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柔軟剤などの香りで体調不良になる「化学物質過敏症」。香りの害「香害」が広がっている、その実態とは。

【写真を見る】柔軟剤などの匂いで体調不良に “香害”に苦しむ子どもたち 「学校は大好きなのに…」 気分が悪くなって教室に入れない

(大石邦彦アンカーマン)
「2m以上離れていますが、このくらいの距離なら大丈夫?」

(仮名 あおいさん)
「大丈夫です」
Q.今おいくつですか?
「14歳です。中学2年生」

Q.今マスクをしているが、ないと生活できない?
「外だと(マスクなしでは)生活できない」

愛知県豊橋市に住む中学2年生(14)のあおいさん(仮名)。柔軟剤や芳香剤などの、人工的な香りが引き起こす体調不良に悩まされています。

きっかけは学校の改修工事 “化学物質過敏症”に「頭を殴られるような痛さが」

取材は、洗濯物の匂いがする住宅街からは離れた屋外で、距離を取って行いました。

(仮名 あおいさん)
Q.何歳ぐらいからどんな症状がではじめた?
「小3から。きっかけは学校の改修工事で、石油系のにおいから始まった。ガツンとくるにおいってあるじゃないですか。頭を殴られるような痛さが来る感じ」

(母親)
「娘が帰ってきて『学校行きたくない 学校くさいから』って泣きながら言った。きっとそれまで、ずっと我慢していたんだと思うんですけど…」

医師の診断は「化学物質過敏症」。柔軟剤や芳香剤・塗料や食品添加物など、ごく微量な化学物質に反応し、頭痛や倦怠感など様々な症状が出ます。

人工的な香りで体調不良の子ども 推計70万人「香害」の認知進まず

(仮名 あおいさん)
Q.学校はどうしてる?
「学校は部活と(屋外の)体育以外行っていなくて。それ以外は自宅でアプリを使って勉強をしています」

Q.学校が嫌な訳ではない?
「めっちゃ大好き」

教室で誰かが制汗スプレーを使ったり、香料の入ったハンドクリームを塗ったりするたびに気分が悪くなって、教室に入れなくなります。

(母親)
「専門医がいないので、何で具合が悪くなっているのか分からない。学校に行くと頭が痛い。もしかしたら柔軟剤のせいかもしれないって発想が、保護者が知識を知っているかどうかで(できる対応が)変わってくる」

2024年、中学生以下の子ども約1万人を対象に行った調査によると、人工的な香りで体調不良を経験したことがある子どもは、全体の8.3%。国内に70万人余りと推計されます。

このうち、4人に1人が「香りが原因で学校に行くのを嫌がったことがある」という結果も出ています。香りの害「香害」とも呼ばれますが、社会の認知は進んでいるとは言えません。

原因は共用の「給食エプロン」柔軟剤の香りで体調不良に

名古屋市内に住む、小学6年生(12)のゆいさん(仮名)。学校内での「香害」を訴えています。

(仮名 ゆいさん)
給食の白衣 エプロンにそのにおいがついていて、その白衣を着たときに(においが)きついなと感じました」

Q.最初にその香りを嗅いだときはどんな感じ?
「『うっ』ていう…。なんだこのにおいはみたいな、そういう匂い。給食前だったので、食欲がなくなったり頭が痛くなったりした」

給食の配膳の際に着けるエプロンは、当番の児童が自宅で洗濯をして使い回していましたが、ゆいさんは5年生の頃から、クラスメートが洗濯して持ってきたエプロンの香りで頭が痛くなったり、気分が悪くなったりしました。

(仮名 ゆいさん)
「周りから何言われるか分かんないし、『何言っているんだ』みたいになると嫌だから、言いづらかった」

給食エプロンの共用」廃止した自治体も

こうした給食エプロンの「香害」は、全国的に問題となり、共用を止めた自治体もあります。愛知県豊橋市の牛川小学校。デニム柄やカーキ色・柄がついた物まで、子どもたちは自前のエプロンを着て配膳を行います。

(牛川小学校 鈴木一真校長
Q.マイエプロン導入のきっかけは?
「柔軟剤等のにおいが気になるという声が増えてきていること。もう1つは、衛星用品なので共用するのはどうなんだろうと」

豊橋市では3年前から、特別支援学校を除く全ての小中学校で「給食エプロンの共用」を廃止し、個人で持参したものを使っています。子どもたちに聞いてみると…

(児童)
「(前は)たまに においがきついなって時があった」

(児童)
「(他人の洗濯物のにおいは)自分のにおいじゃなくて嗅ぎなれない。あんまり好きじゃない」
Q.マイエプロンになって良かった?
「めっちゃいい」

健康状態を記入する「保険調査表」に“香害”関連の項目を追加

また、名古屋市は今年度から、入学や進級の際に健康状態を記入する「保険調査表」に、「柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がすることがある」という欄を追加しました。

名古屋市 広沢一郎市長)
「一概に『柔軟剤は使わないで』というのは難しいので、まずは『香害』という香りが苦手な人もいることを周知して、解消に向けて検討していきたい」

最近の柔軟剤には、香料をマイクロカプセルに入れて香りを長持ちさせる製法が広く使われていますが、化学物質過敏症の人にとっては症状悪化の原因になると考えられています。

専門家「香りを付けない柔軟剤も1つの方法」

医師として20年以上、化学物質過敏症の研究をしてきた、千葉大学予防医学センターの坂部貢客員教授は…

(千葉大学予防医学センター 坂部貢客員教授)
化学物質が原因で起こっているけど、それに気付いていない人もいる。気付かせてあげることが大事」

Q.香りの強い柔軟剤を販売しないというのは?
「影響の出ない柔軟剤を考える方が大事。使う側は使う側のメリットがあるから使っている。そういう集団(においに敏感な人)もいるという前提で、香りを付けないのも1つだと思う」

国内の患者数は100万人以上 対処法は“離れる”しかない

国内に100万人以上の患者がいるとされる「化学物質過敏症」ですが、治療法は確立されておらず、化学物質からできるだけ離れるしか対処法はありません。

(仮名 ゆいさん)
Q.今は周りにも言えるようになった?
「言っていないです」

Q.においの付いた衣服を着ている人が近づいたら?
「少し離れるぐらい」

人によっては心地よいと感じる香りも、他の人にとっては体調不良の原因となる「香害」。社会全体で取り組むべき問題です。