埼玉県警捜査一課刑事の佐々木成三氏が、YouTubeチャンネル「佐々木成三の攻める防犯チャンネル」にて「【気づけば8000万円】被害者Yさんに、騙された手口を語ってもらいました【ロマンス詐欺被害者実録】(前編)」を公開した。動画では、SNS投資詐欺の被害に遭った50代女性のYさんをゲストに招き、被害額が約8000万円に達した巧妙な詐欺の手口とその実態について明らかにしている。

佐々木氏はまず、昨年の特殊詐欺SNS投資詐欺などの被害額が約3215億円に達したことを挙げ、手口が巧妙化していると指摘。「手口を知ってもらう事が防犯対策に繋がる」と述べ、実際の被害者であるYさんへのインタビューを通して注意喚起を行った。

Yさんと詐欺師の接触は、FacebookMessengerがきっかけだった。相手は50歳ほどの貿易会社部長を名乗り、共通の知人の名前があったことからYさんは返信をしてしまったという。最初は紳士的で丁寧な世間話をしていたが、わずか1日でLINEに誘導された。その後、「朝起きると必ずLINEがきていた」というほどマメな連絡が続き、自作の料理や愛車のベンツの写真が送られてくるなど、実在する人物であるかのような生活感が演出されていた。

恋愛感情が芽生え始めた頃、Yさんは相手が住む東京と自身が住む九州との距離に不安を覚えたが、詐欺師は「距離は心配ないよ」と安心させたという。その後、4月に東京で会う約束をしたものの結局会えず、徐々に暗号資産「イーサリアム」への投資話を持ちかけられた。

最初は約10万円を投資したが、指定された詐欺アプリ上で12万円に増額されたように表示された。利益が出ていると信じ込まされたYさんは、次々に100万円、300万円と投資額を増やし、10回以上の振り込みで最終的な被害額は約8000万円に上った。詐欺アプリ上では、資産が「3億円」と表示されていたと語る。

佐々木氏とYさんの対話からは、SNSを通じた日々のマメなやり取りで信頼と恋愛感情を抱かせ、少額の成功体験を餌に多額の資金を騙し取る詐欺の恐ろしさが浮き彫りになった。動画は、顔の見えない相手からの投資話には決して乗らないという、現代のSNS社会において必須の防犯意識を強く認識させる内容となっている。