新車購入で多くの人がまず気にするのは、車両価格よりもむしろ日々の維持費だろう。原油高が続き維持コストへの意識が高まる中、世界的にEVへの再評価が進む流れは、日本の軽自動車市場にも静かに波及しつつある。国内の新車販売のうち軽自動車が占める割合は約4割にのぼり、地方や低密度地域ほどその存在感は大きい。すでに国内メーカーからも軽EVが登場する中、そこに中国の自動車大手BYDが新型の軽EVを投入するというニュースが注目を集めている。
 
実業家のマイキー佐野氏は、自身のYouTubeチャンネルでこの動きを取り上げ、価格設定の裏にある意図を読み解いた。BYDはバッテリーやモーターなどを自社で一貫生産できる体制を持ち、コスト面では大きく下回る価格で販売することも可能だという。にもかかわらず、実際の価格帯は国内メーカーとほぼ同水準に設定された。佐野氏はこの背景に、国内のEV関連補助金制度の評価基準が見直され、インフラ整備やアフターサービス体制、災害時対応、サプライチェーンの持続可能性といった項目が重視されるようになった事情があると説明する。国内メーカーに有利な仕組みへと変わったことで、BYD側もあえて利益を確保し、体制整備に資金を振り向ける戦略を取ったという見立てだ。
 
車両そのものの作り込みにも、狙いが透けて見えると佐野氏は語る。国内メーカーがコスト面から見送った高い車高やスライドドアの仕様を標準装備とし、ブレーキ性能でも安全性を前面に押し出す設計とした。加えてソフトウェア対応力の高さも強みとされ、単なる価格競争ではなく機能や品質での優位性を示す方向へと舵を切った様子がうかがえる。さらに販売面では、国内に在住する中華系コミュニティを起点とした口コミの広がりや、家電量販店やガソリンスタンドといった従来とは異なる場所を販売拠点に変えていく可能性も語られた。
 
こうした価格設定や制度対応、車両設計、流通戦略という複数の動きが重なり合う中、佐野氏はこの先の展開が日本の自動車産業全体にどのような影響を及ぼしうるのかという、より大きな問いへと話を広げていく。国内の自動車産業や地方経済の行方に関心がある人には、目先の一台の値段にとどまらない構図が浮かび上がる。

チャンネル情報

マイキー佐野です 経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど 様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます~ 2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始 現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営