新主将DF板倉は「僕に近い」と前任者・吉田麻也、遠藤離脱の衝撃も「彼自身が成長するチャンス」
日本代表に走った突然の衝撃にもサポートプレーヤーとしてチームに帯同しているDF吉田麻也(LAギャラクシー)はつとめて冷静な態度を貫いた。チームキャプテンの遠藤航(リバプール)がW杯初戦3日前にチームを離脱するという日本がかつて経験したことのない有事。けれども、そこで自身が示すべき姿がなにであるかを前キャプテンは心得ていた。
カタールW杯以後、日本代表をずっと牽引してきた大黒柱の不在は決して小さくない。しかし、数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランDFは、きっぱりと前を向いた。
「(主力選手の離脱は)南野(拓実)、三笘(薫)に続いてですが、今まで引っ張ってきた選手なのでダメージはもちろんあります」。率直にそう認めながらも、すぐに続けた。
「ただ、航がいないパターンも想定して戦ってきたと思う。チームはこれで動揺せず、しっかりとやるべきことに集中して初戦に挑むべきだと思う」
吉田が指摘するように、5月31日のアイスランド戦で2月に手術していた左足甲を再び痛めた遠藤は、メキシコ・モンテレイでの事前合宿では当初グラウンドに来ることもままならず、練習会場に来るようになった後も終始別メニューだった。吉田自身はその状況を見ながら、離脱という可能性を頭の片隅に置いていたという。
だが、それでもやはりキャプテンの離脱は衝撃であり、チーム内にも動揺はあったという。しかし、ひとたび練習が始まれば空気は大きく変わらなかった。長友佑都が意図的に大きな声を出してチームを鼓舞する姿はあったが、多くの選手は目の前の準備に集中していたという。
そんな中、新たな主将に指名されたのがDF板倉滉(アヤックス)。吉田にとって板倉は特別な存在でもある。ドイツ時代には板倉がシャルケでプレーした2021-22シーズンの翌シーズンに入れ替わりでシャルケに加入。板倉が負傷した際には近所に住んでいたこともあって多くの時間を共有してきた。だからこそ、板倉のキャプテンとしての資質を誰よりも理解しており、「引っ張るというよりは、一緒に進んでいこうというタイプ。僕に近いのかなと思います」と評する。
また「今までやってきたことが評価されてのアームバンドだと思うので、いつも通りやればいい」と信頼を寄せた。
むしろ重要なのは主将一人に責任を背負わせないことだ。「滉がキャプテンを任されたから滉がやらなきゃいけない、ではなく、他の選手も含めて全員でチームを前進させるため、何をしなければいけないのかを話し合いながらやることが大事だと思う」。冨安健洋、谷口彰悟、堂安律、久保建英らカタール大会を経験した選手たちもいる。長友佑都もいる。「そんなに心配していないですね」という口調には日本代表の成熟への確かな手応えがにじんでいた。
一方で吉田は、遠藤の離脱を単なる不運として終わらせるつもりはない。「過去のW杯を振り返ると、順調に来ている時はうまくいっていないこともある」。そう語っていたからこそ、今回のアクシデントをチームが引き締まるきっかけにしなければと考えている。
「どんな事情であっても、どんなアクシデントもポジティブに変えられるようなマインドセットが必要」。そして、その最たる例として板倉の名前を挙げた。
「これは滉にとっても大きなチャンス。彼自身が成長するチャンスでもあるし、チームにとってもこれを乗り越えれば、より大きくなるチャンスだと思う」
遠藤の離脱という大きな試練を、日本代表はどう乗り越えるのか。新主将・板倉を中心に、チームは今まさに真価を問われている。そして吉田は、その歩みを支えるために静かに周囲へ目を配り続けるつもりだ。
(取材・文 矢内由美子)
カタールW杯以後、日本代表をずっと牽引してきた大黒柱の不在は決して小さくない。しかし、数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランDFは、きっぱりと前を向いた。
「ただ、航がいないパターンも想定して戦ってきたと思う。チームはこれで動揺せず、しっかりとやるべきことに集中して初戦に挑むべきだと思う」
吉田が指摘するように、5月31日のアイスランド戦で2月に手術していた左足甲を再び痛めた遠藤は、メキシコ・モンテレイでの事前合宿では当初グラウンドに来ることもままならず、練習会場に来るようになった後も終始別メニューだった。吉田自身はその状況を見ながら、離脱という可能性を頭の片隅に置いていたという。
だが、それでもやはりキャプテンの離脱は衝撃であり、チーム内にも動揺はあったという。しかし、ひとたび練習が始まれば空気は大きく変わらなかった。長友佑都が意図的に大きな声を出してチームを鼓舞する姿はあったが、多くの選手は目の前の準備に集中していたという。
そんな中、新たな主将に指名されたのがDF板倉滉(アヤックス)。吉田にとって板倉は特別な存在でもある。ドイツ時代には板倉がシャルケでプレーした2021-22シーズンの翌シーズンに入れ替わりでシャルケに加入。板倉が負傷した際には近所に住んでいたこともあって多くの時間を共有してきた。だからこそ、板倉のキャプテンとしての資質を誰よりも理解しており、「引っ張るというよりは、一緒に進んでいこうというタイプ。僕に近いのかなと思います」と評する。
また「今までやってきたことが評価されてのアームバンドだと思うので、いつも通りやればいい」と信頼を寄せた。
むしろ重要なのは主将一人に責任を背負わせないことだ。「滉がキャプテンを任されたから滉がやらなきゃいけない、ではなく、他の選手も含めて全員でチームを前進させるため、何をしなければいけないのかを話し合いながらやることが大事だと思う」。冨安健洋、谷口彰悟、堂安律、久保建英らカタール大会を経験した選手たちもいる。長友佑都もいる。「そんなに心配していないですね」という口調には日本代表の成熟への確かな手応えがにじんでいた。
一方で吉田は、遠藤の離脱を単なる不運として終わらせるつもりはない。「過去のW杯を振り返ると、順調に来ている時はうまくいっていないこともある」。そう語っていたからこそ、今回のアクシデントをチームが引き締まるきっかけにしなければと考えている。
「どんな事情であっても、どんなアクシデントもポジティブに変えられるようなマインドセットが必要」。そして、その最たる例として板倉の名前を挙げた。
「これは滉にとっても大きなチャンス。彼自身が成長するチャンスでもあるし、チームにとってもこれを乗り越えれば、より大きくなるチャンスだと思う」
遠藤の離脱という大きな試練を、日本代表はどう乗り越えるのか。新主将・板倉を中心に、チームは今まさに真価を問われている。そして吉田は、その歩みを支えるために静かに周囲へ目を配り続けるつもりだ。
(取材・文 矢内由美子)
