自民全敗、立憲3勝 島根1区で自民敗れる 衆院3補選

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 衆院の三つの補欠選挙が28日、投開票された。

 自民党は与野党一騎打ちとなった島根1区で敗れたほか、候補者の擁立を見送り不戦敗となった東京15区、長崎3区と合わせ全敗となった。派閥の裏金事件を受けて「政治とカネ」の問題への姿勢が問われた岸田文雄首相には厳しい結果となり、今後の政権運営への影響が避けられない状況だ。

当選を確実にし、万歳する亀井亜紀子氏(中央)=2024年4月28日午後8時5分、松江市、筋野健太撮影

 3選挙区は、補選までいずれも自民議員が議席を維持していた。今回、自民が唯一候補者を擁立した島根1区は、立憲民主党の党県連代表で前職の亀井亜紀子氏(58)が自民新顔で元財務官僚の錦織功政氏(55)=公明推薦=を破った。

 組織的な裏金作りをしてきた安倍派の元会長・細田博之前衆院議長の死去に伴う選挙で、実態解明への姿勢が問われた。

 立憲の泉健太代表は結果判明後の28日夜、「真相究明はおぼつかず、政治改革案も期待外れだった」と述べ、早期の衆院解散を求めた。

 一方の自民は、首相が2度の応援に入るなど、党を挙げての選挙戦を展開。支援団体の組織票固めに力を入れたが、裏金事件に加え、細田氏の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との深い関係が指摘されたこともあり、及ばなかった。茂木敏充幹事長は同日夜に「非常に逆風が強かった。厳しい結果になったことを重く受け止めなければいけない」と語った。

 島根は全県区だった中選挙区制時代も含めて、自民勢力が当選を重ねる「保守王国」だったが、1区で議席を失った。

 東京15区は公職選挙法違反の罪で有罪となった柿沢未途前法務副大臣=自民を離党=の辞職に伴う選挙。立憲や日本維新の会、諸派を含む9候補の混戦となった。

 立憲が擁立した地元・江東区の前区議、酒井菜摘氏(37)が、維新新顔の金沢結衣氏(33)、国民民主党小池百合子東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が推薦する無所属新顔の乙武洋匡氏(48)らを破り、初当選した。

 谷川弥一前衆院議員=自民を離党=の裏金事件を受けた辞職による長崎3区では、立憲と維新の一騎打ちとなった。前回衆院選で谷川氏に惜敗した立憲の山田勝彦氏(44)が、維新新顔の井上翔一朗氏(40)を下した。(千葉卓朗)