原油代替調達が米国産頼み“一本足打法”の危うさ…「輸入量5.6倍」と過去最大に膨張
「2028年3月末まで石油の安定供給が可能となった」──。先月11日の中東情勢に関する関係閣僚会議で、高市首相はこう宣言した。いわく、7月にも原油調達の全量をホルムズ海峡を経由しない代替調達で賄えるメドが立ったからだが、前提が揺らぎ始めている。
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政府は「2028年3月末までの安定供給」に関し、「8月以降の調達が前年平月比75%で継続するという保守的な仮定を置いても、備蓄を活用することで実現可能」と説明してきた。米国とイスラエルが仕掛けたイラン戦争の前と比較して仮に原油調達が25%減っても、2028年3月末までは大丈夫というわけだ。しかし、足元の原油調達は「保守的に見積もった25%減」にとどまらないリスクをはらむ。
財務省が22日発表した6月の貿易統計によると、原油の輸入量は前年同月比13.7%減の881万キロリットル。中東からの輸入量が約40%減の569万キロリットルだったのに対し、米国からの輸入量は460%増の272万キロリットルに跳ね上がった。全体量の実に3割を米国産が占め、輸入量・輸入額ともに過去最大となっている。
問題は、代替調達先がほぼ米国一辺倒であることだ。
米国内の戦略石油備蓄は現在、43年ぶりの低水準となる約3億1140万バレルまで減少。ガソリン価格の高騰を背景に、米国内では「輸出するな!」との世論が高まっている。備蓄を取り崩して輸出に回す余裕がなくなれば、日本の代替調達の“柱”が折れる恐れがある。
紅海封鎖のリスク
「米国頼みの『一本足打法』に加え、不安なのは、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海封鎖の影響です。日本はサウジアラビアから紅海沿岸ヤンブー港経由で原油を輸入しています。ここが封鎖されたら、備蓄取り崩しを加速せざるを得なくなるでしょう。頼みの綱の米国が原油の輸出規制をかけてくるかも分からない中、中東からの輸入量が減るリスクもあり、相変わらず一寸先は闇の状況です」(コネクトエネルギー合同会社CEO・境野春彦氏)
5月の貿易統計によれば、サウジからの原油輸入は全体量の3割弱。米国からの輸入実績と合わせて約6割が、トランプ米大統領の言動次第では減少・途絶の危ない橋を渡っているのだ。
「米イが覚書に署名した際、日本政府関係者が『高市首相は賭けに勝った』と評価したという報道もありましたが、賭けとは、つまり無策だったということです。いまだに赤沢経産大臣も『重大な関心を持って情勢を注視』と繰り返しており、一体いつまで傍観者でいるのかと思います」(境野春彦氏)
原油の輸入単価は1キロリットルあたり前年同月比85%増の11万7684円に上る。代替調達のコスト増に歴史的な円安が重なり、国民生活は圧迫されるばかりだ。
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米国とイランが停戦に向けた「覚書」に署名してから1カ月足らずだが、ホルムズ海峡を巡り再びキナ臭くなってきた。関連記事【もっと読む】では、ホルムズ海峡「通航料20%」早々に撤回 トランプ大統領また“TACO”でも拭えない物価高長期化リスクと報じている。
