《終わらないクマの恐怖》「早く捕まえないと猟友会が倒れる」約10名が3日間夜通し捜索で麻酔銃捕獲「宇都宮動物園の関係者が撃ち3発目が命中」
6月6日から宇都宮市の市街地に出没し、市内全小中学校が臨時休校になるなど前代未聞のパニックを引き起こした熊。警察と猟友会による昼夜を問わない必死の捜索が続く中、9日午後、ついに住宅密集地に一頭の熊が追い詰められた。緊迫の捕獲劇と今後の課題を取材した。【前後編の後編。前編から読む】
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最前線で熊を追い続けてきた警察と栃木県猟友会宇河支部。同支部事務局の女性は、緊迫した現場の状況をこう明かしていた。
「6日の夕方に目撃されてから、猟友会メンバーが警察に同行してずっと捜索にあたってきました。ドローンを使って熊の痕跡を辿っているのですが、現時点ではまだ捕獲出来ていません。支部に在籍する約300名のうち、市内で動ける人は72名。ただ、その中でも市役所から依頼があって動ける有資格者は10名ほどしかいません。
なので、このメンバーが3日間、夜通しで警察とパトロールに当たっていて、体力的にも厳しい方がいるようです。10日も早朝4時半から最後の目撃地域で見回りを開始していました。早く捕まえないと我々猟友会のメンバーが先に倒れてしまいそうな状況で……」
ついに捕獲、異例づくしの対応劇
こうした捜索の末についに熊が確保されたわけだ。全国紙社会部記者が経緯を説明する。
「9日の早朝から城東1丁目、簗瀬町、峰町などで目撃が相次ぐ中、午後1時に市民から『外をクマが歩いている』と直接市に連絡が入り、警察へも110番通報が多数寄せられました。
広範囲を移動し追跡が難航していましたが、午後2時2分、東簗瀬1丁目の民家の庭先に立てこもったところで、市と猟友会が初めて個体を目視で確認しました」
現場周辺は警察によって封鎖。市が3月に策定した「緊急銃猟実施マニュアル」では、住宅密集地での実弾使用は危険が生じるため否定されている。今回の現場も弾を受け止めるバックストップがない密集地だったため、市は麻酔銃での緊急捕獲を決断し、午後2時半に県から使用許可が下りた。
「麻酔銃は宇都宮動物園の関係者が撃ちました。午後2時35分、2時50分、3時30分と計3発を撃って3発目が命中。午後3時45分に捕獲が完了し、箱罠に収納されて午後3時50分に現場から搬出されました。捕獲された個体は体重100キロ弱のオスの成獣でした」(全国紙社会部記者)
終わらない恐怖と今後の対策
9日午後6時から開かれた市の記者会見では、マニュアルの規定により「人家に侵入した(またはその恐れがある)個体は殺処分の対象になる」と説明。猟友会に運搬を委託しており、殺処分される方針であることが明かされた。
猟友会に実務を委任していた宇都宮市役所鳥獣対策グループの職員はこう語る。
「市として出来る事は、今後は『クマ出没注意』というチラシを市内に配布するということしかないですね。また住民への熊対策として、『熊スプレー』を提供するなんていうこともありえるかもしれません」
「ありえない」と思われていた宇都宮市街地への熊の出没によって顕在化した大きなリスク。住民たちの平穏な日常を揺るがした恐怖は、しばらく消えることはないだろう。
(了。前編から読む)
