老後資金「2000万円」を用意できた60代はどれくらいいる? 定年までに「1200万円」しか貯められなかったわが家は“老後貧乏”になるでしょうか?
老後資金2000万円を用意できた60代は約4割
「老後資金は2000万円必要」という話を聞き、定年までに十分な貯蓄ができなかったことを不安に感じる人もいるでしょう。実際に、60代で2000万円以上の金融資産を保有している世帯はどれくらいいるのでしょうか。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年(二人以上世帯)」によると、60歳代の金融資産保有額は平均2683万円、中央値は1400万円です。また、金融資産が2000万円以上ある世帯は39.6%となっています。
平均額だけを見ると「多くの人が2000万円以上持っている」と感じるかもしれません。しかし、平均値は一部の資産を多く保有する世帯によって押し上げられる傾向があります。一方、中央値はデータを小さい順もしくは大きい順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる値であり、実態に近い水準を把握しやすい指標です。
中央値が1400万円という結果からも分かるように、2000万円に届いていない60代も決して珍しくありません。そのため、1200万円しか貯められなかったとしても、「自分だけが大きく遅れている」と考える必要はないでしょう。
老後資金1200万円では老後貧乏になる?
では、定年時点で1200万円の金融資産しかなかった場合、老後貧乏になるのでしょうか。
結論からいえば、貯蓄額だけで判断することはできません。重要なのは、年金収入と毎月の支出のバランスです。
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得よりも消費支出が多く、毎月4万円ほどの不足が生じています。この不足分は、預貯金の取り崩しなどで補うケースが一般的です。
仮に毎月約4万円の不足が20年間続いた場合、不足額の合計は約960万円になります。1200万円の金融資産があれば、単純計算では不足分を補える計算です。
ただし、これはあくまで平均的な家計を前提にした試算であり、医療費や介護費、住宅の修繕費などの臨時支出が発生すれば、必要な資金はさらに増える可能性があります。
一方で、公的年金が平均より多い家庭や、定年後も働いて収入を得られる家庭では、貯蓄をそれほど取り崩さずに生活できる場合もあります。反対に、住宅ローンが残っていたり、支出が多かったりすると、2000万円以上あっても安心とは言い切れません。
つまり、老後貧乏になるかどうかは、貯蓄額だけではなく、収入や生活費、住まいの状況などを総合的に考える必要があります。
まとめ:老後の不安を減らすために今からできること
老後資金が1200万円だったとしても、悲観する必要はありません。まずは、年金の見込額と毎月の生活費を確認し、家計の収支を把握することが大切です。
例えば、固定費を見直して毎月2万円支出を減らせれば、年間では24万円、20年間では約480万円の節約につながります。また、健康状態に合わせて短時間でも働き続けられれば、年金以外の収入を確保でき、貯蓄を長持ちさせやすくなります。
さらに、退職金の使い方も重要です。まとまった資金を一度に使うのではなく、生活費や急な出費に備えて計画的に管理することで、老後の安心感は大きく変わります。
老後資金は「いくら持っているか」だけではなく、「どのように使い、どのように生活するか」が重要です。
自分たちの家計を見直し、必要に応じて支出の調整や収入の確保を行えば、1200万円の貯蓄でも安定した老後生活を送れる可能性は十分にあります。不安だけに目を向けるのではなく、今後の家計を具体的にシミュレーションし、自分たちに合った老後資金計画を立てることが大切です。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年 二人以上世帯 各種分類別データ(令和7年) 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

