【EDIUSの現場】ウェディングムービーの新しい潮流〜 一眼ムービー+「撮って出し」の可能性その?OUNCE
ウェディングにおけるデジタル一眼ムービー+撮って出しの可能性を探る第2回目は、OUNCE(オンス)の飯塚大志さんにお話をお訊きした。

▲女性を対象にした講座でステディカムマーリンをレクチャーする飯塚さん。
飯塚さんはデジタル一眼ムービーが流行り始める前からウェディングに関わってきた。2005年頃に大手のT&Gでアルバイトをしていたが、そのときにはすでに「撮って出し」とか「撮って出しエンドロール」と言う言葉が現場で使われていたという。もともとはテレビ業界で使っていた「撮って出し」から来ているようだ。それが今ではウェディング業界ではサービス名称として一般的になっている。
インターネットでは、「撮って出し」「撮って出しエンドロール」「結婚式エンドロール」という言葉で検索している人が多いので、OUNCEでもそういう表記にしている。最近では、海外の業者が使っているSame Day Edit(セイムデイエディット)という用語も使っているそうだが、日本ではあまり一般的にならないと嘆く。
「撮って出し」は必ず1日で終わる
今のウェディングビデオは、主に記録ビデオと「撮って出し」の2種類に分かれており、OUNCEでは、提携している会場との契約で記録ビデオまで取り扱わなければならないときを除いて、できるだけ「撮って出し」に特化しようとしている。記録ビデオは、チェック項目が多岐にわたり、取り扱いが難しいわりにここ数年単価が頭打ちだ。「撮って出し」のほうが高単価の傾向にある。記録ビデオに比べて、「撮って出し」のほうが様々な技術を要求され、制作者によってクオリティの差が大きく出る。
また記録ビデオはどうしても編集に時間がかかるのもネックだ。早い人なら1日で編集は終わるが、人によっては3日以上もかかる。逆に「撮って出し」は撮影編集が必ず1日で終わるうえに、顧客からの反応も現場で直に実感できる。
最大の魅力はそこだ。しかしその分、リスクがある。

能力の高いクリエイターであっても、「撮って出し」になると急にパフォーマンスが落ちる傾向にある。時間の制約があることで、極度の緊張状態にさらされ、冷静さを欠いて普段しないミスが出る。何回経験しても前日は眠れないという人も結構いる。プレッシャーは大きいが、その場でお客さんの反応がもらえるというのは、何にも代えがたい喜びがある。
一人ですべてをこなし、その場で上映するというジャンルは映像制作の分野では特殊で、短時間でいいものを作り上げるのは即興芸のようなもの。その能力をスタッフをはじめ多くの人に身につけてほしいと飯塚さんは言う。
撮影、編集するだけでなく、コミュニケーション、演出の能力も問われるし、実はビデオエンジニア的な知識もいる。編集の段階でトラブルがおきたときにどう解消できるか。たとえば会場のプロジェクターが16:9だと後でわかったときに、急遽現場で直していくことができるのか。映像の世界は、知っておかなければならない知識が多岐にわたり、そこは初心者や写真の分野の人にとって敷居が高いところでもある。

パナソニックGH3を10台。マーリン用のホルスターも開発した
OUNCEの基本システムはカメラがパナソニックのGHシリーズ。現在はGH3が10台ほど。さっそくGH4も導入しようと思っている。フレームレートは24pで撮影。マーリンに載せたカメラは撮影段階で48%のスローにしている。編集でスローをかけるのではなく、カメラ側でかけてしまう。そこはEOS系にはないメリットだ。
レンズは超広角ズームのLUMIX 7-14mm F4と、最近導入した中望遠のコシナNokton 42.5mm F0.95。本来ならズームレンズが使えるといいのだが、マイクロフォーサーズでは、なかなかキヤノンのような「使えるズームレンズ」が見当たらないという。ズームレンズでないと、どうしても足を使って移動する必要が多くなり、2倍は手間がかかる。ただ単焦点で基本をマスターしさえすれば、ズームレンズを使ったときに非常に楽に感じる。スタッフに基本を覚えてもらうには訓練にもなる。また、マイクロフォーサーズの場合、F2.8クラスのズームレンズでもボケにくいということもあり、ビデオカメラとそれほど違わない描写になってしまう。デジタル一眼を活かした味を求め、さらに撮っていて楽しいとなると、今のところNokton 42.5mm F0.95はいい選択肢だ。
特機は一脚とステディカム・マーリンを使用。さらに飯塚さんは会場によっては、クレーンも導入する。7-14mmとステディカムやクレーンを組み合わせたダイナミックな映像は、男受けするのか、特に新郎が喜んでくれるという。
ちなみにステディカム・マーリンは自立しないので、会場のどこに置いておくのか問題になるが、OUNCEでは、その悩みを解消するために腰に装着できるマーリンホルスターを開発。フジヤエービックで販売しているそうだ。
「撮って出し」にはEDIUSが強い
編集はウルトラブックを利用してEDIUS Pro 7で行う。もちろんネイティブ編集だ。「撮って出し」には絶対にEDIUSが強いという。トータルの編集時間は2時間あるかないか。たとえば挙式が30分で、披露宴までの間が30分、披露宴が2時間半とすると、その披露宴の間に編集することになる。ちなみに「撮って出し」のプランとしては、挙式までの撮影と披露宴のお色直しまで撮影という2つ。ギリギリまで収録するということを売りにはせず、中身のコンテンツで勝負する。披露宴途中まで入れる場合は、スタッフによっては、二人一組で対応することもある。

編集時間は限られているので、撮影した素材は、こまめにPCに読み込んでいく。上映はDVDであり、PAさん側でのチェックも含めると、時間に余裕をもって渡す必要がある。DVDは会場のプロジェクターが4:3であれば上映用はレターボックスで仕上げるが、新郎新婦に納品する場合は、スクイーズにして渡す。さすがに自宅のテレビが4:3ということはないからだ。
ただこれからはUSBメモリーで渡すことも考えているという。そのほうがファイルとして扱いやすく、スマホやタブレットで見やすい。今は家に呼んでテレビでDVDを見せるというよりも、Facebookでシェアすることのほうが多いはず。新郎新婦がYouTubeやvimeoにアップして公開してくれれば宣伝にもなる。OUNCE自身、YouTubeやvimeoにチャンネルをもっているのは、より「撮って出し」のいい映像を世に広めたいからでもある。
ただOUNCEの映像に共通する決定的な特色があるわけではない。商品のテイストはあえて固定していない。ひな形を作って量産化するシステムを捨て、OUNCEでは基本思想のコアな部分は共通しているが、それを具現化させる表現手段や技巧は各人に委ねるようにしている。できるだけテイストを多様化させ、各人のモチベーションを上げたいのだと飯塚さんは言う。
ただ、少しでもレベルアップするようにFacebookにグループを作り、毎週各人の仕事をアップし、相互にチェックできる場を設けて、切磋琢磨している。最近では、女性だけを対象にした撮影のワークショップも開催している。女性で優秀な人たちはたくさんいるので、手に職をつけて結婚したり子どもを生んだ後でも長く仕事ができる環境作りをしていきたいという。
機材に関しては、次々に更新することを前提とした「消耗品としての機材」が基本思想。テクノロジーの進化はスピードが早い。半年後、一年後も予測がつかない時代に大きい機材投資は絶対にしたくないという。社内のフロアには使われなくなったMac Proが置かれていたが、それ以外はテレビと充電器類が乗った大きいテーブルがあるだけ。ウルトラブックでフルハイビジョンの編集がサクサクできるようになれば、以前のような編集システムはもう必要ない。撮影スタイルから編集環境、そして映像を見るスタイルまで、気がついてみたら、大きく変わっていた。
OUNCEのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/ShumshuCanning
OUNCEのvimeoチャンネル
http://vimeo.com/ounce
