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昨年3月に日本デビューしたEVモデル

前回レポートした『Q5』のディーゼルから乗り換えたのは、同じアウディの『SQ6 eトロン』であった。昨年3月に日本デビューしたEVモデルだ。

【画像】求める理想の乗り味はEVでこそ活きる! 約1200km乗った『アウディSQ6 eトロン』 全46枚

現在日本でのQ6 eトロン・シリーズは、以下のようなラインナップとなっている。


今回のレポート車は『アウディSQ6 eトロン』。昨年3月に日本デビューしたEVモデルだ。    平井大介

●Q6 eトロン:バッテリー総電力量83kW/駆動方式RWD/最高出力185kW/最大トルク450Nm/航続距離589km/価格839万円
●Q6 eトロン・クワトロ:バッテリー総電力量100kW/駆動方式4WD/最高出力285kW/最大トルク580Nm/航続距離663km/価格998万円
●SQ6 eトロン:バッテリー総電力量100kW/駆動方式4WD/最高出力360kW/最大トルク580Nm/航続距離685km/価格1320万円

Q5の価格帯が787〜1098万円なので、補助金によってはQ6のほうが安くなるという逆転現象が起きているのはさて置き、昨年10月には上記3グレードに対し価格+39万円で、スポーティなボディスタイルのスポーツバックも設定されている。

今回は標準ボディの最上級モデルである『SQ6』で、京都のラグジュアリーホテル『デュシタニ京都』まで走りそこで1泊。翌日戻るという試乗プログラムに参加した形だ。筆者は静岡県東部の自宅から京都まで往復し、その前後にも他の取材などで使用したため、合計1200km近くを走ることになった。

ちなみにアウディ・ジャパンとデュシタニ京都は『サスティナブルな宿泊体験』を提供すべく、2023年にコラボレーションを開始。当初はホテル専用車両として『eトロン・スポーツバック55クワトロ』を導入し、昨年8月には『Q8 55 eトロンSライン』に入れ替えとなっている。

地下駐車場には200V/8kWの充電器が4基設置されるため(2基がアウディ製、2基がポルシェ製)、今回は事前に予約し活用させて頂くこととした。

SQ6が良すぎてQ5のディーゼルが霞む

さて、SQ6に乗り始めて思ったことを正直に書くと『良すぎてQ5のディーゼルが霞む』というものだった。そして『やはりアウディはEVで乗るべき』とも。

乗り味の上質感は明らかにQ5よりSQ6のほうが上で、ディーゼルとEVの違いから想像する以上の差異があった。街中でも高速でもとにかく乗り心地がよく、絶妙なフラット感がある。もしやと気になって、信号待ちで車内に置いてあるスペックシートを見て納得した。そう、このSQ6はエアサスペンション付きなのだ。


目的地となったラグジュアリーホテル『デュシタニ京都』の地下駐車場で充電中(200V/8kW)。    平井大介

前回Q5の原稿で書いた『別のアウディで乗ったエアサスが素晴らしかった』というのは実はSQ6の話で、その一挙手一投足から高級感が漲ってくる。ちなみに車重の重いEVとエアサスの相性は抜群で、全車標準でもいいのではないかと思っている。

ボディサイズは全長4770mm、全幅1965mm、全高1670mm、ホイールベース2895mmと特に京都の街中ではかなり大柄で、デュシタニ京都の駐車場を出る際にも神経を使う場面があった。しかしその大きさは、ワイドさゆえの安定感に繋がっており、とにかくクルマが落ち着いている印象だ。

ストレスが少ない、快適という言葉が似合うクルマで、今回の走行ルートでは『S』というグレード名がイメージさせるほどスポーティには思えなかった。実際は相当速いはずだが、安定しているがゆえに速度感がないことが、その理由ではないかと思っている。ただし、その加速に動的質感の高さが伴っていたことは強調しておきたい。

やはりぬるっとしているステアリングの感触

気になったところは、前回のQ5でも記したADAS系の制御。ひと世代新しくはなっているようだが、不自然さが伴う場面があった。また、ステアリング中心のぬるっとした感触も同様で、これはあくまで好みの話として、最後まで気になってしまった。

あとは、ステアリングに備わるタッチスイッチの操作に慣れることができなかったのと、センターディスプレイのインターフェイスも使いこなすのに時間がかかりそうだった。今回の期間で言えば、時計を表示させる方法がわからず不便に感じた。


京都から戻った翌日、自宅から一番近いアウディ沼津で急速充電。    平井大介

気になる航続距離だが、デュシタニ京都で91%まで普通充電した際に表示されたのは515km。帰宅した翌日に『アウディ沼津』で80%まで急速充電して376km、その後、自宅で91%まで普通充電して466kmと表示された。ちなみに100%まで充電する設定にした普通充電でいずれも91%になったのは、偶然なのか、何かしらの充電カットが入ったかは不明だ。

100%まで充電すれば500km台後半も見えてくるかもしれないが、都内からだと京都まで充電なしで行くのは心許ないかもしれない。また、クルーズコントロールで固定して法定速度100〜120km/hで走った時の電費はあまりよくない印象で、6月中旬となる今回の走行条件において、カタログスペック685kmはだいぶ遠かった。

アウディが求める理想の乗りやすさ

なお、ハイ・パワー・チャージング(HPC)の急速充電ステーションであれば、約21分で10%から80%の回復が可能で、チャデモ方式の150kWでも約35分だという。一方、京都から帰宅した際に15%まで減っていたので自宅の普通充電(3kW)を始めたところ、100%まで20時間と表示された(それで諦めて翌日アウディ沼津に向かった次第)。

やはり3kWでは、バッテリーサイズの小さいモデルやPHEVが現実的で、このSQ6のように大きなバッテリーのEVは、生活圏にディーラーやHPCなどが必須であることを実感した。なお、アウディ沼津は特に予約もせず訪れたのだが、雨の中、傘を持って駆け寄って頂き、歓迎ムードに心が温まる思いだった。


インターフェイスには慣れが必要と感じたコクピットまわり。派手過ぎない赤レザー内装は好印象。    平井大介

このSQ6に限らず、最近のeトロンに乗っていて思うのは、アウディが昨今求める理想の乗りやすさはEVのほうが表現しやすいのではないか、ということだ。

RSのようなスポーティさ、ディーゼルのような圧倒的な航続距離が必要ならエンジンを選ぶべきだが、エンジンが黒子になればなるほど、だったらEVのほうがいいと思ってしまう。冒頭に書いた『やはりアウディはEVで乗るべき』というのはそういう意味で、1200km近くを走る過程で段々と身体に馴染んできて、じわじわと愛着が湧いてきた。

デイトナグレーパールエフェクトという、前回レポートしたQ5と同色の主張しすぎないボディカラーは、質実剛健のドイツ車らしく好印象。SQ6の派手すぎない赤いレザー内装もいい塩梅だ。長年イタリア車を乗り継ぐ筆者であるが、Q5のディーゼルもEVのSQ6 eトロンもそれぞれ良さがあって、アウディを選ぶ人たちの気持ちがわかった……と今回は結論付けておこう。

最後に『デュシタニ京都』のこと

最後に、今回宿泊体験をさせて頂いた『デュシタニ京都』を紹介しておきたい。

2023年9月に、京都西本願寺と東本願寺に挟まれるような場所にオープンしたデュシタニ京都。京都の街並みに静かに溶け込む佇まいで、場所柄、高さは4階建てに抑えられているが、部屋数は147室と思いのほか多い。


元は小学校だった敷地に建てられたため、建物西端には二宮金次郎像(写真)が今も佇んでいた。    平井大介

タイ人のデザイナーが施したインテリアデザインは、アユタヤの仏塔と京都の寺院から発想を得ており、細部まで曲線を組み合わせて表現している。タイシルクで仕立てた着物が飾られていたり、スパで使われる小物がベンジャロン焼きだったりと、タイの文化をそこここで感じられる。

枯山水の中庭を抜けた先にあるのは、日本にありながら本場のタイ料理を提供するレストランに対し、タイ国商務省国際貿易振興局が与える基準認定マーク『タイ・セレクト』において、日本で唯一三つ星を獲得している『アヤタナ』。その味は『天国の街』を意味するデュシタニという名前を象徴している。

4基ある充電器の使用率は、スタッフさんによるとオープン当初より増加傾向にあるという。宿泊者のみならず、食事に訪れる近隣の方にも定着しつつあるようだ。

なお、個人的に何度も訪問経験のあるタイという国が好きなので、食事や施設の雰囲気、そしてサービスの空気感に至るまでタイらしいところに心地よさを覚えた。