【解説】“不信任”の伊東市・田久保市長…片や市幹部・経済団体・市民の辞職要求で考える「リコール制度」とは(静岡)
今週、静岡・伊東市議会から全会一致で不信任を突き付けられた田久保市長。9月11日までに「辞職」か「議会の解散」か選択することを迫られています。辞職を求めるのは市議会だけではありません。市の幹部職員…そして地元の経済団体…さらに市民からも….。
(市民)
「私たち伊東市民は、誠実で透明な姿勢を取り戻すため、伊東市長・田久保真紀氏に対して一刻も早い辞職を強く求めます。1万を超える市民からの署名が集りました」
(スタジオ解説)
(津川 祥吾 アンカー)
きょうの「ツガワの目」のテーマはこちら。
・なぜ届かない1万人の声「リコール制度」とは
今回、田久保市長の辞職を求める市民からの署名は1万158筆。非常に多くの数が集まったといっていいかと思います。市民の皆さんからは一刻も早く辞任してくださいとか、みんな困っているんですというような声も届けられましたが、今回の署名はリコール制度の対象ではありませんでした。それはなぜなのかというところですが、まず、この直接請求制度というのをおさらいしたいと思います。
有権者の一定の数の署名を集めることで、市長、議員の解職・辞めさせることを請求できるという制度ですね。解職請求と言いますれけども、それ以外にも条例を作ってくださいとか、変えてくださいとか、事務の監査・監査請求と言われるものですね。公共事業の発注がおかしいじゃないか…みたいな時には、こういうのをやったりします。あと、実は議会の解散も請求することができます。
この解職で、議員とか市長さん、主な公務員、これは副市長さんとかですね、こういった人を辞めさせてください…という請求をするのを、一般的にリコール制度というふうにいっています。
では、このリコール請求までの流れを少し見てみます。
一定の条件というふうに言いましたが、有権者が40万人以下の場合ですが、有権者の3分の1以上の署名が必要。しかも、これを1か月以内に集めなければならない。期間も決まっています。これを選挙管理委員会に提出して審査されて、間違いないということであれば、投票になって、過半数の人が辞めさせるべきだというふうに言うと、解職になるという流れになります。
ただし、このリコール制度、先ほどもありましたが、いつでもできるわけではありません。職に就いてから1年はできないということになっています。ですから、実は今回の伊東市の件でも、まだ、田久保さんが市長になったのは、ことしの5月ですから、今回リコールの対象ではないということですね。
短期間で多くの署名を集めなければならないとか、1年間はできないとか、結構高いハードルがあるんですが、なぜこのようなハードルがあるのか専門家に伺ってきました。元県職員で地方行政に詳しい静岡産業大学の小泉教授に聞きました。
(静岡産業大学 小泉教授)
「就任したばかりの人をですね、直ちにリコールするというのはできなくて、地方自治法上で、在任1年間できないようになっているわけですね。これはやはり選挙の直後に落選した側からですね、リコール運動が起こってしまってリコール合戦になってしまうという恐れがありますので、それとやはり、職務をある程度やった上で、やはり判断すべきでですね、職務をまだ十分やっていないのにリコールだというのも、それもやはりちょっと濫用ではないかということで、制限されているということですね」
(スタジオ解説)
(津川 祥吾 アンカー)
さあ、このリコール制度はどうでしょうかね。リコール制度ですが、弁護士の増田さんどのようにお感じになりますか?
(コメンテーター 増田 英行 弁護士)
法の原理原則の話をさせてもらいますと、住民が投票によって選ぶという権利があるならば、投票によって辞めさせる権利もあるはずじゃないかと…これはどういうことを意味するかというと、辞めさせる権利が住民にあるのだという、そういう緊張感が、選ばれた代表者に良い政治をさせるんだという…そういう理念が背景にあるんですね
。こういう法の原理原則からすると、1年間というのはちょっと長すぎるのかなという気は私にはしますが。
(津川 祥吾 アンカー)
なるほど、そこの1年間というのは、なぜなのかというところもあるかもしれませんが
、総務省のホームページには、このように書かれています。
間接民主主義の欠陥を補強し、住民自治の徹底を期するため、住民の基本権として認められるものなんだということですね。直接請求制度、ただし一定の制限があるべき、濫用防止して、政治的に陰謀の具とならないようにする。1年間というのはおそらく会計年度が1年ありますので、1年ぐらいはやらないといけないんじゃないのかなと。選挙は決して完璧ではありません。間接民主主義、要するに選挙で選ぶという話ですが、選挙は決して完璧ではありませんけれども、だからリコールという制度はあるけれども濫用してはいけない。行政の安定性が必要ではないかということが総務省のホームページに書かれています。市民が行動をすれば市長さえも辞めさせることができます。リコールさせることができますが、ただ、任期が始まってから1年はできませんよというルールがあるんですが、ただ実はですね、ここに但し書きというのが法律にあります。無投票当選であった場合、解職の請求は1年以内でもできる。つまりですね、無投票当選で市長になった場合は、就任直後であってもリコールで辞めさせることができるんですね。行政の安定が必要だということだけが理由だとすれば、無投票当選の市長であったとしても、すぐに辞めさせてはいけないはずなんですが、そうはなっていません。そこには、市民とか有権者が投票で選ぶということの特別の重要性というものが制度に反映されているというふうに見ていいかと思います。
そこで、きょうの私からの提言はこちらです。
・投票が最大の意思表示
この投票というのは、要するに無投票であっても、当選した方は政党に選ばれた方かもしれませんが、実は投票するかしないかというのが非常に重要な意味だということになります。私たちが市に対して、あるいは県に対して国に対して有権者として意見を言いたい。声を届けたいというときに選挙をするというのはとても大事なことですが、実は、この投票に行くということが非常に重要だと私は思います。まさに、そこが制度に書かれているところだと思います。
伊東市においても、今後、市会議員選挙、あるいは市長選挙が行われるということになっています。どちら両方もあるかもしれませんが、そこだけではなくて、例えば国政選挙も含めて、私たちが自分たちの声を政治に届けるためには、その一票を投じる特別な重みというものを、改めて感じる必要があるのではないかなというふうに思います。
