地震が続くなか、避難生活や在宅避難、停電・断水時などに役立つ情報をあらためて紹介します。少しでも今後の備えや日々の安心につながれば幸いです。

災害自体が落ち着いても、被災した状況下での暮らしは続きます。そんなときに怖いのが、不衛生な環境で病気にかかること。高齢者だけでなく、若い人にもリスクがあるのです。そこで「被災後の健康を守るテクニック」について、国内外30件以上の被災地で医療支援を行ってきた、国際災害レスキューナースの辻直美さんに教えてもらいました。

※ 記事の初出は2025年7月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。

病気を防ぐのがいちばん。衛生状態を保つ備えを

「災害により断水すると衛生状態が保てなくなりますし、環境の変化やストレスで睡眠の質が低下。体力は消耗し、免疫力が低下するので、丈夫で健康な人でも感染症にかかりやすくなります」(辻さん、以下同)

軽い風邪でも、治療が受けられず、気管支炎や肺炎にまで至るケースが頻発するそう。とくに多いのが誤嚥(ごえん)性肺炎。阪神・淡路大震災の災害関連死の4分の1が肺炎で、そのほとんどが誤嚥性肺炎だったそう。誤嚥性肺炎とは、細菌を食べ物や唾液と一緒に間違って飲み込んでしまい、細菌が器官を通って肺に入り、感染・炎症を引き起こす病気のこと。高齢者がなるイメージがありますが、不衛生な環境では若い人もかかります。

「シモ系の感染症にかかる人も多いです。救援物資や保存食は塩分が多いうえ、なるべくトイレを使いたくないからと水分を控えがち。結果、尿道炎を発症して、そこから膀胱(ぼうこう)炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、腎不全にまで進むケースも。『自分は健康だから大丈夫』と過信をせず、万全の対策をとってください」

1:歯みがきを怠ると、若い人でも誤嚥性肺炎のリスクも

避難所生活は誤嚥性肺炎のリスクが。

「歯みがきをしなければ、口の中が雑菌だらけになり、抗菌作用のある唾液の分泌も減少。加えて、避難所生活は会話や娯楽が少なく口の機能低下が起こりやすく、嚥下(えんげ)に影響が出て誤嚥をしやすくなるのです」

●飲める成分のみの歯みがきは被災時に重宝!

飲み込んでも安全な植物由来の食品とオーガニック成分のみ使用の歯みがき・口腔ケア製品。水なしでも口腔内の清浄、口内保湿などのトータルケアを実現。

●水なしで使えるお口と命を守る便利なキット

コンパクトな無水ハブラシと歯間を掃除するフロス、汚れをふき取る仕上げのハミガキシートのセットが朝晩2回×3日分。水なしでオーラルケアがしっかりできる。

2:腎不全になる場合も。デリケートゾーンのケアは必須

女性の場合、避難生活のストレスからおりものが増えがち。それだけでも不快ですが、清潔を保てないことでさまざまな病気のリスクが。

「たとえば、膀胱炎になって、そこから腎盂腎炎を発症。体調が悪いのに人に言えず慢性化して、透析が必要になるまで悪化してしまうケースも」

●水が使えなくてもペットボトルシャワーで洗浄を

陰部は濡れタオルなどでの清拭(せいしき)だけではすっきりしません。

「ペットボトルに水を入れ、穴をひとつあけたキャップをつければ簡易ウォシュレットになります」

ペットボトルのキャップにキリなどで穴をあけるだけ。辻さんは主要メーカーのキャップを複数、常に携帯。

●デリケートゾーンに使える天然由来のボディミスト

殺菌剤やアルコール不使用。ボディや髪、デリケートゾーンに使えるミストで、においケアと保湿ができる。シトラスシャワーの香り。

「アミノ酸の消臭技術から生まれた商品だそうで効果も実感できます」

3:香りでストレス緩和も大事

「ニュース映像では絶対に伝わりませんが、被災地ではにおいのストレスもあります」と辻さん。

「人は五感を傷つけられると、生きる希望が損なわれます。心を癒やしてくれるお気に入りの香りを備えて」

●汚れ落ち抜群のクリーナー。ペットのにおい対策にも

洗浄・消臭・除菌の3機能を備えた、成分のほとんどが水のマルチクリーナー。普段の掃除から汗臭消し、ペットの体ふきや糞尿のあと始末にも。化学添加物不使用。

●好きなアロマオイルや柔軟剤、お茶の香りも有効

女性や子どもはスイートオレンジ、男性はバニラ系を好む傾向がありますが、自分の好みの香りでOK。

「平時から『この香りで気持ちが落ち着く』という習慣をつけておくといいですよ」