最近のSNSで、「外国人が危ない」「イスラム教徒が火災に関係している」といった投稿を見かけたことはないだろうか。

養豚場や神社、お寺などで火災が起きるたびに、「イスラム教徒による放火ではないか」「外国人が関係しているのではないか」といった根拠のない情報が拡散されている。

フリーランス国際協力師の原貫太氏は、自身のYouTubeチャンネルで公開した動画「【緊急】SNSでヘイトスピーチが蔓延している件について。」の中で、こうした情報が広がる背景を解説している。

動画で原氏が強調するのは、この問題は移民政策の是非とは別の話だということだ。外国人の受け入れをめぐる課題は、当然、冷静に議論すればいい。しかし、根拠のない情報をもとに外国人やイスラム教徒全体を危険視することは、冷静な議論ではない。

たとえば、宮崎県川南町の養豚場で約5700頭の豚が死ぬ火災が発生した際、SNSでは「イスラム教徒による放火だ」とする投稿が広がった。イスラム教では豚肉を食べることが禁じられているため、その宗教上の習慣と養豚場の火災が、根拠なく結びつけられた。

しかし、警察はこの火災について「放火ではなく、事件性がないことは間違いない」と説明しているという。

また、広島県宮島にある大聖院の「霊火堂」が全焼した火災についても、SNSでは「ムスリムによる放火ではないか」とする投稿が広がった。しかし、警察と消防のいずれも、何者かによる放火が疑われるような形跡は確認されていないとしている。

原因が分からないことと、外国人やイスラム教徒が関係していることは、まったく別の話だ。原因不明とは「まだ原因が特定できていない」という意味であり、「誰かが放火したかもしれない」という意味ではない。

では、なぜこうした根拠のない情報が広がるのか。

原氏は、その背景にある構造を3つ挙げる。

一つ目は、社会不安が高まると、特定の外集団が「わかりやすい敵」にされやすいことだ。物価高、将来不安、地域社会の変化、政治への不信感。こうした複雑な問題は、本来なら複数の要因を丁寧に見なければならない。しかし、不安が高まると、人は「誰が悪いのか」をはっきりさせたくなる。その矛先が、外国人や宗教的少数派に向かうことがある。

二つ目は、SNSでは少数の極端な声が、多数派のように見えてしまうことだ。SNSは社会全体の意見をそのまま映している場所ではない。一人が何度でも投稿でき、強い怒りや不安を持つ人ほど発信量が多くなりやすい。その結果、慎重な意見よりも、短く断定的で不安を刺激する投稿の方が目立ちやすくなる。

三つ目は、怒りや不安を煽る情報が、お金や影響力に変わることだ。X、YouTube、TikTokなどでは、再生回数やインプレッションが収益や影響力につながる。つまり、現代のSNSでは、人々の注目を集めること自体がビジネスになっている。

「危ない」「日本が壊される」「メディアは報じない」。こうした言葉は、人間の感情を強く動かす。投稿が反応を集めれば、アルゴリズムによってさらに広がる。すると発信者は、より過激な投稿をするようになる。怒りや不安が、拡散の燃料になっていくのだ。

しかも今は、生成AIによって、それらしい文章やサムネイル、動画台本を短時間で大量に作ることもできる。AIそのものが悪いわけではない。しかし、人々の不安や怒りを煽る投稿を大量生産する道具として使われ、それが収益化と結びつくことには大きな危険がある。

原氏は動画の中で、SNSで見た情報にすぐ反応する前に、一度立ち止まることの重要性を訴える。

これは事実なのか。誰が、何を根拠に言っているのか。原因が分からないことを、勝手に誰かのせいにしていないか。個人の問題を、集団全体の問題にすり替えていないか。

火災、地域社会の摩擦、外国人の受け入れをめぐる課題。問題があるなら、属性でひとくくりにするのではなく、具体的な事実に基づいて検証すべきだ。

「外国人が危ない」「イスラム教徒が危ない」という単純な物語に押し込めてしまえば、問題の解決には近づかない。むしろ、社会の分断だけが深まってしまう。

動画本編では、原氏がSNSで外国人やイスラム教徒へのヘイトが広がる構造を、事実関係やデータを交えながら詳しく解説している。

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