高卒就職「1人1社制」見直しで変わること、懸念すること
地域の担い手に重要な存在
高卒者に占める就職者の比率は約30年前の40%弱に対し、現在は18%弱と減少している。とはいえ、普通高校、職業高校問わず一定数存在する就職者は「地域経済の担い手として重要な存在」(内閣府規制改革推進室)と政府は認識する。
8日に開かれた同会議の保育・雇用ワーキング・グループ(安念潤司座長=中央大学大学院教授)では、全体の意見交換に先立ち、この問題に詳しい労働政策研究・研修機構の堀有喜衣主任研究員が現状を報告した。
大卒より内定辞退少ない
堀氏は1人1社制が続く背景として、高校側には企業との信頼関係維持や生徒の就職活動の負担軽減といった配慮があると指摘。企業側にとっては大卒採用と比べて内定辞退のリスクが小さく、採用関連費用も抑えられるなど、確実・効率的な制度として評価されていると分析する。
意見交換では、大手流通業などから「地方に進出して間もない店舗の場合、地元の中小企業のような採用実績がなく、推薦を受けにくい」など、制度のデメリットを指摘する声が上がった。一方、高校側からは「新規企業への警戒感や生徒の離職の懸念があり、現行の1人1社制を残したい」との意見も出た。
撤廃で中小企業への応募減も
1人1社制を撤廃した場合、知名度の高いBツーC企業や大手企業への応募が増え、BツーB企業や中小企業への応募が減るとの見方もある。大都市部の企業への就職で、地方の若年労働力が流出する懸念も根強い。
こうした事情も踏まえつつ、内閣府は、生徒がより主体性をもって職業を選べるようにする観点で検討を進める方針。学校側には就職を担当する教員への研修機会の確保、企業側には高卒者が働きやすい環境整備や情報提供方法の改善などを促す構えだ。今後、厚生労働省や文部科学省などの関係省庁での検討を注視し、調整を進めていく。
