投稿された給食の画像。スープも米も明らかに少ない。肉か魚のおかずも欲しい

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 食品の値上げが相次いでいる。帝国データバンクによると10月にはハムやソーセージ、冷凍食品など4634品目が値上げされ、今年1年間では累計3万5000品目程度の値上げが予想される。

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“バブル崩壊以降最大級の値上げ”と言われる今年。9月末には、学校給食を提供する食堂運営会社『ホーユー』(広島市)が事業を停止した。その理由は“食材費や光熱費、人件費の高騰”。では、現在の学校給食はいくらくらいで作られているのだろうか。

 今年、公表された文部科学省の学校給食実施状況等調査では、給食費の平均月額は小学校で4477円、中学校で5121円となっている。1食あたりの金額は自治体や学年によって異なるが、おおむね300円を下回る。

《今の子どもの給食ってこんなに劣化したんだな……》

 給食は予算も献立も数か月前に決まる。だが、その間に食材の値上げや賃上げなどコストの高騰があると、その補てんで給食業者が持ち出しをする場合も多く、前出・ホーユーでは“学校も給食費の値上げに同意せず、ビジネスモデルとしてもう成り立たない”と音を上げた形だった。この窮状がそのまま子どもの給食に直結している。

 SNS上にも、あまりにも質素な給食事情を嘆く投稿が多く見られる。おかずが春巻き1本と薄いスープであったり、小さな卵焼きとひじきだったり、主食が薄い食パン1枚であったり。それらのコメント欄には「まるで戦後」「残飯レベル」「刑務所?」「昭和のころのほうがマシ」といった声があふれていた。

 そんな投稿の1つ、長崎県に住むのび太(@Nobita2M)さんの写真が目を引いた。

《今の子どもの給食ってこんなに劣化したんだな……》

 そのコメントと共に投稿されたのは卵焼き、野菜の副菜、汁物、白米、牛乳が並んだ給食の写真。驚くのはメニューのどれもが、ほんのわずかな量であること。のび太さんに詳しい話を聞いた。

「妻が行った小学生の子どもの給食参観で撮った写真です。低学年とはいえ、これでは足りなすぎる。友人に見せたところ“食べかけ?”“病院食みたい”などと驚かれました」

給食参観でこれだから、ふだんは……

 のび太さんの住む市では、今年4月から給食費4300円の半分、2150円を市が負担する形になった。

「親の負担が半分に減ったのはありがたかったのですが……。でもこれを見る限りでは、量まで半分に減ったんじゃないかと疑います」

 タンパク質は卵焼きとスープに浮かんだベーコン、牛乳だけだろうか。あまりにも栄養と彩りが乏しく見える。

「唐揚げとかハンバーグとか、子どもの好きな給食のおかずってありますよね。そんなメニューは極端に少ないんです、回数も量も。保護者が見る給食参観でこれだから、ふだんはどんな状態なのか、恐ろしいですね」

 のび太さんの住む市だけでなく、子育て支援の一環として給食費の助成や無償化に動く自治体は多い。東京都でも今年10月までに17区が区立小学校の給食費無償化を開始した。9月から無償化をスタートさせた、とある区では、

「国や都が予算を出さないので、区の持ち出しの無償化です。わが区は物価高騰分も含め全額を負担するので、給食の質を落とさないよう求めています」(区議)

 “国の宝”子どもたちの給食は、自治体による格差が出ないよう、国が責任を持って無償化にしてもらいたい。