データ重視せよ、マツダなどで進む技術者の意識改革
マツダ技術本部ツーリング製作部の長澄氏は、ボンネットの反射光がパネルのつなぎ目で乱れず美しく見えるプレス成形技術を説明した。まず、ベテランが成形圧などの適した加工条件を推定で採点して決める仮想実験を実施。採点結果から成形の重要な条件やその水準を選び、コンピューター利用解析(CAE)で最適条件を予測した。
その条件で確認実験すると成形精度が上がり、つなぎ目の光も連続的に反射し、美観が向上した。「マツダの次世代モデルのプレス成形は、もっと良くなる」(長澄氏)と手応えを示す。
一方、HDSIハーモニックドライブ研究所の城越氏が発表したのは、ロボットの関節などに使われる減速機の品質を評価する計測技術。実験で計測したトルク(回転力)や回転数の入力・出力値から、品質の安定度を示すSN比を計算した。
するとSN比は、減速機の劣化の程度を測り評価する従来の手法より先に変化し、劣化をいち早く予測できた。「減速機の本質的な働きである動力伝達をSN比で調べ、評価の時間を短縮したい」(城越氏)と意気込む。
いずれの事例も重要なのは、計測データの適切な選択と量。流通業やサービス業などで先行するビッグデータやAIを導入し、開発と生産を革新的に効率化する機運も、製造業では高まっている。ただ、それには多くの設定条件から有効なデータを見つけ出し、計算結果から正解を読み解く思考力が欠かせない。
シンポに参加したダイキン工業空調生産本部の菅原正人氏も「製品が多様化し、効率的なモノづくりが欠かせない」と、事例に強く関心を寄せる。第一線の技術者たちの挑戦が続く。
(日刊工業新聞社・田井茂)
