スタバは1700億円近くも客からお金を借りている「金融王者」だという指摘

by pxhere
スターバックスをよく利用する人の中には、スターバックスが発行しているプリペイドカードや公式アプリを使用している人も多いはず。金融ライターのJ・P・コーニング氏は、こうした決済システムがスターバックスに膨大な利益をもたらし、スターバックスを「金融王者たらしめている」と指摘しています。
Moneyness: Starbucks, monetary superpower
https://jpkoning.blogspot.com/2019/08/starbucks-monetary-superpower.html
Wow Starbucks, what a great gig.
Starbucks has ~$1.6 billion in 'stored value card liabilities' i.e. the Starbucks Card. So ~6% of the firm's liabilities are comprised of coffee addicts paying 0% for the privilege of lending to their supplier.
Source: https://t.co/nGH2arujYz pic.twitter.com/cGcSW3L4MM— JP Koning (@jp_koning) 2019年8月11日
コーニング氏が指摘した「スターバックスの負債」とは、スターバックスの利用者がアプリやプリペイドカードを通じてスターバックスに支払ったお金の残高のことです。こうしたお金は、いずれスターバックスの決済に利用されるので、「スターバックスが一時的に利用客から借りたお金」とみなせますが、一般的な融資とは違い、利息などはつきません。従って、スターバックスは16億ドルもの資金を無利子で調達できていることになります。
実は、16億ドルという金額自体は取り立てて大きな金額ではありません。例えば、オンライン決済サービスのPayPalが利用者から集めている金銭は200億ドル(約2兆1000億円)にものぼります。しかし、PayPalはこの資金を自由に使うことはできず、事業から分離された銀行口座に保管しておくか、せいぜい国債で運用することしかできません。なぜなら、常に手元に十分な資金を準備して償還や支払いに備えなければならないためです。
一方、スターバックスの利用客が貸したお金を回収する唯一の方法は「コーヒーの注文」だけです。スターバックスの利用客がプリペイドカードの残高を一気に使うようなケースはあまりないため、スターバックスは余剰となった資金を事業の拡大や、より利回りが高い資産の運用に回すことが可能です。この仕組みにより、スターバックスはPayPalなどに比べてはるかに効率的に資金を運用できるというわけです。

by Omar Lopez
しかも、プリペイドカードなどの残高には期限が設定されており、期限が切れれば残高は減少します。コーニング氏は「プロの投資家は貸したお金を決して忘れません。しかし、スターバックスの客はいい加減で多忙な上、忘れっぽいところがあるようです」と語っています。それもそのはずで、期限切れなどにより使われないまま消えたプリペイドカードなどの残高は、2018年だけで1億5500万ドル(約163億円)にものぼることが分かっています。
スターバックスが集めた資金は16億ドルなので、そのうち1億5500万ドルが消滅したということは、毎年10%近くのプリペイドカード残高が使われないまま消えている計算になります。このお金は利用者にとっては純粋な「損失」ですが、スターバックスにとっては「10%の利益」です。これについてコーニング氏は「スターバックスの利用客が貸しているお金は無利子どころか-10%の利子付きです」と指摘しています。
Few companies can get that much free financing. But don't forget breakage-balances that will never be redeemed. In 2018 Starbucks recorded breakage of $155 million,~10% of all card balances.
So the true rate at which customers are lending to Starbucks is probably closer to -10%. pic.twitter.com/hRaN7LGoEf— JP Koning (@jp_koning) 2019年8月11日
また、アプリやプリペイドカードには膨大な個人情報が紐付いているので、本来であれば多額の資金を投じて集めなければならない顧客情報を低コストで収集できるというのも、スターバックスにとっては大きなメリットです。
こうしたビジネスモデルを採用しているのはスターバックスだけではありませんが、スターバックスほど成功している例はほとんどないとのこと。例えば、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートはスターバックスの20倍の売上高を誇りますが、プリペイドカード事業の規模はスターバックスと同程度です。
コーニング氏は「スターバックスの成功には、サービスの規則性と均質性が関係していると思いますが、正直よく分かりません」と話し、スターバックスがこれほどの成功をおさめた理由を「スターバックスの金融の謎」と表現しました。
