フランスの自宅にて日本代表について語るハリルホジッチ氏(提供:樋渡群氏)

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 サッカー元日本代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(74)がこのほど、自宅のあるフランスからオンラインでスポーツ報知の単独インタビューに応じた。かつて指揮を執った日本代表は、現在開催中の北中米W杯で3大会連続5度目の決勝トーナメント(T)進出を決め、現地29日(日本時間30日)に決勝T1回戦でブラジルと対戦する。前後編で配信するインタビューの「前編」は日本代表について。ハリル氏が日本を離れて約8年。優勝を目標に掲げる現在の森保ジャパンを、どう見ているのか。ハリル氏は、穏やかな表情で日本の進化と将来、そして日本への愛情を語った。(取材・構成=斎藤成俊、協力=樋渡群氏)

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 今回のW杯で日本の試合を見て、ものすごくハイレベルなチームになったとの印象を受けた。多くの選手が海外でプレーしていることもあり、個人、組織的な戦術でもクオリティーが高い。チームとしてヨーロッパ、南米のレベルに達していると思う。上田、堂安、前田は素晴らしいフォワードで、中盤の田中、鎌田も目に留まった。ヨーロッパのクラブで、もまれた経験が生きていると言える。ヨーロッパではフィジカルも鍛えられ、戦術の潮流の変化も激しいので、適応しないと生き残れない。だからこそ、選手は成長する。やはり選手たちには、ヨーロッパを目指してもらいたい。

 私が(2015年に)日本の監督となって、一番強調したのが「デュエル」だった。1対1の勝負のこと。最初に「デュエル」という言葉を使ったら、日本の皆さんは「なんだ、それは」と思ったと思う。ただ、ヨーロッパ、南米では「デュエルに勝つチームが勝利する」という言葉があるぐらい、現代フットボールでは重要な要素だった。だから、私は「デュエル」を言い続けた。多すぎるぐらいの合宿を組み、国内組にも何度も何度も練習をさせた。

 あれから月日がたち、いまの日本代表を見ると、ピッチでしっかりと体現している。デュエルすることで試合に勝つということは、今のフットボールでは当然の考え。そしてデュエルに勝つには、フィジカルを100%に整えた上で、アグレッシブさも出していかないといけない。それを日本の人たちも理解してくれたのだろう。ただ、フランス、スペイン、アルゼンチン、ドイツなどと比べると、まだ少しフィジカル面でのパワーが足りていない。日本の選手は俊敏性が素晴らしく、速さを持っているが、パワーはまだ伸ばせる。足りないということは、伸びしろがあると言える。

 日本サッカーは成長著しく、これからも伸びていくだろう。規律、組織力に関して素晴らしいのは周知のこと。これからFIFAランク10位以内を狙うのであれば、フィジカルをしっかり強化したうえで、個人のクオリティーをさらに向上させることだ。世界的な選手を、それぞれのポジションで生み出していくことが大事になってくる。今、世界ではやりになっているのは、若い頃から海外にある強豪国の育成機関に入ること。なかなか難しい挑戦だが、日本もそういった挑戦をしても良いのではと思っている。

 ピッチ外の話題になるが、少し、日本での思い出も話させていただきたい。私が日本にいた3年半、常に喜びにあふれていた。経済面も含めて日本は大国で、そして美しく、伝統がある。ハイレベルな食文化も経験させていただけた。家族も日本のことが大好きで、今でもよく日本の話をしている。当時の日本の皆さんの熱い声援、街で会う人々の温かい視線には本当に感謝しかありません。今度は観光になりますが、いつかまた日本に、美しい国に、もう一度足を踏み入れたいなと思っています。(元日本代表監督)

※明日(29日)11時配信の後編は「ブラジル戦の展望」をお届けします。

 ◆バヒド・ハリルホジッチ 1952年5月15日、ボスニア・ヘルツェゴビナ生まれ(現在はフランス国籍)。74歳。旧ユーゴスラビア代表FWで82年スペインW杯出場。フランス1部ナントで得点王に輝き87年に引退。フランス、アフリカなどのクラブで指揮を執り、アルジェリア代表監督として14年ブラジルW杯で同国初の16強入り。15年3月、日本代表監督に就任。18年の解任後はモロッコ代表などを率いた。今年3月、降格圏にいた古巣ナントを助けるため監督に就任したが、残留はかなわず、5月のシーズン終了を持って退任した。