記事のポイント
マンスエト社が運営するパブリッシャーはペイウォールを強化し、1日4本の有料記事で読者収益を拡大中。
トラフィック減への対応として、安定収益源のサブスクリプション事業に注力する。
サブスクリプション以外にも、認定プログラムやロゴ使用料などで高利益を確保。


ファストカンパニー(Fast Company)とインク(Inc.)がペイウォールの強化を進めている。数週間前までは、マンスエト・ベンチャーズ(Mansueto Ventures)が運営するこれらのパブリッシャーは、1日1本の新しい記事を有料化していた。現在は、1日に4本の記事が有料会員向けに確保されている。

会員のためにより一層の価値を生み出すのがそうする理由のひとつだが、ペイウォールの変更は、参照トラフィック問題に照らした、マンスエト・ベンチャーズでの消費者からの売上増加を目的とした戦略のより大幅な移行の一環でもある。

「真の理由は(中略)トラフィックが不安定で、オーディエンスとの直接的な関係を築き、サブスクリプション事業から得られる安定性を確保するための、より多くの手段を見つける必要がある」と、同社のCEO、ステファニー・メータ氏は3月24日に、コロラド州ベールで開催されたDIGIDAYパブリッシングサミットで語った。

特にインクは、Google Discoverのトラフィックに「かなり依存」しているが、過去半年ほどは、それが信頼できなくなったとメータ氏は述べる。メータ氏は、ファストカンパニーとインクの会員数を明らかにしていない。

「従来は信頼できるトラフィック源だった記事が、そうではなくなった。我々が学んできたのは、今後に何が前進に成功するかを判断するのに、過去のパフォーマンスを頼ることはできないという点だ」とメータ氏は話す。Googleのようなプラットフォームからトラフィックを誘導するものが何かを正確に把握するのは困難だが、サブスクリプション事業では、人々が金を払って読む対象を示す、より信頼できるデータがある、とメータ氏は付け加えた。

マンスエト・ベンチャーズは、(年間売上全体の3分の1を占める)消費者向け事業が2025年には2桁台前半の成長を遂げると予想している、とメータ氏は話す。だが、2025年には経済的に逆風が吹く可能性があるため、(売上の55%を占める)広告売上事業は1桁台の成長にとどまると同社は見ている。

「それらの数字を見て、特に今何が起きているのかに気を配らないといけなくなるだろう。消費者が圧迫感を覚え始めたら、この購読者を維持する価値があるかどうかについて、予測および機械学習ツールを活用して理解する機会になるだろう。もしそうなら導入が必要な割引があるのだろうか」とメータ氏は話した。

認定プログラムとロゴ使用料で高利益を確保



サブスクリプションに加えて、マンスエト・ベンチャーズの消費者からの売上は、(約12種ある)認定プログラムにも起因する。これには、「World's Most Innovative Companies(世界でもっとも革新的な企業)」や「Inc. 5000」のようなフランチャイズの申込金や、そうしたフランチャイズに関連する祝祭イベントへの参加費、ファストカンパニー・インパクト・カウンシル(Fast Company Impact Council)のような団体に参加するためにCEOが支払う会費が含まれる。

マンスエト・ベンチャーズの残りの売上は、こうした認定プログラムのライセンスやロゴによるものだ。たとえば、企業は名刺やWebサイトにInc. 5000のロゴを掲載するために金を支払う。メータ氏はこれらの会員権により得ている売上高の金額を明らかにするのを避けながらも、「かなり利益がある」と述べた。

「それらにともなう追加の諸経費はほぼない。デジタルロゴを当社からライセンス供与しても、そのデジタルロゴの制作費はかからない。費用がかかるのは一度だけだ。それに、年に多くの金額を請求できる。(中略)だから、ほぼ100%利益だ」とメータ氏は語った。

[原文:Fast Company and Inc. tighten up paywalls to grow consumer revenue amid traffic volatility]

Sara Guaglione(翻訳:矢倉 美登里/ガリレオ、編集:坂本凪沙)