羽田空港に帰国した長友佑都(左)ら日本代表イレブン(カメラ・竹松 明季)

写真拡大

 今振り返ると、その時から3年半後の未来が決まっていたのかもしれない。39歳の長友佑都が、北中米W杯1次L第3戦スウェーデン戦の後半30分からピッチに立ち、日本人初の5大会連続W杯出場を果たした。

 歴史的瞬間に立ち会った時、ふと思い出したのは、カタールW杯後の23年1月に現役続行を表明した直後に行われた会見での言葉だった。「全ては想像が出来ないと、その場所にたどり着けない。僕は想像が出来ている。日々の勝負に打ち勝って、また面白い長友を見せられると思います」。試合後に「ブラボー」に続く、名言「W杯、マンマミーア(イタリア語で、なんてこった)」が飛び出すことは想像していなかったはずだが、ピッチに立つ姿は明確に描いていた。

 長友は言葉が持つ力を誰よりも信じている。言霊のように「5大会連続W杯出場」を口にし続け、けがで離脱することもあったが、今年に入ってからは「もうW杯に出ている」とまで言うこともあった。その真意について「僕がすごく言葉を大事にしているのは、自分の無意識の中に入れていく。言葉を発することで一番影響を受けるのは自分自身。他者ではなく自分。だから意識しているし、言葉ってほんとに大事」と明かしてくれた。

 鉄人の発する強い覚悟や意思の詰まった言葉は、他者の心にも波及し、深く浸透する。24年3月に代表復帰してからは、ことあるごとに、後輩たちに代表で戦うことの誇りや重みを伝え続けた。「代表とは誇り高き場所で、こんなにも日本代表とW杯は尊いんだ」。日本トップレベルの選手の集団が、自らのエゴではなく、日本代表が勝つために団結し、一体感を持って戦うことが出来たのは、“伝道師”とも言える長友がいたからだと思う。

 ブラジル戦後、長友が言った。「組織力で負けたとは思っていない」。チーム力は日本の最大の武器になることを再確認した今大会。長友の言葉の数々で、できあがった強固な土台は、「W杯優勝」という未来につながっていくはずだ。(後藤 亮太)