17の目標が迷路のように中でつながているから、「SDGs」は面白い
肥料材料の原料はビール酵母の細胞壁。酵母自体は栄養価が高く、胃腸・栄養補給薬「エビオス錠」、調味料、家畜飼料として販売してきた。酵母はビール醸造工程で取り除かれるが、捨てずに商品化することで新しい価値を生んでいる。
新会社設立の理由の一つとして、アサヒバイオサイクルの御影佳孝社長は「CSV(共有価値の創造)の実現」を上げる。CSVとは課題解決で社会的価値を生み、事業も成長させる経営思想。アサヒグループHDが経営戦略としている。
ビール酵母由来の肥料材料は、人口増加に伴う将来の食糧不足の解消に役立つ。また、根がしっかりと張った植物は雨量や日射、気温の変化に強く、気候変動が進んでも食糧供給に貢献できる。社会価値創造と利益を両立できる事業と見込まれ、新会社となった。
アサヒグループHDは、中期経営計画の重点課題の一つに「サステナビリティーの向上を目指したESG(環境・社会・企業統治)への取り組み強化」を掲げている。CSR担当の火置恭子マネジャーは「アサヒらしいCSVが本筋」と事業との一体感にこだわる。また「SDGs(持続可能な開発目標)に当てはめると、取り組む意味が明確になる」と解説する。
国連はSDGsで社会課題をニーズとし、技術革新を起こすように企業に要請した。そして17の目標はバラバラではなく、関連していると説明する。酵母細胞壁を肥料材料にできた技術革新(目標9)は食料(同2)、気候変動(同13)、持続可能な生産・消費(同12)達成へとつながる。
御影社長も新会社の役割を再認識した。「SDGsは新しい取り組みを広げ、成長のきっかけにできる。SDGsを読んで会社の方針を立てやすくなった」と語る。SDGsがアサヒらしい新規事業を加速させるようとしている。
