21日、ヒーローインタビューでの山崎(左)と浦田

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楽しみだし不安もある阪神3連戦

 巨人がヤクルト(神宮)、中日、広島(東京ドーム)と続く9連戦を6勝3敗と勝ち越した。調子が良くない3チームとの戦いだったがよく頑張ったと思う。

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 首位・阪神とは1ゲーム差の2位、24日から甲子園で首位攻防3連戦だ。

 昨年は阪神が開幕から突っ走った。巨人が阪神との首位攻防戦をこの時期からやるなんて久しぶりじゃないか。ヤクルトが7月に入って大失速した。三つ巴から巨人と阪神の一騎打ちの様相を見せ始めた。

 大げさに言わせてもらえば、巨人の前半戦最後の今カードは後半戦を占う戦いになるかもしれない。楽しみだし不安もある。

21日、ヒーローインタビューでの山崎(左)と浦田

 その3連戦を前に吉川尚輝の戦線離脱は痛い。21日の広島戦で内野安打を放った際に左太もも裏の肉離れを起こした。吉川は調子が良くなる(※1)と必ずケガをする。この繰り返しだ。あれだけの資質を持ちながら、これまで1シーズン通して活躍したことが少ない。

 目いっぱいプレーするタイプだからな。こんな意見があるけど、全力プレーはだれしも一緒だ。いるんだね、こういう選手が。珍しいタイプだ。「巨人の7不思議」の1つと言ってもいいんじゃないか。

今季最大の収穫は浦田俊輔の飛躍

 巨人はこれまで打線のつながりが悪く、本塁打で得点するパターンが多かった。だが、吉川の復帰とともに調子が上向いてきた泉口友汰、笹原操希の活躍などがあってつながりがよくなった。

 そんなときに吉川の離脱は痛いというよりも痛すぎる。

 岸田行倫も右ひざの負傷で離脱した。これはまあ大城卓三で乗り切れると思うが、それでも対戦相手の先発が左腕の時は岸田を使いたいところだ。

 門脇誠の負傷離脱も気になるし、なにより戸郷翔征、大勢が離脱中だ。故障者続出は気がかりだ。

 それでも救いというか、いや巨人の今季最大の収穫は浦田俊輔の飛躍だ。(※2)巨人でいま一番バットが振れているし、なにより選球眼がいい。出塁しての好走塁もたびたびだ。

 本塁打こそないが相手にとっては脅威の選手だ。欲を言えばきりがないけど、今季、浦田が出ていなかったら、巨人はどうなっていたか。吉川とはもちろんタイプが違うけど、ケガには強いと見た。いまのままの姿勢を崩さず1シーズンやり抜いてほしい。

井上を「7回までの投手」にするな

 9連戦中、気になることが2点あった。

 18日の中日戦、巨人は3点を追った6回裏に右腕・涌井秀章を攻めて1死一、三塁の好機をつかんだ。ここで代打かなとみたが、知念大成がそのまま打席に入った。ベンチには丸佳浩、大城卓三がいた。

 知念は三飛に終わった。中日ベンチはシメシメと思ったに違いない。そりゃ中日にすれば丸や大城の方がイヤだ。犠飛で1点入っていれば2点差になってどうなっていたかわからなかった。

 もう1点は井上温大の使い方だ。20日の広島戦に先発して7回を1失点で降板した。でも球数は97だった。100球いっていない。まだまだ余力があった。

 このところ6、7回でマウンドを降りるケースが多い。何度か指摘してきたが、これでは井上は「7回までの投手」になる。これまた何度でも言うが、井上は巨人投手陣で完投能力を持った数少ない投手の1人だ。

 現在、巨人は大勢が離脱中だ。ライデル・マルティネスにつなぐまでの8回をどうするかが課題だ。

 井上にはせめてスコアリングポジションに走者を出すまで投げさせればいい。だが、判で押したように6、7回で降ろす。20日は8回に船迫大雅、森田駿哉を投入して慌てた感があった。

山崎伊織は完全復活と言い難い

 前日の19日、巨人に移籍してきた小笠原慎之介が初勝利を挙げた。6回を無失点でスパっと代えたがこれはOKだ。「ナイスピッチ」で終わることが大事だ。新人もそうだ。

 巨人はなんやかんや言っても投手陣の踏ん張りが大きい。(※3)

 山崎伊織が21日の広島戦で今季初勝利をマークした。6回途中で降板したものの打線の援護があった。だが、次回の登板が心配だ。山崎は両コーナーを丁寧に投げるタイプで、それだけに球数が多く。フルカウントが多い。この日も114球だった。

 見ていると球が打者のベルト周辺に集まっていた。この時は元気のない広島打線が相手で助かった。完全復活とは言い難い。

 打線に関してはやはりトレイ・キャベッジの不振が目につく。ストライクを見逃してボール球を振って最後は見逃しの三振……内容が悪い。一発はあってもベンチは使いづらい。

 あとは丸と坂本勇人の起用方法がどうなるかだ。

でんと構えて球宴を楽しんで

 冒頭で真夏の首位攻防戦を「楽しみだし不安もある」と記した。この3連戦をじっくり見るつもりでいる。

 坂本が球宴の最後の出場選手を選ぶ「プラスワン投票」で選出された。3年ぶり15度目だという。今季は2本のサヨナラアーチがあった。ファンに大きなインパクトを与えたのだろう。

 セ・リーグのリーダーとしてでんと構えて球宴を楽しんでほしい。

(※1)今季は昨オフの両股関節手術から復帰したが、再調整で6月15日に抹消された。7月17日に復帰すると4試合15打数7安打で打率4割6分7厘だった。

(※2)7月は出場18試合で69打数24安打、打率3割4分8厘。出塁率は4割2分3厘。盗塁数25はリーグトップタイ。現在、打撃30傑では2割8分5厘、4位につけている。巨人の打者陣では最高。

(※3)セ・リーグでチーム防御率2.96は阪神の2.93に次ぐ2位。

(記録などは23日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部