ミラクル福山 春夏通じて初の甲子園!小田監督就任4カ月で公立高校導いた 広商撃破 人間的成長が一番「ついでに勝とうね」最高の結末
「高校野球広島大会・決勝、福山4−3広島商」(28日、マツダスタジアム)
ミラクル福山だ。決勝戦が行われ、福山が広島商を4−3の逆転で下し、1975年の創部以来、春夏を通じて初めての甲子園出場を決めた。1−2の六回に松井湧心捕手(3年)の中前2点適時打で逆転し、逃げ切った。監督として西条農と総合技術で計3度、甲子園に導いた小田浩監督(62)が4月に就任。公立高校を、わずか4カ月で聖地に導いた。
マウンドにできた歓喜の輪。抱き合い、最高の笑顔でマツダスタジアムの空を力強く指さした。広島商を逆転で下し、たどり着いた頂点。小田監督に導かれた福山ナインが、創部52年目で春夏を通じて初の甲子園出場を勝ち取った。
21年ぶりの公立対決。三回までに2点をリードされたものの、焦りは一切なかった。五回に1点をかえすと、六回無死二、三塁で松井が逆転の中前2点適時打。「日頃から練習している中堅への打撃ができた」。七回にも福島悠杏内野手(3年)の左越え適時三塁打で加点し、逃げ切った。
これまで16強が最高。8強以上の戦いは未知の世界だった。終盤で逆転し、勝利をつかみ取るのが“小田野球”。快進撃を続けるごとにナインはたくましさを増し、決勝の舞台でも力を発揮した。小田監督は「一番驚いているのは私。本当に選手のおかげ。ありがとう」と感謝した。
4月から福山の監督を務める。西条農、総合技術で計3度、甲子園に導き、2011年夏を最後に現場を離れていた。定年まで1年を残し、監督就任の打診を受けた。「人生100年時代。そういうタイミングで話をいただいた」。西条農、海田、総合技術に次ぐ、公立4校目の監督を引き受けた。
就任直後に選手、保護者らを集めて1時間半にわたり語ったのは「勝利至上主義」からの脱却だった。「全国で勝てるのは1校だけ。誇り高い敗者、謙虚な勝者になろうと話した。でも、ついでに勝とうね、と伝えた」。勝敗に加え、人間的な成長を重視する姿勢がチームの土台となっている。
その象徴が激戦の合間に見せた選手の姿だ。準々決勝後から準決勝までの3日間、3年生全員が練習後に夕方まで模擬試験を受けていた。福山は進学校でもある。文武両道を体現し、厳しい日程も前向きに乗り越える姿に、グラウンド外での確かな成長がのぞいた。
広島商OBで3年時の夏の甲子園では準優勝も経験している小田監督。母校を破っての優勝となり、福山を含め、甲子園に導いた3校とも公立高校だ。聖地での戦い方を問われると「イメージは全然湧かなくて。渡辺主将をはじめ、選手から良い提案が上がってくると思う」と目尻を下げた。
「ついでに勝とうね」から始まったドラマは最高の結果を迎えた。「ワンチャンあるぞ」と選手を信じ、頼もしく成長した選手とともに踏む甲子園の土。福山の新たな歴史が幕を開ける。

