「なぜぼくは、『意識の科学』をやり続けているのか」と題された動画で、脳科学者の茂木健一郎氏が、自身の“意識の研究”の原点と思索の深まりについてじっくり語った。冒頭から茂木氏は「正直難しいんですよね、極めて」と本音を吐露し、現状の意識理論がどれも決定打になっていない現実を認める。「意識の科学ってややこしくて、やればやるほど非常に精密にどこがわからないのか、どこが困難なのかということが見えてくる」とも話し、分からなさを突き詰めて思索を深化させてきたと明かした。

茂木氏は、あくまで「意識の科学を勉強するっていうのは、意識がどうわからないのかってことを理解していくことが、かなり大きなポイントなんですね」と強調する。自身が31歳の時、電車の「ガタンコトン」という音の質感にふと気づいてから約30年ものあいだ、“意識”という謎を追い続けていることを吐露。だが「わかっている人っていなくて、一番危険なのはわかったとか、この理論で説明できると思っちゃうこと」と警鐘も鳴らし、「知的に誠実な人だったら、それはないんだなってことがよくわかる」と言い切る。

ところが、茂木氏はいまだに意識研究を続ける意味を「人類の知的なチャレンジの中では一番深遠な、遠いチャレンジ」と位置づける。「もし意識の謎が解けたとすると、それって人間存在のことがわかるってことですから」とも述べ、意識こそが「救い」をもたらし得る究極のテーマであるとの見解を披露した。また、人工知能や自由意思、人間の脳との対比を交えながら「意識の科学の本質的な進歩があったとするならば、それはいろんな意味でインパクトがあるだろうな」と予見している。

さらに、「意識の科学に引き寄せられてくる人って、なんか真摯な人が多いと思うんですよ」と語り、利益や出世、名誉のためではなく「この世の成り立ち」そのものに挑む気概が大切であると熱弁。そうした挑戦を「聖杯、ホーリーグレイルを探す冒険」にたとえ、「少しでも聖杯の端だけでも指が触れたらいいなと思って生きている」と、覚悟と情熱で話を結んだ。

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