たった15分長く眠るだけで思春期の子どもの脳に有益な可能性がある

睡眠は人間の体がうまく機能するために必要な行為であり、免疫力やメンタルヘルスの改善に役立つほか、脳は睡眠中にたまった毒素や老廃物を排出したり、記憶を強化したりしています。合計3000人以上の子どもを対象にした新たな研究では、「わずか15分ほど睡眠時間が長いだけで子どもの脳機能が向上する」という結果が示されました。
Neural correlates of device-based sleep characteristics in adolescents: Cell Reports

Adolescents who sleep longer perform better at cognitive tasks | University of Cambridge
https://www.cam.ac.uk/research/news/adolescents-who-sleep-longer-perform-better-at-cognitive-tasks
Just 15 Extra Minutes of Sleep Is Linked to Brain Benefits in Young People : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/just-15-extra-minutes-of-sleep-is-linked-to-brain-benefits-in-young-people
十分な睡眠をとることは心身の健康にとって重要ですが、人間は11〜18歳頃の思春期になると睡眠パターンが大きく変化し、就寝時間が遅くなって全体的な睡眠時間が短縮される傾向にあります。アメリカ睡眠医学会によると、この年齢層における理想的な睡眠時間は8〜10時間ほどだそうですが、多くの子どもたちはそれほど長く眠っていません。
ケンブリッジ大学の精神科教授を務めるバーバラ・サハキアン氏は、「定期的に質のいい睡眠をとることは、私たちが正常に機能するために重要です。しかし、成人期以降の睡眠については多くのことがわかっていますが、思春期の睡眠については、私たちの成長において重要な時期であるにもかかわらず、驚くほどわかっていません。たとえば、若者はどれくらいの時間眠っているのでしょうか。そしてそれは、脳機能や認知能力にどのような影響は及ぼすのでしょうか」と語っています。
もちろん、思春期の子どもがどれほど眠っているのかを調べた研究はありますが、その結果は一般的に子どもの自己申告に依存しており、正確な睡眠時間を反映していない可能性があるとのこと。そこでサハキアン氏らの研究チームは、アメリカで行われた思春期の脳と認知発達(ABCD)研究のデータに目を向けました。
ABCD研究では調査の一環として、合計3200人以上の11〜12歳の子どもに健康トラッカーのFitbitを渡し、睡眠パターンに関する客観的なデータを収集していたとのこと。また、13〜14歳時点の被験者約1190人を追跡調査して、その結果について再確認することもできたそうです。

分析の結果、子どもたちを睡眠パターンに基づいて3つのグループに分類することができました。被験者の約39%を占める「バイオタイプ1」は、最も遅く眠りに落ちて最も早く起床し、その平均睡眠時間は7時間10分でした。被験者の24%を占める「バイオタイプ2」は、すべての睡眠特性にわたって平均的なレベルであり、平均睡眠時間は7時間21分でした。被験者の37%を占めた「バイオタイプ3」は、最も早く就寝する傾向があり、睡眠中の心拍数も最も低かったそうで、平均睡眠時間は7時間25分でした。
これら3つのバイオタイプ間では、学校の学業成績について大きな差はみられませんでしたが、語彙(ごい)力・読解力・問題解決力・集中力といった側面を調べる認知テストでは、バイオタイプ3が最も優れたパフォーマンスを発揮しました。次にパフォーマンスが高かったのはバイオタイプ2の被験者で、バイオタイプ1の被験者は最もパフォーマンスが悪かったと報告されています。
また、バイオタイプ3の子どもたちは脳の容積が最も大きく、脳機能も一番高かった一方で、バイオタイプ1の子どもたちは脳の容積が最も小さく、脳機能も貧弱だったとのことです。
サハキアン氏は、「各グループの睡眠時間の差は、最もよく眠ったグループと最も眠れなかったグループの間でわずか15分強と、比較的小さいものでした。それにもかかわらず、脳の構造や活動に差がみられ、タスクの実行方法にも差がみられました。この点は、人生において重要な時期に質のいい睡眠をとることが、いかに重要かを私たちに教えてくれます」と述べました。
