自宅以外でうんちできない「パルコプレシス」とは?一体何が問題なのか?

自宅以外で排便することが極度に難しい状態は「パルコプレシス」と呼ばれ、患者は学校や職場、あるいは公共施設などで排便しようと考えるだけで苦痛や不安を感じるほか、旅行中に一切排便できなくなってしまうというケースもあります。そんなパルコプレシスの人々に生じる問題や解決策について、西シドニー大学の臨床消化器内科医であるヴィンセント・ホー准教授が解説しました。
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パルコプレシスには「便意不安」や「恥ずかしがり屋の腸症候群」といった呼び方もあります。患者は自宅以外の場所で排便せざるを得ない状況になると、動悸(どうき)や過度の発汗、吐き気、震え、排便困難などの症状を経験する可能性があるとのこと。こうした症状を避けるため、パルコプレシスの患者は排便を避けるために食事の量を減らしたり、公衆トイレを使う必要が生じるイベントや社会活動を回避したりします。
オーストラリアの大学生714人を対象にした研究では、不安に関連して公衆トイレを避けている学生が14%強に上り、決してパルコプレシスがまれな病気ではないことが示されています。
パルコプレシスの原因のひとつとして考えられているのが、「人目にさらされること」への恐怖です。
オーストラリアの大学生316人を対象にした調査では、パルコプレシスにつながる最も一般的な理由は、排便に関して否定的な印象を与えることへの恐怖であることがわかりました。たとえば、「排便に時間がかかりすぎだと思われるのではないか」「排便中の臭いや音を変に思われたらどうしよう」といった不安が、パルコプレシスにつながるというわけです。
心理学者らは、パルコプレシスを社交不安障害の一種だと捉えています。2019年の研究によると、パルコプレシスの患者は「仕事で失敗したら人間としても失敗だと思われる」といった、自分自身に対する否定的な考えを抱く傾向があるとのこと。ホー氏は、「結局のところ、パルコプレシスを抱える人は他人に判断されるのを恐れているのです」と述べています。

パルコプレシスは単に生活に支障が出るだけでなく、さまざまな健康問題も引き起こします。排便を我慢すると便からより多くの水分が吸収され、大腸内で便が乾燥して硬くなってしまいます。これが慢性的な便秘につながる可能性があるとのこと。
慢性的な便秘は「痔(じ)による出血」「肛門の裂傷」「直腸が肛門から飛び出る直腸脱(脱肛)」といった問題のリスクを高め、これらの状態が続くと便を漏らす可能性も高まります。
イギリスでは、軽度の自閉症を持っていた16歳の少女が8週間にわたり排便できず、便で拡張した結腸によって胸腔(きょうくう)が圧迫され、心臓発作で亡くなるという症例も報告されています。
ホー氏はパルコプレシスを治療する方法のひとつとして、排便行動についての適切な教育を挙げています。トルコの研究では、トイレに5分以上いると痔や肛門裂傷のリスクが高まることが示されており、あまり長く便座に座りすぎるのはよくないとされています。また、食物繊維を十分に摂取することで便が軟らかくなり、よりスムーズに排便できるようになるとのこと。
ホー氏は健康で規則的な排便を促すテクニックとして、「トイレに座り続ける時間は最長で6分」「果物や野菜、全粒穀物を食べて十分な食物繊維を摂取する」「排便時に力を入れない」といったことを推奨しています。パルコプレシスの患者は「排便すること」に執着しすぎてしまう場合がありますが、排便そのものを楽にする生活習慣を身につけることが大事だとホー氏はアドバイスしました。

パルコプレシスに悩む患者には、否定的な思考パターンに対処する認知行動療法が第一の選択肢として推奨されています。多くの場合、段階的に構造化されたアプローチにより、公衆トイレにまつわるさまざまな状況に直面することで不安を軽減し、自信を育むアプローチが採用されるとのこと。
ホー氏は、「パルコプレシスを克服するために最も重要なのは、訓練を受けた医療専門家の助けを求めることです。まずは医師に相談しましょう。医師は、あなたの症状が便秘によるものか、それとも他の深刻な消化器系の問題によるものかを判断してくれます。彼らは便秘に効く薬を処方することもできます。かかりつけ医は、否定的な思考パターンを変えるのに役立つ認知行動療法を手配する心理学者を紹介することもできます。便を我慢し続けるのは体によくありません。職場・学校・旅行中などに排便でストレスを感じているなら、問題の理由を把握して、それに対処する時間を取る価値があります」と述べました。
