《この世の光景とは思えない“巨大な白煙”》「『イオンで火事ばい!』と凄い形相で…」「2016年の10倍は揺れた」住民が語った最大震度7の熊本を襲った“爆発と白煙”
「揺れの体感としては、2016年の熊本地震の10倍はありましたね……」──恐怖を隠しきれない声色で明かすのは熊本駅からほど近い場所にある居酒屋「うたの木」の店主だ。
【写真を見る】警察の部隊が撮影した「イオンモール熊本」内部ほか
7月28日午後4時27分ごろ、熊本県を最大震度7の激しい揺れが襲った。高市早苗首相は翌29日午前8時30分時点で、災害との関連を調査中の人を含めて、死者が13人に上ることを明らかにした。県内でおよそ3万6700戸が停電し、八代市の日本製紙八代工場では煙突が折れて一時11人が閉じ込められるなど、各地で大規模な被害が確認されている。
今回の震源は、10年前(2016年)の熊本地震の震源からわずか約20キロの場所だった。現地では「前回をはるかに凌ぐ激しい揺れだった」と口にする人も多く、再び襲いかかった大災害が住民に大きな恐怖を与えている。取材班は、現地の人々の声を聞いた。
「前回の10倍の揺れ」立っていられないほどの恐怖
冒頭のように「揺れの体感としては2016年の10倍」と明かす居酒屋「うたの木」の店主。店舗や自宅の被害も大きかったという。
「最初は横揺れで、その後に縦揺れが始まって本当に恐怖を感じました。あまりの揺れに立っていられず、しゃがみ込んでいたのですが、ガラス類がすべて倒れてきて、その破片を避けるのがやっとでした。
地震発生時、家族は3階にいたのですが、キャビネットや鏡台が割れてしまって、3階は今も断水しています。幸い家族は無事でしたが、2、3階は特に揺れがひどく、まだ震度4クラスの余震が続いているので今晩は皆1階で過ごします。
駅前の被害は直接見ていませんが、タクシー待ちの行列が100人以上できていて凄まじい光景でした。今日は営業を休みにしましたが、明日は予約で満席なので、どうしようか頭を抱えています……」
揺れのすさまじさは各地でパニックを引き起こした。嘉島町にあるコンビニの店長は、惨状をこう振り返る。
「もう立っていられなくて、室内を転げ回ったよ。本当に死ぬかと思った。それに、駐車場が液状化して水が上がってきたんだよ。業者を呼んで駐車場でやりとりしていたら、突然『ドーン!』って鼓膜が破れるくらいの爆音がしたんだ」
爆音の正体はイオンモール熊本での爆発だった。店長が続ける。
「見渡したら、イオンモールの方から白い煙が凄い勢いで出ていてさ。うちからイオンモールまでは1.5キロくらい離れているんだけど、パトカーやら消防車やらのけたたましいサイレンの音が鳴り響いて。そうしたら、イオンモールの方から逃げてきたお客さんが『イオンで火事ばい!』って凄い形相でうちの店に駆け込んできたんだ」
イオンモールの向かいにある洋菓子店の店員も、この時の異様な恐怖を証言する。
「地震から1時間くらい経った頃でしょうか、『ドコーン』という耳の鼓膜が破れるくらいの地響きがあって。また地震か?と思ったら、向かい側のイオンモールから白い入道雲みたいな煙が出ていたんです。この世の光景には見えなくて、ただ事ではないと感じました。
人が避難している姿などは見えなかったのですが、パトカーや消防車、救急車のけたたましいサイレンが鳴り止まず、目の前の幹線道路は大渋滞となっていました。今は電気と水は問題なく使えますが、ガスが通っているかはまだ確認中です。今日は臨時休業にして片付けをしており、ケーキは無事でしたが、ワインやお菓子、棚などが崩れてしまいました。被害総額は20万円以上になるかと思います」
コンビニには人々が殺到
周辺の店舗の多くが休業や片付けを余儀なくされる中、いち早く営業を再開したコンビニには、食料や日用品を求める人々が殺到したという。前出のコンビニの店長が明かす。
「うちの店がやっているという情報が回ってきたらしくて、もう60坪のお店が人で身動きが取れないくらい、もみくちゃの満員状態になったよ。パンやおにぎりとかはあっという間に完売。停電はしていないからアイスとかはまだあるけど、トイレットペーパーとかの生活用品もほとんどないね。店の中はもうすっからかんだよ」
毎年10月には、被災したイオンモール熊本の周辺で「かしま水の郷まつり」という花火大会が開催されるのが地元の恒例行事だという。
「今年はもう無理だろうな……」
コンビニの店長はポツリとそうこぼした。
気象庁は、今後1週間程度は最大震度7程度の激しい地震に注意するよう呼びかけている。
