2014年の12月から、Googleは検索エンジン上で曲のタイトルや歌詞を入力すると、検索結果より上に当該楽曲のタイトル・歌詞を表示するようになりました。「このフレーズは何の曲だっけ?」という時に便利な機能ですが、楽曲の歌詞部分を専門的に扱うGenius Mediaが、「Googleは検索結果に載せるために何年も我々の公開している歌詞をコピーしてきた」と主張しています。

Lyrics Site Accuses Google of Lifting Its Content - WSJ

https://www.wsj.com/articles/lyrics-site-genius-com-accuses-google-of-lifting-its-content-11560677400



Genius.com accuses Google of copying its song lyrics - The Verge

https://www.theverge.com/2019/6/16/18681225/genius-com-accused-google-copying-song-rap-lyrics

Genius Mediaは2009年頃から「巧妙なラップの歌詞に注釈を付けるためのプラットフォーム」として、さまざまな楽曲に注釈を付けて音楽ファン同士が議論を繰り広げられる場として「Genius Lyrics」を提供しています。

例えば、ラッパーのドレイクの「Money In The Grave」という曲の場合、曲名・アーティスト名・歌詞・再生ボタン・ユーザーによるコメントなどが並んでおり、歌詞を知りたい人や楽曲について語り合いたい人々のコミュニティとして機能しています。

Drake - Money In The Grave Lyrics | Genius Lyrics



そんなGenius Mediaが、GoogleはGenius Lyrics上から歌詞だけをコピーして検索結果に表示していると主張しています。Genius Mediaは何年にもわたってGoogleに苦情を寄せているとのこと。

Genius Mediaの幹部であるベン・グロス氏は、海外メディアのThe Vergeに対して「GoogleがGenius Lyricsからコピーした歌詞を検索結果に表示していることは明らかであり、我々は不可逆的な証拠を何度もGoogleに提示しています。これは深刻な問題であり、Googleは問題に対処する必要があります」とコメントしています。



Genius Lyricsにはサイト上に記された歌詞が盗用されていないかを見抜くために、歌詞に隠されたパターンをモールス信号に変換すると「Red Handed(現行犯)」という単語が表示される仕組みを導入しているとのこと。そのため、Googleが歌詞を盗用しているか否かが簡単に判別できるようです。

ウォール・ストリート・ジャーナルがこの件についてGoogleにコメントを求めたところ、Googleは歌詞を取り扱う別の企業(LyricFind)からコンテンツのライセンスを供与しているとして、Genius Lyricsの歌詞をコピーしていることは否定しています。しかし、The Vergeに寄せられたGoogleの声明では、Googleの広報担当社が検索結果に含まれる情報はさまざまな情報源からライセンスされていることを確認したとして、「デジタルパートナーと、この問題について調査しているところです」と述べるに留まっています。