左から、ぽろり、ぴっころ、じゃじゃ丸 ©jpp/NEP
 1982年から1992年にかけて、NHKおかあさんといっしょ』内で放送されていた人形劇『にこにこ、ぷん』。番組名を聞くだけで、にこにこ島(じま)で暮らすじゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろりの愛らしい姿が浮かび心が和むのは筆者だけではないはず。

 そんな懐かしい3人が、実は現在も活動していることをご存じでしょうか? どのような活動をしているのか、3人と一緒に活動するスタジオじゃぴぽの代表取締役の北爪努さん、社員の北爪日向(ひゅうが)さんに話を聞きました。
◆3人が今後も活動を続けられるようにと生まれた「じゃぴぽ」

──じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろりは現在、どのような活動をしていますか?

北爪日向さん(以下、日向):現在は、日本全国のショッピングモールや道の駅などで撮影会やバラエティショーに参加している他、YouTubeチャンネル『スタジオじゃぴぽ公式ちゃんねる』『ぴっころちゃんねる』に出演しています。

──そもそもスタジオじゃぴぽは、どのような会社なのでしょう?

北爪努さん(以下、努):『にこにこ、ぷん』の原作者で、台本を書いていた井出隆夫さんと、人形美術家で3人をデザインした岡部久義さんが設立した会社です。

 放送当時お二人はNHKから個人で『にこにこ、ぷん』の制作を請け負っていました。『にこにこ、ぷん』の地上波放送終了後、3人の権利を守るため、1993年に設立されたのがスタジオじゃぴぽです。社名に3人の名前の頭文字が入っているのは、3人のために作った会社だからなんです。

日向:ちなみに、NHK Eテレに登場するネズミの着ぐるみを着た猫のニャンちゅうも、岡部さんが生み出したキャラクターです。当社では、ニャンちゅうの公開収録イベントの制作も行っています。

◆90年代はさまざまな番組で活躍していた3人

──『にこにこ、ぷん』の地上波放送終了後は、3人はどのような活動をしていたのでしょうか。

日向:1993年には『クイズ百点満点』、『オーストラリアのにこにこぷん』、1994年にはNHK衛星第2テレビジョン(以下BS2)で『あさごはんだいすき』、1995年から1998年までは、BS2で『にこにこぷんがやってきた』で活躍していました。

 ですので、1998年までは、3人はほとんど毎日のようにテレビで活躍していたんです。その後も、2012年から始まった子ども向け番組『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』(NHK BSプレミアム)や『紅白歌合戦』(NHK総合他)などに不定期で参加しています。

努:しかし、2000年から約10年は、3人はほとんど活動しておらず、空白の時代になっています。井出さんは、山川啓介名義でポップスの作詞やコンサートの構成、岡部さんは引き続きNHKの美術を担当し、毎日スタジオで小道具を作っていました。お二人とも非常に忙しかったことから、『にこにこ、ぷん』の活動をできずにいたのです。

◆生みの親の死とコロナ禍を経て、ファンに近い存在に

──活動を再開したきっかけは何だったのでしょうか?

努:2011年に岡部さんが、2017年に井出さんが亡くなりました。すると、遺族がお二人の原画、造形物などの遺品をたくさん送ってくださったのです。それらを整理しているうちに、私たちは「ただ保管しておくのはもったいない」という気持ちになってきたんですね。

 2021年に、不定期出演していた『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』が放送終了し、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めると、3人が表に出る機会はなくなってしまいました。けれども、3人のこれまでの活動の証は手元にたくさんある。これらを見せたら、ファンの皆さんに喜んでもらえるのではと思い、当会社内でイベントを開催したことがきっかけです。