卵アレルギーの予防には「生後何カ月から」卵を食べさせるとよい? 最新エビデンスを医師が解説

赤ちゃんの離乳食で「卵はいつから、どう与えればいいの?」と悩む人は多いのではないでしょうか。近年、卵を早期に離乳食に取り入れることで卵アレルギーを予防できる可能性があるとして、日本を含む世界的に>離乳食のガイドラインが見直されています。今回、オーストラリアの研究グループから、ガイドラインの改訂前後で卵アレルギーを持つ子どもの割合が実際に減少したとする研究結果が発表されました。この内容について山田先生に伺いました。

監修医師:
山田 克彦(佐世保中央病院)

大分医科大学(現・大分大学)医学部卒業。現在は「佐世保中央病院」勤務。専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接。日本小児科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

オーストラリア・クイーンズランド大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

山田先生

オーストラリア・クイーンズランド大学の研究員らの調査で、卵の早期摂取を勧めるガイドラインの改訂後、乳幼児の卵アレルギーを持つ子どもの割合が減少したことが分かりました。対象は、メルボルンで予防接種を受けた生後11~15カ月の赤ちゃんで、ガイドラインが改訂される前(2007~2011年)と後(2018~2019年)の2つのグループ、計7209人を比較しています。
改訂後は、卵を初めて食べ始める年齢中央値が生後8カ月から6カ月へと早まっており、それに伴い、卵アレルギーを持つ子どもの割合は9.2%から7.6%へ減少していました。特に、早くから湿疹(皮膚の炎症)が出ていた赤ちゃんでは、卵アレルギーの有病率は34.6%から21.9%へと大きな減少がみられました。
研究グループは、卵の早期導入を勧めるガイドラインの改訂が、実際に子どもの卵アレルギーを減らす効果を持つ可能性を示していると述べています。

卵アレルギーとは?

編集部

今回のテーマに関連する卵アレルギーについて教えてください。

山田先生

卵アレルギーは乳幼児で最も多い食物アレルギーの一つで、主に卵白のタンパク質が原因(アレルゲン)です。加熱によってアレルゲン性が下がることが多いため、生卵がアレルギー症状のために食べられなくても、加熱した卵は食べられる場合があります。また、多くの子どもは成長とともに食べられるようになります。
かつては一部の予防接種に慎重な判断が要求されていましたが、現在ではほとんどのワクチンが接種できるようになりました。またこの研究でも述べられているとおり、離乳食期の加熱卵の摂取さえ推奨されるようになりました。卵アレルギーの正確な診断には、食物経口負荷試験(少量ずつ原因食品を食べさせて症状の有無を確認する検査)が必要です。食物経口負荷試験が難しい場合でも、疾患予防と栄養面の双方から医師による助言が必要です。

内容への受け止めは?

編集部

オーストラリア・クイーンズランド大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

山田先生

近年の食物アレルギー予防の考え方を支持する興味深い内容です。以前は「食物アレルギーを防ぐには原因となる食品の摂取をできるだけ遅く始める」という考え方が一般的でした。しかし、ピーナッツアレルギーの予防効果を示したLEAP試験をはじめ、多くの研究により、現在では適切な時期に口から食べることで「経口免疫寛容」(体がその食品に慣れ、アレルギー反応が起こりにくくなる仕組み)が誘導されると考えられています。

今回の研究は、上記の考え方が実際の診療や社会に浸透し、卵アレルギーの減少につながっている可能性を示した点に意義があります。ただし、ガイドラインの改訂前後を比較した観察研究であり、早期摂取だけがアレルギー減少の原因と断定することはできません。日本の専門家は、生後5~6カ月から離乳食と加熱した鶏卵を開始することに加え、離乳食開始前から湿疹など皮膚の炎症がある場合は早期に治療し、皮膚の状態を良好に保つことも推奨しています。

まとめ

今回の研究は、離乳食で卵を早めに取り入れることが、卵アレルギーの予防につながる可能性を示しました。ただし湿疹が多いなど、食物アレルギーの発症が心配なお子さんの場合は、親御さんの自己判断で急に経口摂取を進めるのは禁物です。医師に相談しながら、生後6カ月を目安に少量の加熱卵から試し、様子を見つつ少しずつ量を増やしていくことが、毎日の離乳食づくりに活かせるポイントといえるでしょう。