談笑するトランプ米大統領(右)とインファンティーノFIFA会長(左)。今大会でも物議を醸したコンビだ。(C)AP/AFLO

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 サッカー界トップの発言が波紋を広げている。

 現地7月11日、FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長は母国であるスイスのメディア『blue News』のインタビューに応え、北中米ワールドカップで48へと拡大した出場国数を、4年後のスペイン、ポルトガル、モロッコの共催大会でさらに“64”へと増やす案を打ち出した。

 同会長は「(今大会から導入された)48チームへの拡大はすでに正しい決断だったか?」と問われ、「もちろん、100%大成功だ」と即答した。そのうえで64枠への拡大に関して、「間違いなくワールドカップ終了後に、関連委員会で検討・議論される課題となるだろう」と発言。「欧州や南米だけでなく、実質的に全世界を対象としてワールドカップを開催することが重要だ。すべての国が、ワールドカップ出場という夢を抱けるようにすべきだと思う。今大会でもご覧の通り、チームのレベルが極めて高いことが確認された。世界中でそのレベルはますます高まっている。小国にワールドカップ出場の機会を与えなければ、彼らは向上し続ける動機を失ってしまうだろう」と主張した。

 このコメントに対して、サッカー界からは批判的な意見が大勢を占めている。今大会でガーナ代表を率いたカルロス・ケイロス監督は、「48か国制はワールドカップ予選の価値を低下させ、大会を『ありきたりで平凡なもの』にしてしまった」と指摘。UEFA(欧州サッカー連盟)のアレクサンデル・チェフェリン会長は「バッドアイデアだ。ワールドカップ本大会だけでなく、欧州予選にも悪影響を及ぼすだろう」と懸念を示し、CONCACAF(北中米・カリブ海サッカー連盟)のビクター・モンタリアーニ会長も「良いアイデアではない」と否定的な見解を示している。

 もし64枠となれば、アジアの出場枠も現行の8・5枠から11・5枠に拡大されるのではないか、と報じるメディアが少なくない。これを受けて慎重な姿勢を崩さないのが、中国メディア『捜狐体育』だ。中国代表のワールドカップ出場は2002年大会の一度きりで、まさにサッカー界の悲願となっている。同メディアは増枠を歓迎しつつも、「はたして中国サッカーは恩恵にあずかれるのだろうか。代表チームの現実はアジア14位に過ぎず、強敵がひしめくなか、予選突破への希望は依然として薄い」とあくまで悲観的だ。
 
 中国代表のFIFAランキングは最新が91位のアジア13位で、2025年の年間で見ると93位のアジア14位。同メディアは「たとえ11枠に増えたとしても、現在の低調な出来ではその追い風を活かせるとは思えない。今大会のアジア最終予選も10試合で3勝7敗。得失点差はマイナス13、勝点9でグループ5位に終わり、早々に敗退が決まった」と振り返り、「もはやライバルは日本や韓国、サウジアラビアではない。オマーン、シリア、バーレーンなどの中東勢や台頭するタイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア勢が中国の競争相手なのだ」と論じる。

 加えて、「FIFAの年間ランキングにおける転落が止まらない。2021年はアジア9位、2024年は11位、そして現在は14位まで低下した。この順位の下落は単なる数字の問題ではなく、チーム全体の実力低下を映し出している」と冷静に分析する。中国スーパーリーグの財政難は代表選手たちのコンディションに影響を与えており、帰化選手の活用や育成システム(アカデミー)の整備も急務と指摘。「それらを充実させて初めて中国代表の将来の土台を築くことができる。いずれも早急に解決すべき問題だ」と厳しい現実に目を向ける。

 今大会ではアジア勢9チームがエントリーしたが、ラウンド32に進んだのは日本とオーストラリアだけで、いずれもベスト16には進出できなかった。欧米メディアでは「アジアの8・5枠は見直すべきだ」とする論調が後を絶たない。かたやアフリカ勢は10チーム中9チームが決勝トーナメント進出を果たす好対照な結果を出しており、欧州勢の16枠があまりにも少ないとの意見も再度噴出している。

 はたしてFIFAはたった一大会でさらなる増枠に踏み切るのか。ワールドカップ本大会の価値と意義があらためて問われることになる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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