノミクスの金融緩和だと分析。
さらに外山記者は、実需(=実際の需要)でありながら半分は投資目的という「半投半住」で家を買う層の存在に触れ、「住んでいるだけで『億り人(=資産一億円超え)』になるような人たちがゴロゴロいる。不動産が“格差再生産の装置”として機能するようになってしまっているのではないかと危惧している」と警鐘を鳴らした。
背景に“東京特有の事情”も?

この指摘に中室氏は外山記者の見解に同意した上で、「賃金に関しては、住宅価格が上がるスピードに賃金が追いつかなかったという点は非常に大事」だと述べる。
「住宅は資産のため将来の期待を反映して価格が決まるが、賃金は生産性を反映するものであるため、じわじわとしか上がらない。そのため、資産価格の方が賃金よりも早く動きやすい傾向がある。一方で金利が下がった点については、金利が低いと借りられるお金が増えるため、住宅価格は上がる方向に行きやすい」(中室牧子氏、以下同)
また中室氏は、“東京特有の事情”があると見解を示す。
「全国的に見ると住宅価格はそこまで大きく変化しておらず、東京23区の都心部だけが急騰している。都心は新築マンションを建てる土地の供給が少ない一方で、今後30年を見ても全国では約20%人口が減ると推定されているが、東京の人口は逆に増加すると予測されており、需要が強い。それが価格高騰の要因だと考える」
“投機的な動き”がさらなる価格上昇に?
さらに外山記者が警鐘を鳴らす格差拡大への懸念について、中室氏は「投機的な動き」の存在を指摘する。
「日本総研のレポートによると、東京23区の新築マンションの9.3%が取得後1年以内に転売されている。1年以内ということは居住を目的としていない投機的な行動をしている人たちが一定割合いるということで、投機的な動きがあると余計に値段が上がってしまう。ただ全体としては10%以内に収まっているため、全体の住宅価格の高騰をどれだけ説明しているのかについては慎重に見なければならないが、投機的な動きが起きているのは間違いない」
こうした上で「外国人の所有割合」についても触れ、重要なポイントを次のように語る。
「外国人の所有割合は3%程度と非常に少ない。国会でも一時期、外国人の不動産取得を規制した方が良いのではないかという議論が出たが、外国人かどうかではなく国籍によらず投機的な売買をいかに制限できるかが大事なポイントだと思う」
(『わたしとニュース』より)
