「また解散したくないけど…」高市総理が周囲に漏らした“禁断の本音” 国会は野党審議拒否で″異常事態″に 国民民主との“連立拡大論”も行き詰まり
会期末が7月17日に迫るなか、国会が緊迫している。野党が審議拒否に踏み切る一方、与党は日本維新の会との連立合意に盛り込まれた議員定数削減法案や副首都構想法案の審議入りを強行する「異常事態」となっている。参院ではいまだ少数与党という「ねじれ国会」が続き、重要法案の成立も見通せない状況だ。行き詰まる高市早苗総理が周囲に漏らした“一言”とは――。
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高市総理の秘書問題で野党が審議拒否、終盤国会は緊迫
「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」、いわゆる国旗損壊罪処罰法案が6月30日に、自民党と日本維新の会などの賛成多数により、衆院本会議で可決した。野党は高市政権の国会運営に反発し、審議拒否を続けている。採決には、全野党が欠席した。国会が異常事態となる中、参院での可決を危ぶむ声も出ている。
こうした異常事態はなぜ生まれたのか?
野党が審議拒否を始めた背景には、高市総理の公設第一秘書が関与したとされる「サナエトークン問題」や「中傷動画問題」がある。高市総理が6月22日の国会答弁で、「秘書の陳述書を国会に提出し、それをもって答弁に代えさせてほしい」と述べたことから、“国会軽視”との批判が高まり、野党は態度を硬化させた。
「一連の問題を国会で追及されると、高市総理は『週刊誌報道をいちいち確認させられ、総理の業務時間が確保できない』などと、憤りを露わにしました。公設第一秘書とサナエトークンの発行に関わったとされる人物の接点について、高市事務所がメディアに対して正式回答した内容を否定し、答弁訂正に追い込まれるなど、不安定さも目立った」(自民党関係者)
野党は、7月中の衆院予算委員会の集中審議と党首討論を要求し、衆参両院で審議拒否に踏み切る一方、与党は衆院議員定数削減法案や副首都構想法案の衆院での審議入りを強行している。
「高市自民は衆院選で大勝したものの、参院側はいまだ与党の過半数割れが続いており、“ねじれ国会”の状況が続き、法案成立には野党の協力が欠かせない状況である。
維新との連立合意政策にある、衆院議員の定数1割削減法案(選挙制度協議会で1年以内に結論が出なかった場合、比例区で45削減するという案)も、一部の野党の協力なしには成立しません。しかし、中道改革連合や国民民主党などの野党5党は反対で一致しています。そもそも妥当性が曖昧で、自民党のなかでも本気で賛同している人は少ない。このまま、うやむやになってほしいというのが本音です」(自民ベテラン)
とはいえ、比例定数削減法案については、参院で否決されたとしても、衆院に差し戻して、3分の2以上の賛成を得て、再可決することが理論上可能だ。官邸が7月17日までの国会会期を60日延長する案を、検討しているという報道が出たのも、このためだ。
「しかし、その場合、先の衆院選で大量当選した比例候補が黙っていないでしょう。仮に、比例が45も削減されれば、次期衆院選での公認などもなくなり、政治生命がなくなる懸念があるからです。仮に再可決となれば、自民党内が割れる危険性もある。このような状況下で、衆院での再可決に無理矢理持ち込むというのは現実的ではないのです」(同前)
ただ、自民党サイドとしては困ったことに、高市総理は、あくまで定数削減法案を含む維新との連立合意政策の推進にこだわっているのだという。
「解散したくないから連立拡大して」
「連立合意政策が推進されなければ、維新が今後、連立を離脱する可能性も出てくる。身を切る改革を一丁目一番地に掲げる維新にとって、議員定数削減法案は悲願ですし、副首都設置法案にしても看板政策です。維新としては、ここで“連立の成果”をどうにかアピールするチャンスとしたい。
高市総理は『もしも維新が連立を離脱してしまったら、連立組み替えをする必要がある。そうすると、国民に信を問うために、また衆院を解散しないといけない。それは避けたいから、連立拡大をして、議員定数削減法案を含む連立合意政策をなんとしても成立させたい』と周囲に漏らしています」(総理周辺)
こうしたなか、自民党内で一時浮上したのが、国民民主党を含めた「連立拡大論」である。
6月25日には、自民党の麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、萩生田光一幹事長代理、国民民主党の玉木雄一郎代表、榛葉幹事長ら、両党の幹部らが都内のホテルで会合を開いた。
「ただ、国民民主党も定数削減法案などに反対しており、維新が閣内にいる状況では、連立拡大に乗ってこないとみられます。結局、維新との連立合意政策には、ハレーションの大きい議員定数削減法案や副首都法案が含まれており、実現のハードルは高い。むしろ、維新との連立合意政策の推進は諦めて、維新には連立から離脱してもらったほうがいい。その上で、国民民主党と連立を組み直すほうが、はるかに現実的です。
連立組み替えに、いちいち衆院解散をする必要もない。しかし、なぜか高市総理はそれが必要だと思い込んでしまっている節がある。ちょっとズレているので、心配です」(同前)
国会が“異常事態”となる中、自民党の磯崎仁彦参院国対委員長は6月30日の会見で、「会期内の全ての法案成立は厳しい状況になってきている」と話した。
「正常化のためには、高市総理自身がどこかで集中審議に応じるなど、野党の要求を一定程度のむ覚悟が問われます。しかし、総理は後ろ向きだとの見方も出ており、どう落とし所をみつけるかが課題です。決算委員会を全閣僚出席でやって、集中審議の代わりにするなど、いろいろと手はありますが、会期延長論も浮上するなど、落とし所の見えないまま混迷しています」(別の自民ベテラン)
突破力に定評がある一方で、調整能力に欠けるとも指摘される高市総理。果たして、終盤国会の難局をどう乗り切るのか――。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

