2026年7月8日に発表されたGrok 4.5について、SpaceXAIは「コーディングとエージェント作業のためにCursorと並行してトレーニングされた」と、これまでで最も賢いモデルだとアピールしています。そこでAI企業のTryAIが、Grok 4.5・GPT-5.5・Claude Opus 4.8・Claude Fable 5に同じプロンプトからアプリを開発させ、そのレイテンシとコストを測定した結果をまとめています。

We made Grok 4.5, GPT-5.5, and Claude build the same apps · TryAI

https://www.tryai.dev/blog/grok-4.5-vs-gpt-5.5-vs-claude-build-off

・目次

◆1:シャッフルして解く3Dルービックキューブ

◆2:粒子重力サンドボックス

◆3:ブロック崩しゲーム

◆おまけ:画像生成

◆コスト

◆総評

TyrAIは各AIモデルに、「ライブラリやネットワーク呼び出しは使用せず、インタラクティブなアプリ用の単一の自己完結型HTMLファイルを作成する」というプロンプトを3つ与えました。プロンプトを与えたのは1回ずつで、その後に手取り足取りの指示を与えたりプロンプトを調整したりはしませんでした。そして、すべての結果を実際のブラウザに読み込み、操作してみて、その結果を記録しています。

◆1:シャッフルして解く3Dルービックキューブ

1つ目のプロンプトは「『Scramble』ボタンと『Solve』ボタンを備えた、カラフルで立体的なルービックキューブを組み立ててください。キューブは回転する様子が視覚的にアニメーションで表現される必要があります」というもの。

Build a colorful, 3D-looking Rubik's Cube with 'Scramble' and 'Solve' buttons. The cube must visibly animate its rotations.


Grok 4.5が開発したアプリはこんな感じ。Grok 4.5ではタイトルとボタンこそレンダリングされたものの、キューブは全くレンダリングされず、2回目の試行でようやく出力されたのがこのアプリだそうです。

GPT-5.5が開発したアプリがこれ。キューブではなくなぜか平面になっています。

Opus 4.8が開発したアプリはちゃんと求められているものが出力されています。

Fable 5のアプリも求められた通りのものが開発されています。TryAIによれば、Opus 4.8とFable 5はアニメーションで回転しながら自動でスクランブル&解決を進める3Dキューブを一発で出力したとのこと。

◆2:粒子重力サンドボックス

2つ目のプロンプトは無数の粒子を描写し、クリックした部分に重力を発生させて粒子の動きを観察できるサンドボックスアプリを開発させるもの。

An interactive particle gravity sandbox on a canvas: hundreds of particles with trails, clicking adds a heavy attractor. Make it mesmerizing.


Grok 4.5の出力したサンドボックスがこれ。TryAIは「整然としたアトラクタリングとカラフルな筋状の粒子で、クリーンで軌道的なサンドボックスを作った」と評価しています。

GPT-5.5が開発したサンドボックスはこんな感じ。「光り輝くネオンの軌道と、濃密で渦巻く色の軌跡という、最も魅惑的なサンドボックス」とTryAIは述べました。今回はどのAIもちゃんと動作するサンドボックスを出力したため、TryAIは好みと雰囲気からGPT-5.5のサンドボックスを1位に選出しています。

Opus 4.8のサンドボックス。TryAIは「最も賑やかで網目状の粒子フィールドを生成し、物理演算は優れているものの、視覚的な魅力はやや劣る」という評価を下しました。

Fable 5のサンドボックスは粒子よりも柔らかく光る球体に焦点を当てた作品となっています。

◆3:ブロック崩しゲーム

3つ目のプロンプトでは、マウスでパドルを操作し、カラフルなブロックをボールで破壊するブロック崩しゲームを作らせます。

A playable Breakout / brick-breaker on a canvas: paddle follows the mouse, ball breaks colorful bricks, with score and lives.


以下はGrok 4.5の作品。ネオンカラーのアーケード風デザインを忠実に再現しています。

GPT-5.5の作品もデザインが再現されており、さらにボールを打ち返している間にもスコアを稼ぐような設計となっています。

Opus 4.8の作品も十分実用レベル。

Fable 5の作品はこんな感じ。TryAIは「4つとも実用レベルだ。勝者は全員」という裁定を下しています。

◆おまけ:画像生成

4種のモデルはJPEGやPNGなどのラスター形式の画像は生成できませんが、数式によって画像を表すベクター方式のSVG画像なら生成できます。TryAIは各モデルに以下のプロンプトを与え、「月面を歩く宇宙飛行士の背中に馬が乗っている」画像をSVG形式で出力させました。

a horse riding piggyback on an astronaut walking on the moon. Role reversal, two figures, one file.


その結果が以下の通り。最もよくできているのはFable 5で、カウボーイハットをかぶった馬が「Giddy-up, human!(さあ行け、人間!)」と叫び、猫背の宇宙飛行士がハアハアと息を切らしているマンガ的なイラストを描いています。GPT-5.5もセリフ入りの絵を描いていますが、馬のデザインがやや崩壊しているのが気になるところ。Grok 4.5の出力した絵もカラフルで読み取りやすい場面をきちんと描き、プロンプトの意図をしっかり満たしました。Opus 4.8も「宇宙飛行士に乗った馬」を描けていますが、SVG形式の画像には重複した属性が含まれており、レンダリングするには問題があるものでした。



◆コスト

「見た目のいいデモと、実際に各モデルを動かすコストは別の話です」とTryAI。アプリで使われているものと同じプロバイダー経路を通じて、独自のテスト環境で各モデルを計測した結果が以下の表。テストでは、コーディング、推論、要約を含む3種類の固定プロンプトを用意し、それぞれ3回ずつ実行しました。出力は最大400トークンに制限しています。スループットは、出力トークン数を処理全体にかかった時間で割ったもので、すべてのプロバイダーに対して同じ方法で測定しています。

モデル中央値レイテンシ初回トークンスループット返信あたりのコスト成功率Grok 4.52.8秒0.44秒毎秒110トークン0.002セント100%GPT-5.52.0秒1.26秒毎秒53トークン0.004セント100%Claude Opus 4.82.6秒1.16秒毎秒47トークン0.004セント100%Claude Fable 56.3秒3.47秒毎秒28トークン0.009セント100%

Grok 4.5はこのコスト比較で強さを見せており、最初のトークンが出るまでの時間は0.5秒未満で、出力速度は毎秒約110トークンでした。速度は他のモデルの約2倍で、1回の返信あたりのコストも最も安くなっています。これはSpaceXAIが打ち出していた「時間とコストあたりの知能」という売り文句に沿った結果だとTryAIは述べています。

また、処理全体にかかった時間の中央値だけを見ると同じ程度に見えますが、これはGrok 4.5の回答が長めだったため。1回の回答あたりのトークン数が最も多く、全体のうち5%では9秒を超えるなど、ばらつきもありました。

TryAIは「GPT-5.5は短い回答では最もきびきびしており、Claude Opus 4.8は速度とコストのバランスが取れた中間的な位置にあります。一方でClaude Fable 5は最も遅く、コストも最も高い結果となりました。これは知能面で最上位に位置するモデルを使うために支払う代償といえます」と述べています。

◆総評

TryAIはGrok 4.5を「速度とコストの面で最も優れたモデル」と位置づけています。粒子重力サンドボックスとブロック崩しゲームでは高品質な結果を出し、ストリーミング速度は他モデルの約2倍、実行コストも最安でした。一方で、最も難しいタスクだった3Dルービックキューブでは初回に失敗し、再試行で修正された点が弱点として挙げられています。

Opus 4.8とFable 5は、3Dキューブを初回で正しく生成した信頼性の高いモデルとして評価されていますが、特にFable 5は速度と価格の面で負担が大きいとされています。GPT-5.5は短い回答の速さと見栄えのよい重力シミュレーターが強みである一方、3Dキューブでは失敗しました。総合すると、Grok 4.5はリリースさればかりでありながら、最高級モデル群と互角に競い、速度とコストでは明確に勝ったとTryAIは論じています。