“印刷”ボタンを押すだけ。3Dプリント自販機を作るGEの挑戦
米ゼネラル・エレクトリック(GE)の科学者たちは今、これと同様の手法を、3Dプリント技術をはじめとするアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)に応用しています。さまざまな材料の組み合わせを微調整・テストすることで、造形する部品に最良の特性を持たせようとしているのです。
「より大きくて複雑な部品を造形できる新しい機械技術ももちろん必要ですが、根本的にマシンが対応可能な材料の幅を広げることも重要なんです。今はマシンのボキャブラリーを増やしているようなものです」――アディティブ・マテリアル・ラボを率いるジョー・ヴィンシクエラはこう話します。
これは、GEにとっては非常にタイムリーなプロジェクト。GEは昨年、10億ドル以上を投じて、産業用3Dプリンターで業界をリードする2つのメーカー、スウェーデンのアーカム社とドイツのコンセプト・レーザー社の株式の過半数を取得しました。コンセプト・レーザー社のマシンは金属粉末の薄層を溶融して部材を造形する3Dプリンターです。
一方、アーカム社のマシンはさらに強力な電子ビームプリンターで、スチールより50%軽い反面、成形が極めて難しいチタン酸アルミニウム(TiAl)のような驚くべき新材料(俗に言うワンダーマテリアル)から部品を積層することもできます。
イタリアのカーメリにあるアディティブ・ファクトリーでは、GEアビエーションがボーイング社の次世代ワイドボディ機向けに開発中の世界最大のジェットエンジン、GE9XのTiAl製タービンブレードをすでに製造しています(下の動画で詳細をご覧いただけます)。
ヴィンシクエラの目標は、セラミックマトリックス複合材料(CMC)や炭素繊維、さらにはシリーパテ(スライムに似たシリコン製のおもちゃ)まで開発してきたGEがもつ材料科学に対する深い知見を活用して、3Dプリント材料に関する独自のレシピ本を開発すること。
現時点では、最新鋭の3Dプリンターでさえ8年もかけて開発した、非常に特殊な金属配合の限られた材料しか使用できません。厳しい工業規格を満たす必要があるからです。
アディティブ・マテリアル・ラボの材料科学者、ローラ・ダイアルも「私たちの研究では、ジェットエンジンのような複雑なシステムに使われる金属部品の性能と耐久性を把握する必要があります。こうした応用の場合、強度や耐熱性、亀裂抵抗などの要素が非常に重視されるからです」と話します。
金属3Dプリンターは通常、レーザーかその他の高エネルギーのビームによって金属粉末の薄層を溶融結合して部品を造形します。プリンターは部品のサイズによって、1個〜数十個の部品を同時に製造することができます。
3Dプリンターは設計者に自由度や柔軟性を提供してくれるもので、かつては不可能だった「CADで描いた図面からそのまま直接、造形する」ということを可能にします。しかしながら、現在使用できる材料だけでは、造形した部品の用途が限定的であるのも事実です。
ダイアルと彼女の同僚は、800通り以上の合金と製造プロセスとの相性を研究しています。つまり、異なる3Dプリンターごとに800通りの中からそれぞれに最も適した合金を選べるようにすることで、さまざまな製品を作れるようにするというもの。
